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GoogleがAndroidにプライバシーサンドボックスを導入し広告IDを2年間維持する計画を発表、Appleのプライバシー施策より混乱が少ないと主張


2022年2月16日、Googleが2019年からChromeに導入しようとしてきたCookieレスなユーザー追跡機能「プライバシーサンドボックス」をAndroidにも導入する予定だと発表しました。このAndroid版プライバシーサンドボックスは、AppleがiPhoneに導入している同種の機能「App Tracking Transparency」に比べて広告企業におもねった内容であるため、「ATTの牙を抜かれたバージョン」と評されています。

Introducing the Privacy Sandbox on Android
https://blog.google/products/android/introducing-privacy-sandbox-android/

Google doesn't want to pull an Apple with new ad tracking changes for Android
https://www.androidpolice.com/android-privacy-sandbox-changes-ads/

Android’s toothless “Privacy Sandbox” fails to answer iOS tracking limits | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2022/02/androids-toothless-privacy-sandbox-fails-to-answer-ios-tracking-limits/

Google to overhaul how ad-tracking works on Android phones - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2022/02/16/google-ads-tracking-android/

例えば男性に対してブラジャーの広告を出しても意味がないように、広告の効果を高めるためには「ユーザーのニーズ」を知ることが重要です。iPhoneやAndroid端末には「広告識別子(広告ID)」と呼ばれる一意のIDが割り振られており、アプリ開発者や広告主はこの広告IDで「どのアプリ内広告をユーザーがクリックしたか」「何に対して支払いを行ったか」といった行動を追跡することが可能でした。

しかし、近年ではこうした「ユーザー追跡」はプライバシーの侵害にあたるという声が強く、Appleは2021年4月にリリースした「iOS 14.5」から広告IDを使ったユーザー追跡を許可するか否かをユーザー自身に選べるようにする「App Tracking Transparency(ATT)」というプライバシー強化システムを実装。その結果、iPhoneユーザーの大多数が追跡を拒否するようになりました。

2022年2月16日にGoogleが発表したAndroid版プライバシーサンドボックスは、上述のATTのAndroid版といえる内容。プライバシーサンドボックスは、Googleは2019年にChromeの「Cookieを用いたユーザー追跡」を廃するために、Cookieを用いたユーザー追跡の代替として提唱したシステムです。

Googleが「ユーザー情報を保護しつつ広告の関連性も損なわない」仕組みの開発を行うと宣言 - GIGAZINE


Googleが今回の発表の中で明かしたのは、現段階が複数年計画のごく初期にあたるということ、Android開発者用サイトでフィードバックを共有できるということ、完全にユーザー追跡を放棄するものではなく無料コンテンツや無料サービスの存在に貢献している広告業界にも配慮して実装を進めるということ、自社製品などを優遇しないように規制当局と緊密に連携していくことなど。具体的に記された内容は少ないため、おおむね「構想を明かす」といった内容だと報じられています。

今回の発表について報道各社が指摘しているのは、GoogleはAndroid OSを提供していると同時に世界最大の広告企業でもあるため、Android版プライバシーサンドボックスがAppleのATTに比べて広告企業側に寄った内容になっているという点。前述のようにiPhoneではATTを導入した結果大多数のユーザーがユーザー追跡を拒否していますが、プライバシーサンドボックスはCookieこそ使わないものの、属性によりグループ化された「ユーザーの集合」として識別する「FLoC」というシステムでの追跡は行うため、あくまで「個人特定はされないが、ターゲティング広告自体は可能」というものとされています。

Googleの新しい広告システム「FLoC」はどのような仕組みで動作するのか? | GIGAZINE.BIZ


また、「ユーザーの集合」を詳細に分析することで個人特定もできうるとのことでFLoCは大きな批判を招いており、Googleは2022年1月にFLoCの代替となる「トピックID」を発表しています。このような流れの中で発表されたAndroid版プライバシーサンドボックスは概略にとどまるため、具体的にどのような実装が行われるかは不透明という状況です。

Googleが「最悪」と評された新システム・FLoCを捨てて「トピックAPI」に方針変換、どんな仕組みなのか? - GIGAZINE

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in モバイル, Posted by darkhorse_log

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