レビュー

キャンバスに透明なカードを重ねて誰よりも美しい絵画を完成させるゲーム「キャンバス」プレイレビュー


クラウドファンディングサイトのKickstarterで目標額1万4000ドル(約150万円)のところを、なんと約71万ドル(約7700万円)を集めて製品化された「キャンバス」の日本語版が、2021年3月18日(木)に登場します。透明なカードを重ね合わせて皆から高く評価されるような素晴らしい芸術作品を作り上げるゲームとのことで、いったいどんなゲームなのかを実際に遊んで確かめてみました。

キャンバス 日本語版【3/18発売】 - Engames Shop
https://www.engames-s.com/product/2070


「キャンバス」のパッケージはこんな感じで、油絵をイメージしたデザインになっています。一般的なゲームパッケージにはゲームのタイトルや作者名、メーカー名などが書かれていますが、「キャンバス」のパッケージには文字が一切見当たりません。


プレイ人数は1~5人、対象年齢は14歳以上、プレイ時間は30分を想定。


ゲームの名前や説明はパッケージの裏に書かれていました。また、上部に空いている穴を使えば……


こんな感じで壁に掛けることも可能。パッケージに文字がないので、まるで立派な絵画を飾っているように見えます。


パッケージは引き出しのように内箱を上部から引っ張り出す仕組み。


内容物はルール説明書、キャンバスマット、各種カード、デッキボックス、透明のカードスリーブ、厚紙製のトークン。


キャンバスマットは布製で、くるくると丸めることができます。長辺131.5mmのiPhone 12 miniと並べて大きさを比べてみるとこんな感じ。


カードは、得点条件が書かれた「得点カード」が12枚と、絵の背景が描かれた「背景カード」が20枚。


そして、透明のプラスチックでできた「芸術カード」が60枚。芸術カードは、厚紙製のデッキボックスに収納します。


透明のカードスリーブは32枚あり、背景カードや得点カードを収納するために使います。


リボントークンは赤・青・緑・紫・黒の5種類が各20個ずつ。さらに絵の具のパレットを模したパレットトークンが20個ずつ。


なお、パッケージの内箱にはそれぞれの内容物を収納する場所が指定されており……


こんな感じで整頓した状態で収納することができます。


ゲームを遊ぶためにはまずキャンバスマットを広げ、上段に得点カードを4枚並べ、下段に芸術カード5枚とデッキボックスを並べます。また、キャンバスマットの上に、以下のようにリボントークンを並べておきます。


得点カードは自由に選んで並べればOKですが、ルール説明書にはおすすめの得点カードの組み合わせが「シナリオ」として掲載されています。今回はまず普通の「はじめてのキャンバス」の組み合わせで遊んでみることにしました。


各プレイヤーに、背景カード3枚とパレットトークン4つを配布します。今回は4人でプレイしてみました。


ゲームのルールは非常にシンプル。プレイヤーは手番を回しながら、3枚の背景カードに芸術カードを重ねて作品を3つ完成させます。プレイヤーは各手番で「芸術カードを獲得する」か「自分の作品を完成させる」かのどちらかを実行でき、「プレイヤー全員が3つの作品を完成させた時点」でゲームが終了。作品の出来に応じてゲットしたリボントークンを点数に換算し、もっとも点数が高かったプレイヤーが「芸術祭で最も高い評価を得た画家」として勝利します。

芸術カードは、キャンバスマットからゲットできます。例えば一番左に置かれた芸術カードをゲットした場合……


残り4枚の芸術カードを左詰めで移動させ、デッキボックスから新しく引いた芸術カードを一番右に置きます。


ただし、ゲットしたい芸術カードの左側にカードがある場合、左側にあるカード1枚につきパレットトークンを1つずつ支払う必要があります。例えば、以下のように左から3番目の芸術カードをゲットする場合、左にある2枚のカードの上に1つずつパレットトークンを置きます。もちろん一番左のカードをゲットする場合は、パレットトークンを支払う必要はありません。


芸術カードの上に置かれたパレットトークンは、そのカードをゲットする時に一緒にもらえます。そんな感じで、ゲーム序盤は各プレイヤーが欲しい芸術カードを集めまくる流れになります。ただし、芸術カードは最大5枚までしか手元に持つことはできません。


また、手番開始時に芸術カードが3枚以上ある場合、芸術カード3枚と背景カード1枚で作品を完成させることができます。


ただし、ただ3枚重ねるだけでは崇高な芸術作品が完成するわけではありません。芸術祭では4つのポイントで評価されることとなり、作品下部にある5色とシンボルの組み合わせを得点カードの条件と照らし合わせて、リボントークンを獲得します。


例えば、以下の芸術カード3枚を使って、作品を発表します。


今回の作品の評価基準は以下のような感じ。5色全部が表示されていたら赤色のリボントークンを1つ、丸いアイコンが1個だけ表示されていたら緑色のリボントークンを1つ、三角アイコンが2つあれば青色のリボントークンを1つ、4種類あるシンボルが全部表示されていたら紫色のリボントークンを1つゲットできます。


作品の評価を高めるには、3枚の重ね方が重要。青色の部分に表示されるシンボルが、「丸いアイコンのみ」あるいは「三角のアイコンと丸いアイコン」と、重ね方によって変化します。この場合、「三角のアイコンと丸いアイコン」を表示すると、紫色の部分に表示されている三角アイコンとセットになり、もらえるリボントークンが増えることになります。


そして、芸術カードの重ね合わせ方を決めたら、以下のように背景カードのスリーブに3枚を重ねて入れます。


そして、全員に「移りゆく真実」という作品タイトルを発表し、その場で公開。色とシンボルに応じたリボントークンを獲得します。


芸術カードの組み合わせ方と重ね合わせ方が、作品の高評価につながります。そのため、プレイヤーは集めた芸術カードを何度も重ね合わせながら、どうすれば高く評価される作品を作り出せるのかを試行錯誤することになります。


どんな芸術カードが場に出るのか、また狙った芸術カードを確実に手元に持ってこれるかどうかには運が大きく絡みます。そのため、リボントークンを大量に集める素晴らしい作品を1枚描き上げても、次の作品は全くの凡作ということもしばしば。


色とシンボルの組み合わせによっては、大量のリボントークンを獲得する注目作品も誕生します。以下の作品は4つの評価基準をすべて満たした上に、四角のアイコンと太陽のアイコンの数に応じて黒色のリボントークンをゲットし、これまでにない作品と全員に絶賛されました。


そんな感じで芸術カードや作品を完成させ、プレイヤー全員が3枚の作品を完成させた時点でゲーム終了。獲得したリボントークンを全部集め、得点カードに書かれた点数換算に応じて総合得点を計算し、最も多くの得点をゲットした芸術家、もとい、プレイヤーが勝利となります。


「キャンバス」を実際に遊んでみると、1プレイは30分~40分ほどでした。ルールが非常にシンプルでわかりやすく、ボードゲームをまったくプレイしたことない人でも問題なく遊べる内容になっています。また、インターフェイスが非常によくできており、説明書とにらめっこしながらゲームを進める場面はほとんどありませんでした。ルールがシンプルでも戦略性は十分高く、作り出せる絵画のパターンが無数に存在するので、リプレイ性も非常に高いゲームといえます。

また、最終的な評価点は絵画1枚ごとではなく、「終了時のリボントークンの総数」で決まるので、「序盤に大きな点差がついてしまい、プレイのモチベーションが下がる」ということもなく、カジュアルに楽しめるのも大きなポイントだと感じました。


布製のキャンバスマットや丁寧にデザインされたトークンなど、パッケージから内容物に至るまで、芸術をモチーフにしたゲームらしく、ビジュアル面は非常に凝った作りなのもこのゲームの大きな特徴。「透明のカードを重ね合わせる」というアイデアは作品の評価点だけではなく、絵画や作品名の出来栄えにも影響を及ぼしており、ロールプレイ性を高めるだけではなく、シュールな面白さを演出してくれます。

「キャンバス 日本語版」は2021年3月18日に発売予定で、希望小売価格は税込4400円。以下の公式サイトから注文が可能です。

キャンバス 日本語版【3/18発売】 - Engames Shop
https://www.engames-s.com/product/2070

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
鳥たちを生息地に誘いポイントを稼いでいく「ウイングスパン拡張:欧州の翼」&「ウイングスパン拡張:大洋の翼」プレイレビュー - GIGAZINE

精霊が能力を振り絞りどんどん押し寄せてくる侵略者から島を守る協力型ボードゲーム「スピリット・アイランド」レビュー - GIGAZINE

パズルのような建物を敷き詰めて誰よりも繁栄した街を作り上げる「マイシティ」プレイレビュー - GIGAZINE

中世ドイツの商人となって交易網を形成して誰よりも名声を得ることをめざす「ハンザ・テウトニカ」プレイレビュー - GIGAZINE

金銀財宝やラクダを売り買いしながら王様お抱えの商人としての成功を目指す「ジャイプル」レビュー - GIGAZINE

商人や金鉱堀りといった役割をこなしながら富と名声を求めるカードゲーム「サンファン2」で遊んでみた - GIGAZINE

in レビュー,   ゲーム, Posted by log1i_yk

You can read the machine translated English article here.