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AppleがGoogle検索から独自の検索エンジンに乗り換える可能性が指摘される


AppleはiPhone・iPad・Mac上でSafariを利用する際に、デフォルトの検索エンジンとしてGoogleを使っています。しかし、AppleのウェブクローラーApplebotのサポートページが大きく更新されたことや、人材募集要項、iOS上でGoogle検索をバイパスする動きなどから、「Appleが近いうちに自社開発した検索エンジンを利用するようになるのではないか」という見方が強まっています。

Apple showing signs it may soon launch a search engine to compete against Google Search
https://www.coywolf.news/seo/apple-search-engine/

Googleは携帯電話キャリアや端末メーカー、サードパーティーのブラウザやOSなどで「デフォルトの検索エンジンをGoogleに設定する」ことを条件に、成功報酬型の契約を結んで支払いを行っています。AppleはSafariの検索エンジンとして長年Googleを採用しており、2019年にGoogleからAppleに支払われた額はイギリスだけで12億ポンド(約1600億円)にも上ることが報告されています。

Googleはデフォルト検索エンジンの位置を保つためAppleに相当な額の支払いを続けている - GIGAZINE


しかし、「AppleはGoogleの検索エンジンを独自の検索エンジンに置き換える可能性がある」と技術系メディアCoywolfジョン・ヘンショウ氏は指摘します。

ヘンショウ氏によると、Appleは検索エンジンのエンジニアを多く雇うなど検索サービスに多くの投資を行ってきたとのこと。また、これまでAppleのSpotlight Searchは「ホーム画面の検索欄からクエリを入力し、SafariでGoogleの検索結果を表示してから目的のページを開く」という仕組みでしたが、iOS 14などでは検索エンジン画面が完全にバイパスされ、ホーム画面の選択肢を押すと直接ウェブページが開くようになっているとのこと。


Googleの検索ページをバイパスするということは、Googleが広告を表示したり、YouTubeなど自社サービスに誘導する機会を失うということを意味します。これはGoogleにとって痛手ですが、Appleは既にGoogle検索を表示しない方向にかじを切っていることがわかります。

さらに、Appleは2020年7月にApplebotのサポートページを大幅に更新しました。

Applebot について - Apple サポート
https://support.apple.com/ja-jp/HT204683

更新された内容は「Applebotからのトラフィックを確認する方法」「デスクトップ版とモバイル版の違いなど詳細」「robots.txtルールの拡張」「Applebotは単にHTMLをクローラーしているのではなくGoogleのようにページをレンダリングしているという文章の追加」「検索ランキングや検索ランキングに影響する要素のセクション」といったもので、GoogleのSEO対策ページと似ているとヘンショウ氏は指摘しています。

そしてヘンショウ氏がWP EngineでCoywolfのサーバーログをチェックしたところ、Applebotは実際に毎日Coywolfをクローラーが巡回したことが判明したとのこと。WP Engineでチェックするまで、ヘンショウ氏はこの動きに全く気づいていなかったそうです。


Appleが開発する検索エンジンがどんなものかはわかりませんが、Appleはユーザーのプライバシー保護を重視していることから、ヘンショウ氏は「高度にパーソナライズされたデータハブとなり、AndroidにおけるGoogleアシスタントのような感じでしょう。しかし、少なくとも最初は広告が表示されず、完全にプライベートで、iOSに統合されたものになると思われます」と予想しています。

Appleが検索エンジンを開発していると指摘するのはヘンショウ氏だけではありません。Search Engine RoundtableBarry Schwartz氏も同様の指摘をしており、Appleが検索結果のランク付けにおいて「検索結果とユーザーエンゲージメントの総計」「検索ワードとウェブページのトピック・コンテンツとの関連性」「外部リンクの数と質」などを重視することを述べています。

Apple Search Ranking Factors Documented
https://www.seroundtable.com/apple-search-ranking-factors-29821.html


Apple関連のニュースを配信するMacworldもこのニュースを報じており、EUがAppleとGoogleの取引に批判的な目を向けていることや、ユーザーのプライバシー向上という観点から、自社検索エンジンの登場をAppleの「次のステップ」だと述べました。

Apple could soon launch its own search engine - Macworld UK
https://www.macworld.co.uk/news/mac-software/apple-search-engine-3794682/

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in ソフトウェア, Posted by darkhorse_log

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