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Facebookのフェイクニュース対策はアメリカとヨーロッパで大きな格差が存在するという指摘


ソーシャルメディアでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するフェイクニュースの拡散が問題視される中、Facebookはアンチマスクグループを削除したり、ワクチンのフェイクニュースや陰謀論を削除したりといった対策を講じています。ところが、アメリカのオンライン活動家ネットワークであるAvaazは、「Facebookのフェイクニュース対策はアメリカとヨーロッパで大きな格差が存在している」としてFacebookの対応を非難しました。

Avaaz - Left Behind: How Facebook is neglecting Europe's infodemic
https://secure.avaaz.org/campaign/en/facebook_neglect_europe_infodemic/

Facebook stumbles again on tackling COVID-19 misinformation – POLITICO
https://www.politico.eu/article/facebook-covid19-misinformation-europe-united-states/

Facebook Said It’d Stop COVID Anti-Vaxxers, But It’s Letting Them Run Wild
https://www.vice.com/en/article/y3dz5w/facebook-is-failing-miserably-at-stopping-covid-conspiracy-teh

COVID-19に関するフェイクニュースの拡散は重大な公衆衛生上の問題であり、Facebookは独立したファクトチェッカーと協力して世界60言語のコンテンツをチェックし、「偽アカウントの検出と削除」「詐欺行為の取り締まり」「善意のフェイクニュース拡散へのラベル付け」といった対策を講じているとのこと。

Facebookは「誤情報を防ぐ取り組み」として実際には何をやっているのか? - GIGAZINE


AvaazはFacebookによるフェイクニュース対策がどれほど機能しているのかを確かめるため、プラットフォームに投稿されたフェイクニュースへの対応を調査しました。調査チームが焦点を当てたのは、外部のファクトチェックグループが「誤情報を含む」としてフラグを立てたCOVID-19関連のコンテンツ135個です。これらのコンテンツは英語・フランス語・イタリア語・スペイン語・ポルトガル語といった言語で投稿されており、いくつかのコンテンツは複数の言語に翻訳され、国を超えて共有されていました。

投稿されたフェイクニュースがどれほど削除またはラベル付けされたのかを調べたところ、フェイクニュースがアメリカ国内のユーザーによって英語で投稿された場合、74%でFacebookが行動を起こしていました。一方、フェイクニュースがフランス語・イタリア語・スペイン語・ポルトガル語で投稿された場合、Facebookが対処したのはわずか44%にとどまったとのこと。さらに、内容が英語であってもイギリスとアイルランドのユーザーから投稿された場合、対処されたフェイクニュースは50%に過ぎなかったそうです。

以下のグラフは、各言語で投稿されたフェイクニュースがFacebookによって対処されないまま、ユーザーの目にさらされている割合を示したもの。アメリカ・イギリス・アイルランドを含めた英語(EN)の投稿は対処されない割合が29%にとどまっている一方、イタリア語(IT)では実に69%が対処されておらず、フランス語(FR)が58%、ポルトガル語(PT)が50%、スペイン語(ES)が33%と続いています。


アメリカのユーザーによる英語の投稿(US)、イギリスとアイルランドのユーザーによる英語の投稿(UK&IRELAND)、非英語圏のユーザーによる投稿について、Facebookが対処せずに放置している割合を示したグラフが以下。USは26%、UK&IRELANDは50%、非英語圏は56%のフェイクニュースコンテンツが放置されており、ヨーロッパのユーザーはCOVID-19関連のフェイクニュースにさらされるリスクが高いことがわかります。


さらに、「フェイクニュースが投稿されてから削除またはラベル付けが行われるまでの期間」についても、英語のコンテンツと非英語圏のコンテンツには違いがあることがわかっています。以下の画像の通り、「ENGLISH CONTENT(英語のコンテンツ)」は投稿から対処が行われるまで平均24日でしたが、「NON-ENGLISH CONTENT(非英語圏のコンテンツ)」は平均29日かかっていたとのこと。


調査チームが特定したフェイクニュースの中で最も多かったのは「ワクチンの副作用」で36件、次に多かったのが「虚偽の公式声明および警告」に関するもので16件、3番目に多かった「マスクに効果がない、または危険」というフェイクニュースは9件あったとのこと。また、調査チームは今回の分析で見つかった中で特に多くの人々に届き、公衆衛生上の問題や保健当局への不信を引き起こす6件のフェイクニュースを紹介しています。

◆誤報1:ビル・ゲイツ氏が「COVID-19ワクチンが70万人近くを殺す可能性がある」と述べた
この投稿は、「ゲイツ氏がアメリカのニュース放送局・CNBCのインタビュー中に、70万人近くの人々が死亡を含むワクチンの被害に遭う可能性があると述べた」と主張するイタリア語の記事にリンクするもの。もちろん、この情報はフェイクニュースであることが確かめられています

◆誤報2:医師が「COVID-19ワクチンがDNAを変える」と説明している
スペイン語で記されたこの投稿は、アルゼンチンに住むChinda Brandolino氏という医師が、「COVID-19ワクチンは遺伝子を改変する物質であり、接種を受けた男性のほとんどを殺す」と述べたというもの。当然ながらこの情報もフェイクニュースであると確認されており、ファイザーやモデルナが開発したmRNAワクチンはDNAを書き換えることはありません

◆誤報3:マスクの着用が義務づけられているのは「政府が多くのマスクを注文し過ぎたから」
ドイツ語で投稿されたこのフェイクニュースは、「人々にマスク着用が義務づけられているのは政府がマスクを発注し過ぎたからだ」と主張しています。しかし、ファクトチェック組織によるとこれは真実ではないことが示されています


◆誤報4:世界保健機関(WHO)が「マスクを着用する必要はない」と言っている
英語で投稿されたこのフェイクニュースは、「WHOが2021年1月22日に発表した声明で、『健康な人が病院の外でマスクを着用する医学的理由はない』と宣言した」と主張するブログにリンクしています。もちろん、この投稿はフェイクニュースであり、WHOは「病院外でマスクを着用する必要はない」といったアドバイスを行っていません。

◆誤報5:COVID-19と診断された母親が出す「緑色の母乳」が赤ちゃんを感染から守る
このポルトガル語の投稿に添付された画像には2つの袋が写っており、1つが白色、もう1つが緑色の母乳で満たされています。この投稿は、「COVID-19だと診断された母親が出した『緑色の母乳』は、母親が赤ちゃんを守るために作った抗体が含まれており、母乳育児をすることで赤ちゃんを感染から守ることができる」と主張していますが、これもフェイクニュースです。母乳の色が食事などの要因で変化することはあり得ますが、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染や抗体の産生は母乳の色に関係ありません。

◆誤報6:無症候性の人々は他人にCOVID-19を感染させないことが中国の研究により判明した
フランス語で投稿されたこのフェイクニュースは、「症状がないCOVID-19患者が他人に感染させることはなく、政府は恐怖を与え続けるためにウソをついている」というもの。これもフェイクニュースであることが確認されており、無症候性感染者であってもSARS-CoV-2が広まることがわかっています。

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FacebookはAvaazの調査結果について、「小さなデータサンプルに基づいており、信頼できる情報を人々に提供するためにFacebookが行った作業も反映されていない」と異議を唱え、数十の言語でCOVID-19の有害なフェイクニュースと戦う積極的な措置を講じていると述べました。一方、Avaazはデータセットが少ないのはFacebookがデータ収集を制限しているからだと反論し、Facebookの透明性の欠如を非難しました。

AvaazのキャンペーンディレクターであるLuca Nicotra氏は、プラットフォームによる自主規制でフェイクニュースを取り締まる動きが望ましい結果を出していないことから、EUはソーシャルネットワーク上のフェイクニュースを監視する独立した規制当局を設けるべきだと主張しました。

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in モバイル,   ネットサービス, Posted by log1h_ik

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