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スエズ運河でのコンテナ船事故の一部始終について専門家が解説


エジプトのスエズ運河で2021年3月23日に、日本の船舶貸付会社である正栄汽船が所有し台湾の海運会社の長栄海運(エバーグリーン・マリン)が運航するコンテナ船「エバー・ギブン」が座礁する事故が発生し、多数の船舶の往来が遮断される事態となりました。海上輸送に大きな混乱をもたらしている今回の事件について、カナダ・トロント大学の研究機関シチズン・ラボの研究者で海運アナリストでもあるジョン・スコット・レイルトン氏が解説しています。

スコット・レイルトン氏は3月24日に、「スエズ運河がブロックされています。巨大なコンテナ船のエバー・ギブンが、最も厄介な方法で立ち往生しました。もう何時間も続いています。エジプトのあらゆるタグボートが船を引っぱろうとしているようです」とTwitterで報じました。


スコット・レイルトン氏は、「海運への影響は?」という質問に対し、海運事件を取り扱うニュースブログのNatsouthのツイートを引用して回答。Natsouthは事故の影響について「スエズ運河でのメガ・コンテナ船『エバーギブン』の再浮上作業が続けられる中、地中海や紅海、運河内で待機する船舶が立て続けに渋滞しています」と述べています。


事故現場の写真には、コンテナ船に比べて非常に小さなショベルカーが、河岸を掘削して船を救出しようとしている様子が捉えられています。


スコット・レイルトン氏によると、今回座礁したコンテナ船の大きさは全長が400m、船幅が59mで総トン数は21万9079トン、積載量が2万388TEUと、就航中のコンテナ船としては最大級の船とのこと。


24日の時点で、スエズ運河に設けられた停泊所は満杯になりました。ツイートに添付されている画像のうち、赤色の矢印で示されている部分が、待機中の船舶用の停泊所です。


近年は、歴史的な原油安により「スエズ運河を渡るよりアフリカ大陸を回った方が安くつく」という現象も発生していますが、アフリカ大陸を回るルートは海賊などのリスクを伴うため、スエズ運河は依然として海運の要衝になっていると、スコット・レイルトン氏は指摘しています。また同氏は、「スエズ運河をスムーズに通るには運河のスタッフが好むマルボロのタバコを袖の下として握らせる必要があるという歴史的な逸話があるため、船乗りはスエズ運河を『マルボロ運河』という愛称で呼んでいる」という豆知識も披露しました。


エジプトの現地時間で24日の午前1時30分(日本時間の同日午前8時30分)には、エバー・ギブンのスクリューが動いて船がわずかに移動したという情報が流れましたが、座礁から抜け出すには至りませんでした。


エバー・ギブンが座礁した原因は、船の停電だったとのこと。


物流が滞ったことを受けて、原油価格も急騰しました。専門家は、「事故の影響は一時的」としていますが、スコット・レイルトン氏は「この閉鎖が続くとしたら……」と述べて、懸念を示しています。スコット・レイルトン氏によると、海上輸送により取引されている原油の10%、液化天然ガスの9%がスエズ運河とスエズ湾に設けられたパイプラインであるSUMEDラインを通っているとのことです。


前述のとおり、スエズ運河を使わないアフリカ大陸ルートもありますが、このルートを使用する船は大回りしなくてはならなくなります。例えば、サウジアラビア発のタンカーがスエズ運河を使用せずにアメリカに行く場合、輸送距離は約2700海里(約5000km)も伸びると試算されているとのこと。


エバー・ギブンのようなコンテナ船の船首には、波の抵抗を減らす役割を持つバルバス・バウが装備されており、続報の写真からはこの船首部分が河岸に突き刺さっていることがうかがえます。


エバー・ギブンを離礁させる作業が継続されていますが、24日の時点では動き出したという報告は上がっていません。


座礁船の実況を続けるスコット・レイルトン氏は、「エバー・ギブンが座礁前に不吉な軌跡をたどりました」と述べて、座礁前のエバー・ギブンの航路が男性器に見えるというインターネット上のうわさも取り上げています。

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in 乗り物, Posted by log1l_ks

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