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GoogleやFacebookに「有害なコンテンツを放置するなら広告を引き上げる」と大口顧客のユニリーバが強力なプレッシャーをかける


食品や家庭用品を世界中で販売するUnilever(ユニリーバ)が、GoogleやFacebookなどのデジタル広告事業者に対して「有害なコンテンツが蔓延している状況を放置するなら、広告を引き上げる」という強い表現で状況の改善を求めています。

Giant advertiser Unilever threatens to pull its ads from Facebook and Google over 'toxic content'
http://www.latimes.com/business/technology/la-fi-tn-unilever-ads-google-facebook-20180212-story.html

ユニリーバのマーケティング部門の最高責任者であるキース・ウィード氏が、「フェイクニュース、人種差別、性差別、テロリストのメッセージ、児童ポルノなど一部の有害なインターネットコンテンツは、私たちが求める場所からほど遠いところにあります。この問題について耳を傾け実際の行動に出ることは、デジタルメディア産業の関心事です」と述べました。その上で、ユニリーバは今後、「責任あるコンテンツ」が増えるように注力していく予定で、ステレオタイプな性表現問題を含む広告への規制など、広告基準を見直して消費者の広告体験を改善するパートナーのみと提携していく方針である事を明らかにしました。

デジタルコンテンツにおける広告は、Googleがアメリカ市場全体の約42%、Facebookが約23%を占めると推測されており、両社で全体のおよそ3分の2が占められています。ユニリーバは2017年に紅茶のLiptonやアイスクリームのBen & Jerry'sなどのブランドマーケティングに約95億ドル(約1兆円)を費やしており、そのうちデジタル広告には予算の4分の1である24億ドル(約2600億円)が投じられました。仮にユニリーバがデジタル広告の多くを引き上げることになれば、デジタル広告においてGoogleやFacebookには大きな損失になりそうです。


ウィード氏は「この数カ月で、デジタルコンテンツが福祉や民主主義や真実そのものに与える影響について懸念する消費者の声はますます大きくなっているのははっきりしています。これは脇に置いておいたり無視したりできない問題です。また、消費者は社会に肯定的な貢献ができるプラットフォームを求めているのです」と述べています。

デジタルコンテンツに対して広告出稿する企業がコンテンツの内容により敏感になったのは、2016年のアメリカ大統領選がきっかけの一つになっています。アメリカ大統領選挙で、FacebookなどのSNSに投稿された不確かな情報や、意図的に特定候補者の虚偽の情報を拡散させようとするいわゆる「フェイクニュース」が原因で、選挙の行方が大きな影響を受けたことが知られており、フェイクニュースが民主主義の根幹である選挙にまで影響を与える危険性から、フェイクニュース排除の動きが起こっています。

フェイクニュース撲滅のためWikipedia創設者が立ち上げたハイブリッド型ニュースサイト「Wikitribune」 - GIGAZINE


偽ニュースを人工知能を使って検出するプロジェクト「Fake News Challenge」 - GIGAZINE


また、死者を冒涜するようなYouTuber投稿の不適切なムービーで大きな批判を受けたYouTubeなどの動画配信プラットフォームも、ムービー提供者の収入基準の大幅な変更を余儀なくされるなど、デジタルコンテンツに対する消費者の目は日増しに厳しくなっており、この状況を踏まえて広告主のデジタル広告事業者に対する目も厳しくなっています。GoogleやFacebookにとって決して無視することのできない大口顧客であるユニリーバが最悪の場合は広告を引き上げると宣言したことは、他の広告主の行動にも影響を与える可能性があります。ユニリーバの方針表明を受けてGoogleの広報担当者は「Googleは、広告主の信頼を得るための改善を引き続き行っていきます」と述べ、Facebookの広報担当者は「Facebookはユニリーバの約束を全面的にサポートし、彼らと緊密に取り組んでいます」と述べています。

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in メモ,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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