TikTokのアメリカ事業買収競争にOracleが参戦

by Gregory Varnum

中国のByteDanceが開発・運営するショートームービー共有アプリ「TikTok」の中国国外事業買収に、世界第2位のソフトウェア企業であるOracleが名乗りを上げました。これまでにTikTokの中国国外事業買収に意欲を見せてきたMicrosoftと新たに手を挙げたOracle、世界第1位と世界第2位というソフトウェア業界の巨人たちがTikTokを巡って争います。

Oracle enters race to buy TikTok’s US operations | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2020/08/oracle-enters-race-to-buy-tiktoks-us-operations/

Oracle is in talks to acquire TikTok's U.S. operations, source says
https://www.cnbc.com/2020/08/17/oracle-is-in-talks-to-acquire-tiktoks-us-operations-source-says.html

Oracle’s Improbable TikTok Talks Have a Simple Explanation: Data - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-08-18/oracle-s-improbable-tiktok-talks-have-a-simple-explanation-data

Oracleが買収を検討しているのは、TikTokのアメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド事業です。情報筋によると、OracleはByteDanceやByteDanceの株式を保有するセコイア・キャピタルなどのアメリカの投資企業との予備協議をすでに行っており、TikTokの海外事業購入を真剣に検討しているとのこと。Oracleは近年クラウドコンピューティングおよび消費者データに関するビジネスを拡張することに意欲を見せていたため、TikTokが収集する顧客データを活用したマーケティングの改善に注目しているとみられています。

TikTokの買収競争は、「ユーザーの入力した内容を盗み取っている」というTikTokのプライバシー上の問題が大本。2020年7月13日にはアメリカの民主・共和両党が「プライバシー上の懸念がある」としてTikTokの利用を控えることを求め、2020年8月4日にはトランプ大統領がTikTokに対して「2020年9月15日までにアメリカ企業に事業を売却すること」を要求し、さもなければアメリカ国内でのTikTokの利用を禁じるとしました。

トランプ大統領がTikTokに「2020年9月15日までにアメリカ企業に売却すること」を要求、Microsoftが買収に名乗り - GIGAZINE

トランプ大統領のこの発表の後も、アメリカ連邦議会によって政府職員の「TikTok禁止」が可決。アメリカにおいてTikTok排斥は加速しています。

政府職員のTikTok使用を禁じる法案が連邦議会で可決される、アメリカのTikTok排斥がさらに加速 - GIGAZINE

新たに「ポリシーに違反してMACアドレスを1年以上にわたって収集していた」という問題も明らかになりましたが、MicrosoftとOracle、ソフトウェア業界における世界第1位と世界第2位が買収に意欲を見せています。報道によると、Twitterも手を挙げているとのことですが、アメリカのIT系メディアは「MicrosoftとOracleが他のどの企業よりも有力」と記しています。

MicrosoftはTikTokのヨーロッパ事業やインド事業の買収にも意欲を見せているとのこと。しかし一方で、ByteDanceはアメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド以外の国外事業の売却については反対していると情報筋は語っています。