メモ

なぜネット上では「ウソ」が真実よりも拡散されてしまうのか?

By Dee 3

かつて2ちゃんねるの管理人が「うそはうそであると見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい」と言ったとおり、インターネット上にある情報は玉石混淆。真実が書かれている一方でウソの情報も多々あり、わざとではなくてもウソの拡散に一役買ってしまうことがあります。このとき、後から誤りを訂正したり、ウソであると暴いた情報が出ることがありますが、コロンビア大学の研究により、こういった情報は共有されにくく、ウソは拡散されやすいということが確認されました。

Why Rumors Outrace the Truth Online - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/2014/09/30/upshot/its-so-much-more-fun-to-spread-rumors-than-the-truth.html


ウソが広がった実例としては、2013年4月に起きたボストンマラソン爆弾テロ事件や、「オバマ政権が失業統計を操作した」という陰謀論などがあります。爆弾事件では裏付けのない情報が錯綜し、陰謀論は誤報であったことが報道されていますが、ニセモノの情報が拡散していく力は、それを正そうとする努力を圧倒してしまいます。

そこでコロンビア大学のTow Center for Digital Journalismの特別研究員であるクレイグ・シルバーマン氏は、オンライン上で共有されている情報の追跡ツール「Emergent」を開発しました。

Emergentの追跡によって、真偽不明の情報が広がるのはSNSに限定されていることが判明。例えば、2014年8月後半に「リビアで兵士がトリポリ国際空港を占拠し、11機の民間機が捕らえられて行方不明になった」という情報が流れたことがありましたが、都市伝説を検証するサイト・snopes.comで真偽を疑われたにも関わらず、14万回以上シェアされました。

snopes.com: Are 11 Planes Missing from an Airport in Libya
http://www.snopes.com/rumors/missingplanes.asp


この噂のうち、ジンタン・ミリティアという民兵組織が7月にトリポリ国際空港を掌握した部分は事実なのですが、その先についてsnopes.comは、北アフリカ在住の複数のブロガーが「この時期に民間機が行方不明になった」という話をするようになり、その情報が翻訳されてヨーロッパの報道機関経由でまるで本当のニュースであるかのように広まったものだ、と指摘。

実際には「行方不明になった」「盗まれた」と言われていた民間機については、政府組織が事前にトリポリ市外に移動させていたり、安全を考慮して事前にマルタ共和国の空港へ移動させられたりしていたことがわかっていますが、この正しい情報が掲載されているsnopes.comの記事のシェア数はわずか735回(9月29日当時)。誤報が広がってしまったときに、その後の修正が非常に困難であることがうかがえます。

snopes.comはジェット機行方不明事件記事の間違っていた情報を修正しましたが、その後シェアされた数はたったの800回足らずで、初回の爆発的なシェア数とは明らかに異なっており、元ジャーナリストのシルバーマン氏が開発したEmergentの収集データによってわかったことは、誤報が拡散された場合、その後の修正がとても難しいということでした。

もう1つの追跡事例は「手術で3つ目の胸(乳房)を得た女性」の情報で、これは20万以上のシェアを記録しました。1990年公開の映画「トータル・リコール」に出てきたミュータントの女性を思い出すようなニュースで、世界中で拡散されましたが、実際にはこの3つめの乳房は取り外し可能な人工乳房であり、手術で3つ目をつけてもらったというのはウソだったということを暴いた記事のシェア数は、初報の3分の1以下でした。


以下は3つの胸の女性に関する情報を「本物と主張する記事(オレンジの線)」「虚偽と主張する記事(緑の線)」に分類して、Twitter・Facebook・Google+のシェア数を棒グラフ化したもの。水曜日から木曜日にかけて「3つ目の乳房は本物ではない、人工乳房である」という情報が広がりましたが、それでも拡散はまったく追いつかず、最初に出たウソ情報の方が広まっています。


この追跡調査からわかるのは、情報の真偽がどうであれ、人々は話題になることを拡散するということ。そのため、面白みのない真実よりも、面白いウソの方が拡散していくというわけです。

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