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スエズ運河のコンテナ船をどかすには一体なにが必要なのか?

by Suez Canal Authority

2021年3月23日に、海上輸送の要衝であるエジプトのスエズ運河で、コンテナ船の「エバー・ギブン」が座礁する事故が発生。座礁から5日間以上が経過した記事作成時点でも復旧のめどが立っていない状況が続いています。海運や貿易に多大な影響を与えているこの問題を解決させるために必要な対策について、専門家が解説しています。

Suez Canal blockage: what it takes to unwedge a megaship
https://theconversation.com/suez-canal-blockage-what-it-takes-to-unwedge-a-megaship-158006

What will it take to get a giant cargo ship unstuck from the Suez Canal? | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2021/03/what-will-it-take-to-get-a-giant-cargo-ship-unstuck-from-the-suez-canal/

3月23日に、日本の船舶貸付会社である正栄汽船が所有し、台湾の海運会社の長栄海運(エバーグリーン・マリン)が運航するコンテナ船「エバー・ギブン」がスエズ運河で座礁しました。この事故により、320隻以上の船舶が立ち往生する事態が発生しており、損害は毎時436億円に及ぶと見積もられています。

オンライン掲示板・Redditに投稿された以下のムービーを見ると、巨大なコンテナ船が多数停止し、スエズ運河の開通を待っている様子を見ることができます。

Ships waiting for the Suez Canal to open from r/Damnthatsinteresting


イギリス・サウサンプトン大学で海事流体力学を研究しているスティーブン・ターノック氏によると、2016年にもエバー・ギブンと同じ大きさのコンテナ船「CSCL Indian Ocean」がドイツのエルベ川に座礁した事例があるとのこと。こうした座礁事故を復旧させる方法に、大きく分けて2つあります。

◆1:タグボート艦隊の動員
タグボートとは、他の船舶の着岸や離岸を補助するために強力なエンジンを搭載した船のことです。エジプトのスエズ運河庁は、すでに8隻の大型タグボートでエバー・ギブンをけん引するという試みを行っていますが、記事作成時点では成功していません。これは、エバー・ギブンの浮力が足りていない点が足かせになっていると考えられています。

そこで、事故現場では重機で河岸を掘削する浚渫(しゅんせつ)工事により、エバー・ギブンの浮力を向上させる試みが最優先で行われています。

by Suez Canal Authority

船の浮力を向上させるには、積載物を下ろして船体を軽くするのが最も一般的な方法です。スエズ運河の川岸は砂地なので、陸地から船上のコンテナにアクセスするのは困難とされていることから、エバー・ギブンの貨物の荷下ろしにはクレーン船が用いられる可能性があります。

他にも、燃料補給船を横付けさせてエバー・ギブンの燃料を抜き取ったり、バラスト水を放出したりして船体を軽量化させる方法や、喫水線の下に空気袋を取り付ける方法などにより浮力を確保し、タグボートでけん引できるようにするのではないかと、ターノック氏は考えています。

◆2:大潮
前述の「CSCL Indian Ocean」のケースでは、12隻のタグボートと2隻の浚渫船が動員されたほか、タイミングよく「大潮」が来たことにより、事故発生から6日目に復旧しました。大潮とは、一直線になった太陽と月の引力が合わさることで干満の差が最も大きくなる潮汐(ちょうせき)のこと。スエズ運河では、3月27日以降の数日間がちょうど大潮の時期にあたるとされています。

The anticipated high tide came, but the Ever Given remains entrenched in the Suez Canal, as most tugs have now disengaged. Higher tides are expected in the coming days. #SuezBLOCKED #EVERGIVEN #Evergreen pic.twitter.com/NEcfjDwQNZ

— Daily News Egypt (@DailyNewsEgypt)


スエズ運河内は、海岸に比べて潮の満ち引きの影響が小さいといわれていますが、それでも運河内の水位がかなり高くなる大潮が到来することにより、船体を大きく浮上させることができるのではないかと期待されています。そのため、ターノック氏は「エバー・ギブンの座礁事故は通常のサルベージとは異なるので、さまざまな試みの組み合わせがどれだけ迅速な離岸を達成させられるかを予測するのは困難です。しかし、熟練したサルベージクルーがエバー・ギブンの再浮上を試みているので、数日のうちに船が開放される可能性が高いでしょう」と述べました。


一方、物流管理サービスを手がけるTransporeonのクレメンス・シャペラー氏は「最も可能性が高いのは、28日か29日の再浮上です。しかし、最悪の場合は何週間も動けないということも、現実的はあり得ます」とコメントし、問題が長期化する場合もあるとの見方を示しました。

なお、座礁事故の模様をリアルタイムで把握可能なサイト「Is that ship still stuck?」によると、記事作成時点でもエバー・ギブンの座礁は続いているとのことです。

スエズ運河で立ち往生しているコンテナ船の状況をリアルタイムで把握可能なサイト「Is that ship still stuck?」が登場 - GIGAZINE

by NOAA's National Ocean Service

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in 乗り物,   動画, Posted by log1l_ks

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