本物の魚と見分けがつかないほど精巧な「魚ロボット」が海を泳ぎ回る動画が公開中
海洋生物の調査方法には、網で海をさらって捕獲した生物を調査したり、ダイバーや探査艇が海に潜って調査するといった方法がとられています。しかし、海洋生物に警戒されず、自然の中でどのように生きているのかを知るためには、捕獲や探査艇といった方法では限界があるとのこと。マサチューセッツ工科大学の研究チームは、海洋生物探査の目的で他の生物に警戒されない精巧な魚ロボ「SoFi」を製作しました。
Soft robotic fish swims alongside real ones in coral reefs | MIT News
http://news.mit.edu/2018/soft-robotic-fish-swims-alongside-real-ones-coral-reefs-0321
実際に「SoFi」が海中を泳ぎ回っているムービーもYouTubeで公開されています。
A Robotic Fish Swims in the Ocean
テストを行ったのはフィジーの沖合。SoFiは深さ約50フィート(約15メートル)ほどの海底を泳いでいます。
SoFiはワイヤー等で接続する必要も、リモコンで操作する必要もなく、完全に自律して海中を泳ぐことが可能。よく見ると側面に切れ込みがあったり魚の顔ではなかったりしますが、泳いでいる姿は魚そのものです。
のんびりと海中を進むSoFiの様子は、どこかユーモラスな印象を与えます。
すぐそこにある障害物にぶつかることもなく、ロボットとは思えない滑らかさで尾びれを揺らし、身をくねらせながらSoFiは泳ぎます。
SoFiは非常に軽量な素材で作られており、SoFi自体の浮力で浮いているため、水中で沈まないようにするための力をほとんど必要としません。
サンゴの下を悠々と泳ぐSoFiの周囲を、熱帯魚が気にする様子もなく泳いでいきます。
SoFiにはカメラが搭載されており、泳ぎながら周囲の様子を記録することが可能。現在は通常のカメラしか搭載していませんが、今後魚の動きを自動的に追尾するカメラを搭載することも検討しているとのこと。
シリコンゴムと柔らかいプラスチックで覆われたSoFiは、周囲の岩や魚などにぶつかっても壊れる危険が少ないため、研究者たちは常にSoFiの周囲に危険な障害物がないか気にする必要もありません。SoFiは細かく分解することもできます。
エラのあたりに小さなモーターと、頭部に電子制御盤が搭載されています。
尾びれを動かすのは、小さな水圧ポンプ。
ウレタン製の胴体は滑らかな動きを実現するため、細かい節が連なった構造になっており、浮力を増す効果も発揮するとのこと。
シリコン製の外皮により、まるで本物の魚のように動くことができます。
コントローラーにより、ダイバーがSoFiの泳ぐ深さや泳ぐパターンを変更することも可能です。どういう理由なのかは不明ですが、コントローラーはスーパーファミコンのコントローラーを模したiBUFFALO製ゲームパッドを使用しています。
実際に海中でコントローラーを使ってSoFiを操作している様子は、ちょっと不思議な感じがします。通信には30~36キロヘルツの超音波を使用しているとのこと。
普通に泳いでいる場合、SoFiは勝手に障害物をよけてくれます。
SoFiを上昇させるコマンドを送信すると、体が上向きになり……
水面に向かって海中を上昇します。
SoFiには内部の浮力を制御する機構も搭載されているとのことで、一定の深度だけでなく、さまざまな水深でも泳ぐことができる点が強み。
ワイヤーなどでボートにつながなくても、SoFiは自分で海上に待機しているボートの近くまで泳いでいけるため、簡単に回収できます。
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