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Appleが導入を義務づけるアプリの「プライバシーラベル」は不公平なシステムだとWhatsAppが批判


ユーザープライバシーの保護に力を入れているAppleは、2020年11月にアプリのプライバシー慣行について明示した「プライバシーラベル」を、App Storeの製品ページに表示する予定だと発表しました。このプライバシーラベル表示を義務化する動き対し、Facebook傘下のメッセージアプリであるWhatsAppが、「Apple製アプリを不当に優遇する不公平なシステムだ」と批判しています。

WhatsApp goes after Apple over new privacy label requirements - Axios
https://www.axios.com/whatsapp-apple-privacy-label-requirements-cc0d5edd-ab2f-4549-b9d7-ea3c97184056.html


WhatsApp criticizes Apple’s new app privacy labels over iMessage inconsistency - The Verge
https://www.theverge.com/2020/12/9/22165152/whatsapp-privacy-apple-first-third-party-app-store-nutrition-labels

Apple’s privacy labels are coming to all apps, including its own - The Verge
https://www.theverge.com/2020/12/9/22165959/apple-privacy-nutrition-labels-all-apps-preinstalled-messages-web

Appleが導入すると発表したプライバシーラベルは、アプリが収集するユーザーデータの種類、データを収集する目的、ユーザーの匿名化などについて明示するもの。ユーザーはApp Storeの製品ページに表示されるプライバシーラベルを見ることで、アプリをダウンロードする前にプライバシーに関する詳細な情報を知ることができます。Appleは開発者に対し、App Store上で公開しているアプリについてプライバシーラベルを提出するよう義務づけており、2020年中にプライバシーラベルを導入する予定だとしています。

Appleが「アプリが収集するデータや利用目的などの情報」を新たな形で明示することを開発者に義務づける - GIGAZINE


メッセージアプリのWhatsAppもアプリのプライバシー慣行について公開しましたが、その一方で「Appleのプライバシーラベルは不公平だ」と批判したと海外メディアのAxiosが報じています。

WhatsAppが問題視しているのは、Apple独自のメッセージングサービスであるiMessageです。iMessageはiPhoneにプリインストールされているためにApp Storeからダウンロードする必要がなく、プライバシーラベルが表示されないままiPhoneにインストールされている点が反競争的だとWhatsAppは指摘。

WhatsAppの広報担当者はAxiosに対し、ユーザーにプライバシー慣行をわかりやすい形で提供するのはよい試みだと述べつつも、プライバシーラベルはファーストパーティとサードパーティの間で一貫しているべきだと主張。WhatsAppのようなサードパーティアプリのプライバシー慣行を、iMessageなどのプリインストールされたアプリと比較できることが重要だと述べました。


こうしたWhatsAppの批判に対し、Appleは「プライバシーラベルのプログラムがApple製の全アプリにも適用される」と反論。App StoreにあるApple製アプリにもサードパーティと同様のプライバシーラベルが掲載されるほか、App Storeで入手できないiMessageを含むいくつかのプリインストールアプリについては、Appleのウェブサイト上で確認できるとのこと。

テクノロジー系メディアのThe Vergeはプライバシーラベルに関するAppleの声明について、WhatsAppの批判に対する明らかな反応だと指摘。また、これまでAppleは「Apple製アプリがプライバシーラベルの要件から外れる」と発表したことはない点もThe Vergeは指摘しています。


Appleが厳しいプライバシー規則を設ける動きを強めていることについて、ティム・クックCEOは「Appleは他のテクノロジー企業よりも誤情報やプライバシーに関して強い責任を負っている」と主張しています。

Tim Cook differentiates Apple from Big Tech rivals
https://www.cnbc.com/2020/12/09/tim-cook-differentiates-apple-from-big-tech-rivals.html


2020年12月9日にリリースされたインタビューの中で、クックCEOは「今日のテクノロジーを取り巻く大きな問題のいくつかは、プラットフォーム上で起きる物事に対する責任の欠如にあります。Appleはしっかりと責任を負っており、厳しい決断を下します」と述べ、シリコンバレーの大企業の全てが責任を回避しようとしているわけではないと強調しています。

AppleはFacebookやYouTubeのようなソーシャルメディアプラットフォームを持っていないため、他のテクノロジー企業より誤情報の拡散といった問題に関わりにくいとみられますが、クックCEOはApple NewsやApp Storeのキュレーションで責任を果たしていると主張。

クックCEOは、「誰しも誤情報や暴力など、さまざまなものを増幅する打ってつけの存在になることができます。Appleはこのいずれにも参加したくありません。私たちは憎しみの一部になりたくありません。私はAppleがそうなるのを避けてきたと感じています」と述べました。

AppleはiOS 14において、広告のためのユーザートラッキングを許可制にする機能を2021年に実装する予定です。これによって広告配信で収益を得るFacebookなどが大きな打撃を受けると考えられており、AppleはFacebookのような広告企業との対立を深めています。

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in モバイル,   ソフトウェア,   ネットサービス,   セキュリティ, Posted by log1h_ik

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