データセンター向けGPU「NVIDIA A100」を6159基搭載したスパコン「Perlmutter」が稼働、宇宙の謎「ダークエネルギー」解析などが任務
2021年5月27日、アメリカの国立エネルギー研究所科学技術計算センター(NERSC)がデータセンター向けGPU「NVIDIA A100」を6159基搭載したスーパーコンピューター「Perlmutter」のバーチャル除幕式を行いました。Perlmutterは、天体物理学や気候科学などの分野にまたがる20以上のアプリケーションを実行する予定です。
Introducing Perlmutter
https://perlmutter.carrd.co/
NERSC Turns on World's Fastest AI Supercomputer | NVIDIA Blogs
https://blogs.nvidia.com/blog/2021/05/27/nersc-perlmutter-ai-supercomputer/
Berkeley Lab Debuts Perlmutter, World’s Fastest AI Supercomputer
https://www.hpcwire.com/2021/05/27/nersc-debuts-perlmutter-worlds-fastest-ai-supercomputer/
Nvidia, NERSC claim Perlmutter is world's fastest AI supercomputer | VentureBeat
https://venturebeat.com/2021/05/27/nvidia-nersc-claim-perlmutter-is-worlds-fastest-ai-supercomputer/
新たに稼働したPerlmutterは、2020年に発表された次世代アーキテクチャ「Ampere」を初採用したデータセンター向けGPU「NVIDIA A100」6159基と、2021年3月発表のサーバー向けCPU「AMD EPYC 7763(通称Milan)」約1500基を搭載しており、倍精度浮動小数点数(FP64)を用いる高性能計算(HPC)演算で60PFLOPSという性能を実現。さらにQuantum EspressoやBerkeleyGWなどの特定プログラムでは2倍のピーク性能を達成できます。加えて2021年下半期には、「AMD EPYC 7763」のみで構成されるCPUノードも追加される予定です。
Perlmutter(パールマッター)は2011年にノーベル物理学賞を受賞した天体物理学者ソール・パールマッター氏の名を冠しており、同氏が専門とした「宇宙の加速膨張」の背後にあるとされる仮説上の存在「ダークエネルギー」の解析に用いられる予定。1回の露光によって5000個もの銀河を撮影できるキットピーク国立天文台のダークエネルギー分光器(DESI)のデータ処理を新たに担当し、これまで数週間~数カ月かかっていた処理時間をわずか数日に短縮します。このほかにも天体物理学や気候科学などの分野にまたがる20以上のアプリケーションを実行し、材料科学分野においてはバッテリー内の原子の完全シミュレーションなどに用いられる予定です。
これまでNERSCは「Intel Xeon Haswell」2388基と「Xeon Phi」9688基を搭載したピーク性能約30PFLOPSのスーパーコンピューター「Cori(コリ)」を運用してきましたが、Coriは「2022年までは運用が続く」とされている状況。2022年以降、女性ノーベル賞受賞者ゲルティー・コリ氏の名を冠したスーパーコンピューターがどのように扱われるかは不透明です。
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