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AppleやGoogleが運営するアプリストアはあまりにも多額の手数料を取っているとアプリ開発側の不満が募る

by David Švihovec

AppleはiPhoneやiPad向けのOSである「iOS」、GoogleはSamsungのGalaxyシリーズやソニーのXperiaシリーズなどさまざまなスマートフォンで採用されているOSの「Android」を開発しており、これらのOSは世界中で使用されているスマートフォンの大半で採用されているものです。これらのOSでアプリをインストールするには、iOSの場合はApp Store、Androidの場合はGoogle Playといった専用のアプリストアを利用するのがほとんどなわけですが、サードパーティー製のアプリを配信する際、アプリストア側に支払わなければいけない手数料が高すぎるということで、多くの企業の間で不満が募っています。

Fortnite, Netflix Take On Apple, Google Over App Store 'Tax' - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-08-22/apple-and-google-face-growing-revolt-over-app-store-tax

AppleやGoogleが運営するアプリストアがアプリ開発者側からあまりにも多額の手数料を徴収しているというのは有名な話。実際、App Storeの場合、手数料として徴収するのはアプリの売上(アプリ自体の販売価格やアプリ内課金などを含めた売上)の30%で、2年目以降は15%に下がることが明らかになっています。

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この手数料の支払いを嫌い、Epic Gamesの大人気ゲーム「フォートナイト」のAndroid版(2018年8月にリリース)では、アプリストアをバイパスするという異例の方法が採用されています。これによりGoogle側は2018年内だけで5000万ドル(約55億円)もの手数料を徴収し損ねると見積もられており、アプリストアビジネスがいかに巨大な利益を生んでいるのかがよくわかります。

また、App Storeで人気のオンラインストリーミングサービスのNetflixも、高い手数料を嫌って、サブスクリプションユーザーからの月額料金の徴収方法を変更する方針を打ち出しています。

NetflixがApp Storeの高い手数料を嫌って月額料金徴収のバイパス法を模索中 - GIGAZINE


アプリストアの収益に大きな関心を抱いているのはアプリ開発側だけではありません。PCゲームをスマートフォンでプレイできるようにする「Steam Link」のiOS版が、「ビジネス上の競合」が理由でApp Storeでの配信が承認されないという事態が発生したのですが、これはApp Storeにとってビジネス上の競合となりうるSteam Linkの配信をApple側が嫌ったのではないか、とみられています。

PCゲームをスマホでプレイできる「Steam Link」のiOS版に向けAppleはValveと協力している - GIGAZINE


このような「AppleおよびGoogleのアプリストア運営側」と、「アプリ開発側」の対立について、オーストラリアの投資銀行であるマッコーリーでアナリストを務めるベン・シャクター氏は、「今(のアプリストア関連の状況)は、何かが沸き立つような感覚がある」「何しろアプリストアで取引される金額は莫大になっているので、アプリを配信する企業側はとにかくAppleやGoogleに何十億ドル(数千億円)もの手数料を払いたくないのでしょう」と語っています。

AppleおよびGoogleが独自のアプリストアを開設したのは2008年のこと。それ以来、何百万人もの独立系の開発者がさまざまなアプリを開発しており、2018年上半期にはApp StoreおよびGoogle Playのアプリに、約344億ドル(約3兆8000億円)もの金額をユーザーがつぎ込んだことが明らかになっています。なお、2つのアプリストアの売上合計は2017年は820億ドル(9兆1000億円)でしたが、2022年には1570億ドル(約17兆4000億円)にまで膨れあがると予測されています。

前述の通り、近年はユーザーとアプリの接点を担うアプリストアがあまりにも多くの手数料を取り過ぎていると多くの批判を集めています。モバイル企業Branchの共同設立者であるアレックス・オースティン氏は、「AppleやGoogleは、(Netflixやフォートナイトのように)手数料をバイパスしようとしていないか確認することに積極的です」「AppleやGoogleは全体でこの流れを見直し、開発者側から手数料を確保することに必死です」とコメントしました。

もしもアプリストアの手数料が5~15%にまで引き下げられたとしても、Appleは2020年までにApp Storeの売上の21%を、Googleの場合は売上げの20%を支払金利前税引前利益として得られる、とマッコーリーは推測しています。また、Bloombergのアナリストも同じように2020年にAppleとGoogleが得られる支払金利前税引前利益が500億ドル(約5兆5000億円)以上にもなると予測。つまり、2社がアプリストアの手数料を下げたとしても、十分過ぎる利益が得られるとマッコーリーとBloombergは主張しているわけです。

by Rami Al-zayat

App StoreがAppleのサービス事業を支えることを期待している投資家にとって、多くのアプリ開発企業がアプリストアへの反発を強めている事態は、大きな懸念材料になっています。そのため、Appleは頻繁にアナリストとの電話会議を開き、App Storeの財政的な成功を強調しているそうです。

それに対して、Googleの方はというと法的な問題を抱えています。何が問題になっているのかというと、EUの独占禁止法が、Android端末に専用のアプリストアとしてGoogle Playを自動的にインストールすることを禁じる可能性があるためです。記事作成時点ではGoogleはこの訴訟で争っている段階なのですが、正式に禁止と決まれば、今後より多くのアプリ開発側がEpic GamesのようにGoogle Playをバイパスする施策を取る可能性があり、そうなるとGoogle側はより多額の手数料を徴収し損ねることとなります。しかし、シャクター氏はこの事態については「世界中で多くの人々がアメリカの技術と戦うための方法を模索しており、これは自然なことだと感じます」とコメントしており、健全な在り方に近づいている証であるとしています。


なお、Google Playのバイパスを行っているEpic Gamesのティム・スウィーニー氏は、パブリッシャー側がゲームの開発・運用・サポートの費用を負わなければいけない現代において、アプリストアに手数料として売上の30%を持って行かれるというのは「高コスト過ぎる」と語り、「中間代理店は必要なくなりました」とも述べています。

しかし、調査会社のApp Annieでシニアバイスプレジデントを務めるダニエル・レビタス氏は、「アプリストアという強力な流通経路をバイパスするというのは、大多数のパブリッシャーにとっては愚かな行為です。Epic Gamesのようにバイパスを計画しているゲーム開発者はほとんどいません」と、アプリストアが開発者にとって有用な流通経路になっていると指摘。

しかし一方で、「アプリストアからアプリが削除された結果売上が増加した」という声もあります。

App Storeからアプリが削除されて100日が経過した結果、売上は増加 - GIGAZINE


Branchのオースティン氏は、この状況はアプリストアというシステムがいかに壊れているかを示しているとコメント。また、「あなたが小規模な新興企業であるなら、ウェブ上でサービスのサブスクリプションを別売りすることはできないでしょう」と語り、大部分の企業にとってはアプリストアに手数料を支払うことこそが、ユーザーにアプリを手軽にリーチするための効果的な方法であるとしています。

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in モバイル,   ソフトウェア, Posted by logu_ii

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