iOS14の「広告トラッキングを許可制にする」機能が延期される見込み
AppleはiOS 14でセキュリティとプライバシーをさらに強化することを発表しており、その1つとして「ユーザーが広告トラッキングを事前に許可/拒否できる機能」を実装予定です。この機能はユーザーの個人情報を守る強力な手段となる一方で、広告業界に大打撃を与えるという点が指摘されています。これを受けてか、Appleが上記機能の実装を延期することを発表しました。
Details for app privacy questions now available - News - Apple Developer
https://developer.apple.com/news/?id=hx9s63c5&1599152522
Facebook complains, Apple responds: iOS 14’s big privacy change gets postponed | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2020/09/facebook-complains-apple-responds-ios-14s-big-privacy-change-gets-postponed/
Apple delays privacy feature that would let iPhone owners keep ad tracking at bay - The Verge
https://www.theverge.com/2020/9/3/21420176/apple-ios-14-tracking-permission-rule-developers-delay
Appleは2020年秋にiOS 14を公開する予定ですが、iOS 14ではプライバシーポリシーが改訂される見込みです。このポリシー変更により、iOS 14ではユーザーが許可しなければ、アプリがApple端末の広告識別子IDFAを収集・共有できなくなるとのこと。広告識別子はユーザーの行動履歴をもとに興味関心を推測する行動ターゲティング広告(ターゲット広告)に利用されるため、ターゲット広告による広告事業を展開するFacebookは「広告主が効率的にキャンペーンを展開できなくなるだけではなく、パブリッシャーやアプリ開発者への広告収入が減る」と警告していました。
Facebookが「iOS 14のプライバシーポリシー改訂でターゲット広告が難しくなり広告収入が激減する」と警告 - GIGAZINE
Appleのポリシー変更はパブリッシャーや開発者だけでなく、広告配信事業を営むFacebookの収益にも打撃を与えると考えられており、FacebookはFacebookを含む広告ネットワークに相談なく仕様変更したAppleへの不満をあらわにしました。
このような不満を受けてか、Appleは2020年9月3日に開発者に向けて、プライバシールールの改定を遅らせることを通知しました。Appleによる通知は以下の通りです。
「iOS 14、iPadOS 14,、tvOS 14でアプリはユーザーから『他社に追跡されること・広告識別子にアクセスされることの許可』を受け取らなければなりません。ユーザーがアプリからの追跡を選択できるよう、私たちは全力を注いでいます。アプリの開発者に必要な変更を行うだけの時間を提供するため、私たちは来年の初めから、アプリがユーザーの許可を取る必要があるようにします。詳細な情報はこの秋に更新される予定のApp Storeのレビューガイドラインに記載します」
これまでiOS 14の公開と同時に「アプリが広告識別子に関する許可をユーザーから取ること」が求められるとされてきましたが、少なくとも2021年までその時期を延期することとなったわけです。
AppleはテクノロジーメディアであるThe Vergeに対して「テクノロジーはユーザーの根本的なプライバシーに対する権利を守るべきだと私たちは考えています。その方法が、ユーザーに対して『どのアプリやウェブサイトが自分たちのデータを広告のために他社と共有しているのか』を理解するツールや、追跡の許可を取り消すためのツールを提供することです」「私たちは開発者に対し、必要な変更を行うだけの時間を提供したいと考えています。この結果として追跡許可の機能は来年初頭に実現するでしょう」と声明を送りました。
・関連記事
「iOS 14」の新機能の使い心地が一発で分かるハンズオンムービーが登場 - GIGAZINE
AppleとFacebookは敵対関係に見えつつ実は利害が一致している - GIGAZINE
Appleが「プライバシー上の懸念あり」としてSafariへの一部ウェブAPIの実装を拒否 - GIGAZINE
AppleがGoogle検索から独自の検索エンジンに乗り換える可能性が指摘される - GIGAZINE
Appleの反トラッキング機能が広告の世界を揺さぶっている - GIGAZINE
・関連コンテンツ