「瞑想がうつ病や不安を悪化させる危険もある」との指摘
瞑想などによるマインドフルネスは「今起きている経験に集中し、ただありのままを受け入れる」ことで、ストレスや痛みを軽減したり、子どもたちの成績を向上させたりする効果があるといわれています。しかし、時にはうつ病や不安を悪化させてしまう危険があると、コヴェントリー大学のミゲル・ファリアス准教授が指摘しています。
Mindfulness and meditation can worsen depression and anxiety | New Scientist
https://www.newscientist.com/article/2251840-mindfulness-and-meditation-can-worsen-depression-and-anxiety/
瞑想などを通じて自分の置かれた状況や感情、呼吸に集中するマインドフルネスは、Googleが研修に取り入れたこともあって知名度を高めました。すでに科学的な側面からマインドフルネスをはじめとする瞑想の効果を調べる研究も行われており、瞑想によるストレスの軽減や学習パフォーマンスの向上などが報告されています。
イギリスの国民保健サービス(NHS)もマインドフルネスについて紹介しており、うつ病の発作を過去に数回経験した人々のうつ病再発を、マインドフルネスを実践することで予防できると述べています。精神障害を患う人々が瞑想に関心を持つのは、抗うつ薬の副作用に対する懸念が増加していることや、一部の人々が「抗うつ薬に依存してしまい、治療が終わっても服用を止められない」と報告していることが原因かもしれないとのこと。
その一方で、瞑想をした人が不快感を報告するケースも確認されており、必ずしも瞑想がメリットをもたらすわけではない可能性もあると指摘されています。ファリアス氏らの研究チームは、さまざまな医学雑誌から55の関連研究を見つけ出し、意図的に瞑想の悪影響を発見しようとしていたものを除外して、各研究でどれほどの人々が瞑想によって害を受けたのかを算出しました。
分析の結果、研究チームは瞑想を行った人のおよそ8%に望ましくない影響が及んでいたことを発見したとのこと。「人々は不安の増大からパニック発作まで、あらゆるものを経験しました」とファリアス氏は述べており、中には精神に異常が出たり死にたい気持ちを抱いたりするケースもあったそうです。
瞑想に関する研究では特に深刻な悪影響のみが報告されているか、悪影響について触れていないケースも考えられるため、今回の研究で算出された8%という割合は、実際に悪影響を経験した人の割合よりも少ない可能性があります。
英国心理学会のメンバーであるケイティ・スパークス氏は、ファリアス氏の研究チームが算出した8%という数値について、研究時点では未診断だったうつ病や不安を抱えていた人々によって押し上げられた可能性があると指摘。「瞑想は人々がリラックスして再び集中し、精神的にも肉体的にも助けることがわかっています」とスパークス氏は述べています。
その一方で、人々が瞑想中に自身の思考を止めようとしている際には、精神が反抗することもあるとのこと。「これは精神をコントロールしようとする試みに対する反発のようなもので、不安や抑うつのエピソードをもたらします」とスパークス氏は述べ、瞑想が悪影響を及ぼす可能性もあると認めました。
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