瞑想は初心者でも肉体や精神の痛みを和らげられると判明
瞑想(めいそう)は「ストレスが減る」「疾病リスクが減る」といった利点がうたわれています。科学的に見て瞑想にはこのようなメリットが本当にあるのか?と、これまでもさまざまな調査が行われてきましたが、調査のほとんどは「瞑想経験者」を被験者とするものでした。そこで、イエール大学の心理学准教授であるヘディ・コバー氏は瞑想未経験者を対象にして、「瞑想で精神的・肉体的な痛みがどれほど軽減されるか」を調査しました。
Let it be: mindful acceptance down-regulates pain and negative emotion | Social Cognitive and Affective Neuroscience | Oxford Academic
https://academic.oup.com/scan/advance-article/doi/10.1093/scan/nsz104/5716281
Antidote to pain and negativity? Let it be. | YaleNews
https://news.yale.edu/2020/02/19/antidote-pain-and-negativity-let-it-be
A Short Meditation Could Help With Pain Management Even if You've Never Tried It Before
https://www.sciencealert.com/even-a-short-period-of-meditation-can-help-people-deal-with-pain-and-negativity
この研究は小規模なもので、コバー氏は17人の被験者を2人1組にして、2つのテストを行いました。このテストは、「被験者の手に熱いものや温かいものを当てる」という肉体的な痛みに焦点を当てたものと、「ネガティブあるいは中立的な画像を見せる」という精神的な痛みに焦点を当てたものでした。このとき、「ネガティブな画像」とは切断された肉体など、「中立的な画像」とは家具などが写ったものを指します。
研究者はテストを行う際、被験者に対して2パターンの指示を行いました。1つ目のパターンは被験者に「自然にしてください」と指示するもの。2つ目のパターンは、「今の経験をあるがままに受け入れてください」というような、マインドフルネスや瞑想の手法を取り入れた手法を指示するものでした。1つ目のパターンは基準値を、2つ目のパターンは瞑想の効果を測るためのものという位置付けですが、実験の結果、瞑想を取り入れた指示を受けた被験者の方が肉体的・精神的両方の痛みが小さいと報告したとのこと。
また、研究者が被験者の脳で何が起こっているのかをMRIスキャンで見てみたところ、瞑想を実行した被験者はタスク中、痛みやネガティブな感情に関係する脳の部位の活動が減少していることが示されました。たとえば、熱いものを腕に当てられた人でも、脳は温かいものを当てられただけかのように反応していたそうです。
興味深いのは、このような変化が起こっている時に意識や合理的決定に関連する前頭前野での変化はないということ。つまり、瞑想の効果は脳にとって無意識レベルで発生していることが示唆されたわけです、
これまでの研究で瞑想が健康を増進すると示されてきましたが、今回の研究によって、その効果の即時性が示されたと研究者らは結論付けています。「肉体的あるいは精神的な痛みがある時に『今この瞬間に集中すること』が役立つとするこの研究結果は、たとえ長期的な瞑想の経験がなくとも、慢性的な症状に対してマインドフルネスが臨床的に有益であることを示します」とコバー氏は述べました。
・関連記事
「瞑想」で生じるデメリット「魔境」について科学的な調査が始まる - GIGAZINE
瞑想やヨガの後にはエゴが著しく増大するという調査結果 - GIGAZINE
瞑想が子どもたちの成績を向上させてストレスも軽減させることが可能と判明 - GIGAZINE
6万2000時間以上瞑想を行ってきたハイレベルな瞑想家の脳内では何が起きているのか? - GIGAZINE
瞑想をした人の4人に1人は「不快な瞑想」だった経験がある - GIGAZINE
・関連コンテンツ