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AWSがAmazon Managed Blockchainでイーサリアムに正式対応


Amazonのクラウドコンピューティングサービスを提供しているAmazon Web Services(AWS)が2021年3月2日に、自社のフルマネージドサービスであるAmazon Managed Blockchainで、ビットコインに次ぐ時価総額を誇る暗号資産のイーサリアムのブロックチェーンに対応する「Ethereum on Amazon Managed Blockchain」の一般提供を開始したことを発表しました。

Ethereum on Amazon Managed Blockchain の一般提供を発表
https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2021/03/announcing-general-availability-of-ethereum-on-amazon-managed-blockchain/

Amazon Managed Blockchain の Ethereum サポートが一般提供開始となりました | Amazon Web Services ブログ
https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/amazon-manage-blockchain-ethereum-ga/

Amazon Managed Blockchain at Last Supports Ethereum, Ending a Two-Year Tease - CoinDesk
https://www.coindesk.com/amazon-managed-blockchain-at-last-supports-ethereum-ending-a-two-year-tease

Amazon Managed Blockchainとは、一般的なオープンソースフレームワークであるHyperledger Fabricなどを使用してパブリックネットワークに参加したり、プライベートネットワークの作成や管理をしたりすることができるフルマネージ型のサービスです。これまでも、プレビュー版としてイーサリアムに対応していましたが、今回の発表によりイーサリアムのブロックチェーンが東京リージョンなどで正式に一般提供されることになりました。


AWSでシニアエバンジェリストを務める亀田治伸氏は、「ブロックチェーンは、中央機関なしでトランザクションを実行可能なアプリケーションを構築できますが、設定箇所が分散する関係上設定が複雑で管理が困難になります。Amazon Managed Blockchainを用いることで、数回クリックするだけでスケーラブルなプライベートネットワークのセットアップや管理ができます」と説明しています。

AWSは、Amazon Managed Blockchainでイーサリアムを利用するユースケースとして、分散型金融(DeFi)を挙げています。DeFiとは、ブロックチェーンネットワーク上に構築された金融アプリケーションのネットワークのこと。証券会社などの仲介業者や銀行などの管理者を必要としないことから、セキュリティが高く参加のハードルは低いという特徴を持っているため、旧来の金融システムに代わるものとして注目を集めています。

DeFiがどのようなシステムなのかは、以下の記事に詳しくまとめられています。

既存の金融システムを塗り替える暗号資産の「分散型金融(DeFi)」のメリットとデメリットとは? - GIGAZINE


一方、イーサリアムを介したDeFiには、非同期ノードによるデータの信頼性の問題や、データストレージのスケーリングに伴う課題、脆弱(ぜいじゃく)なオープンソースソフトウェアによるノードのクラッシュ、イーサリアムソフトウェアのアップグレードにかかる時間が長いといった欠点があるとAWSは指摘しています。

そこで、今回イーサリアムに対応したAmazon Managed Blockchainを使うと、簡単にイーサリアムのノードを準備することができるようになるほか、イーサリアムのメインネットワークや、RinkebyRopstenなどのテストネットワークにも手軽に接続することが可能とのこと。


AWSは、Ethereum on Amazon Managed Blockchainにより、以下の5点のメリットを活用することができるとしています。

・安全なネットワークの構築
・イーサリアムAPIを介した安全なネットワークアクセス
・保存および転送時のデータの暗号化
・イーサリアムのブロックチェーンへの高速かつ信頼性が高い同期
・耐久性と柔軟性を兼ね備えた台帳データのストレージの利用

イーサリアムAPIを提供しているInfuraのプロダクト責任者であるMike Godsey氏は、「AWSのような大手がイーサリアムに本腰を入れて取り組むのは、イーサリアムの価値を示すシグナルです。Amazon Managed Blockchainがイーサリアムに対応することにより、開発者の裾野が広がって、エコシステム全体にとっても素晴らしい影響がもたらされるでしょう」とコメントしました。

AWSのEthereum on Amazon Managed Blockchainは、米国東部(バージニア北部)、アジアパシフィック(シンガポール・東京・ソウル)、欧州(アイルランド・ロンドン)の各リージョンでスタートしています。

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in ネットサービス, Posted by log1l_ks

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