サイエンス

破壊されても自らを修復しながら泳ぎ続けるサカナ型ロボットが開発される


損傷した金属を動物の骨のように修復する技術や、自己修復ポリマーを用いたロボットハンドなど、ロボットの自己修復に役立つ技術が多く開発されています。カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームは新たに、切断されても自己修復し、水面を泳ぎ続けるサカナ型ロボットを開発しました。

Swimmers Heal on the Move Following Catastrophic Damage | Nano Letters
https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acs.nanolett.0c05061

切断されても自己修復して泳ぎ続けるサカナ型ロボットがどんな感じなのかは、以下のムービーを見るとよく分かります。

Small robot swimmers that heal themselves from damage - Headline Science - YouTube


研究チームは、人間が立ち入ることが困難な場所でも、自己修復しながら活動し続けるロボットの開発を目標としているとのこと。


目標達成の第一歩として、研究チームは自己修復可能なサカナ型ロボットを開発しました。この全長2cmのサカナ型ロボットは、「磁石の層」「疎水性かつ剛性のある層」「導電性を持った層」の3層で構成されており、尾の部分には、プラチナが含まれています。


尾に含まれるプラチナは、過酸化水素と接触すると還元反応を起こします。サカナ型ロボットは、この反応を利用して水面を泳ぎます。


サカナ型ロボットは、切断されても磁力を用いて自己修復できます。例えば、尾の部分で切断されると胴体側は動けなくなりますが……


尾だけが泳ぎ続け、磁力によって胴体とくっつきました。


推進力である尾が元に戻ったサカナ型ロボットは、元通りに泳げるようになりました。


切断される場所が異なる場合も自己修復は可能。例えば胴体の真ん中で切断されても……


尾が付いている側が泳ぎ続け、磁力によって元通りになります。


頭・胴体・尾の3つに切断されても自己修復は可能。


まずは尾と胴体がくっついて……


次に頭部とくっつき、問題なく元に戻ることができました。


今回開発されたサカナ型ロボットは、実験室などの限られた環境でしか動作しません。しかし、研究チームは「今回開発された自己修復技術は、いつの日か、産業廃棄物の処理などの人間にとって危険な作業を行うロボットに応用される可能性があります」と述べています。

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in サイエンス,   動画, Posted by log1o_hf

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