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Appleが無料アプリのアップデートをブロックして課金オプションの追加を要求、手数料で儲けるための馬鹿げた行為と批判が噴出


Appleが無料アプリとして提供されてきたiOS版「WordPress」アプリのアップデートをブロックし、課金オプションを追加するように要求してきたと、WordPressの開発者でありAutomatticの創業者でもあるマット・マレンウェッグ氏が語っています。

WordPress claims Apple cut off updates to its completely free app because it wants 30 percent - The Verge
https://www.theverge.com/2020/8/21/21396316/apple-wordpress-in-app-purchase-tax-update-store

スマートフォン向けOSとして市場を二分するAppleのiOSとGoogleのAndroidには、それぞれApp StoreとGoogle Playという公式アプリストアが存在しており、このアプリストアと通してアプリを配布するアプリ開発者はアプリ売上の一部を手数料として支払う必要があるため、長らく不満の声が挙がっていました。AppleやGoogleはアプリ内の課金に対して一律で手数料を徴収し続けているため、「独占である」という声もあり、実際に人気ゲーム・フォートナイトの開発元であるEpic Gamesは2社に対して訴訟を提起し大きな話題となっています。なお、特にAppleが課す手数料はアプリ内課金による売上の30%と高額であるため、Epic Games以外にも過去にSpotifyHEYといったアプリの開発者がApple批判の声を挙げていました。

「フォートナイト」開発元のEpic GamesがAppleを提訴 - GIGAZINE


App Storeの手数料について多くの批判を集めるAppleですが、新しく「無料アプリに課金オプションを追加するように迫っている」ことが明らかになりました。これはApp Storeを介した課金オプションを追加させることで、手数料として30%の売上を徴収するための試みであるとして、「馬鹿げた話」と海外メディアから批判されています。

事の発端となったのは、WordPressの開発者であるマレンウェッグ氏の以下のツイート。同氏によるとiOS版のWordPressアプリのアップデートがApp Storeによりブロックされてしまい、WordPressアプリのバグ修正などができなくなってしまったとのこと。最新のアップデートを配信するにはWordPress.comの有料オプションをアプリ内課金で提供する必要があると通知されたそうです。

New name: The app has always done a ton of work to support WordPresses hosted anywhere, using the XML-RPC API included in core WP since WP 2.6 was released in 2008. That's why we called it "WordPress" and not "https://t.co/lj1vCfp4UL" or "Jetpack."

— Matt Mullenweg (@photomatt)


iOS版WordPressアプリは単に無料でウェブサイトを作ることが可能というアプリであり、独自ドメインを購入したりするオプションは存在しません。それにもかかわらず課金オプションの追加を要求しているということで、テクノロジーメディアStratecheryBen Thompson氏は、「iOS版WordPressアプリは何も販売していないのに、アップデートをブロックする理由はどこにあるのでしょうか。このアプリはオープンソースのプロジェクトであり、Appleは馬鹿げた理由から課金オプションの追加を要求しています」と、Apple側の対応を非難しています。

To be clear, the app doesn’t sell anything, and why would it? It’s an open source project. Apple is requiring the addition of functionality that has no plausible reason to exist.

— Ben Thompson (@benthompson)


海外メディアのThe VergeがAppleに連絡したところ、マレンウェッグ氏のツイートが事実であることを認め、App Storeで配信されているアプリは「アプリのコンテンツまたは機能(例:サブスクリプション、ゲーム内通貨、ゲームレベル、プレミアムコンテンツへのアクセス、フルバージョンの利用)は、アプリ内課金を使用して解放する必要があります。コンテンツや機能を解放するため、ライセンスキー、拡張現実マーカー、QRコードなど、アプリ独自の方法を用いることはできません。アプリ内課金以外の方法で、ユーザーを何らかの購入に誘導するボタン、外部リンク、その他の機能をアプリやメタデータに含めることはできません」というApp Store Reviewガイドラインに従う必要があると説明されたそうです。

ただし、前述の通りiOS版WordPressアプリは何も販売していません。加えて、WordPress.comで購入したものに対してアプリ上で可能なことは「追加ファイルをアップロードする」と「ウェブサイトのテーマを選択する」のみで、他に特別なことはできないとのこと。


なお、マレンウェッグ氏はApple側の要求を受け入れ、WordPress.comの有料オプションをアプリに追加する予定と語っており、Apple側も課金オプションが追加されればアップデートを許可することに同意しているとのことです。

一連の騒動に対してThe Vergeは、「AppleはWordPressとの争いに勝利しました。世界で最も裕福な企業(Apple)は、アプリ開発者にアプリの収益化を余儀なくさせることで、より多くのお金を稼ぐことができるようになります。これはAppleが収益を守ろうと熱心に取り組んでいることの最新事例のひとつにすぎず、顧客体験を何よりも優先してきたはずのAppleの精神に反した決定のように思えます」と記しました。

・追記 2020年08月25日 10時10分
AppleはCNETに対して「iOS版WordPressアプリの問題は解決されました」という声明を出し、この中で「(iOS版WordPressアプリは)無料のスタンドアロンアプリであり、課金オプションを追加する必要はありません。開発者に間違った通知を行い、混乱を招いたことをお詫び申し上げます」と、WordPressに対して課金オプションの追加を迫ったことは間違った判断であったと謝罪しています。

Apple says WordPress doesn't have to add in-app purchases - CNET
https://www.cnet.com/news/apple-says-wordpress-doesnt-have-to-add-in-app-purchases/

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in モバイル,   ソフトウェア, Posted by logu_ii

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