SpaceXの試作宇宙船「Starship SN5」が高度150メートルの飛行テストに成功
SpaceXが計画する有人宇宙飛行で運用される予定の、100人以上を運ぶことができる全身ステンレスの宇宙船が「Starship」です。このStarshipのプロトタイプであるSN5の150メートル飛行試験が現地時間の2020年8月4日に行われ、成功しました。
Starship SN5 | 150m Hop
https://spacelaunchnow.me/launch/starship-sn5-150m-hop/
Starship SN5 conducts successful 150-meter flight test - NASASpaceFlight.com
https://www.nasaspaceflight.com/2020/08/starship-sn5-set-150-meter-flight-test/
Starship SN5が150m飛行試験に成功する瞬間は以下のムービーの1時間15分10秒辺りで確認できます。
Starship SN5 Successfully Completes 150-Meter Hop in Boca Chica, Texas - YouTube
再利用可能なロケットのFalcon 9やFalcon Heavyを開発したSpaceXはかねてより超巨大ロケット「Starship」の開発を計画しており、将来的に100人以上を月や火星に運ぶことを目指しています。
100人以上を月や火星まで運ぶことを目指すSpaceXの新型宇宙船「スターシップ」はどんなロケットなのか? - GIGAZINE
SpaceXは、Starshipの開発に先駆けて、宇宙船部分の小型プロトタイプ機である「Starhopper」を2019年に開発しました。SpaceXが開発する液体燃料ロケットエンジン「ラプター」を搭載したStarhopperは、テスト中に火だるまになったこともありましたが、2019年8月には上空150メートルまで飛んで再着陸するテストに成功しました。
SpaceXの宇宙船「Starhopper」が火だるまになった前回テストから一転、飛行に成功 - GIGAZINE
2019年9月には新しいプロトタイプ機の「Starship Mk1」が発表されましたが、Starship Mk1は同年11月に行われた極低温負荷試験中に爆発してしまいました。
RIP Starship Mk1. @LabPadre stream:https://t.co/CwiHPUf7D3 pic.twitter.com/SckLfdIhw3
— Chris B - NSF (@NASASpaceflight) November 20, 2019
その後、Starship Mk2が作られる予定でしたが中止となり、Starship Mk3が名前を「Starship SN1」と改めた上で発表されました。SpaceXのイーロン・マスクCEOによれば、SNリーズはマイナーバージョンアップを繰り返し、最終的にSN20に到達した段階で、「Starship バージョン1.0」になるとのこと。
We’re now building flight design of Starship SN1, but each SN will have at least minor improvements, at least through SN20 or so of Starship V1.0.
— Elon Musk (@elonmusk) December 28, 2019
しかし2020年2月に、SN1は燃料タンクの加圧テストで破裂してしまいます。続くSN2、SN3も同じように加圧テストをクリアできませんでした。
StarShip SN3 has ruptured due to cryogenic pressurization testing, on to SN4.????
— Austin Barnard???? (@austinbarnard45) April 3, 2020
(Source:@LabPadre) pic.twitter.com/gXgI7RtVeq
2020年4月にSN3が加圧テストに失敗した際に、マスクCEOは理由として「一部のバルブが低温漏れを起こしていました。修正してすぐに再テストを行う予定です」と述べました。
Some valves leaked at cryo temp. Fixing & will retest soon.
— Elon Musk (@elonmusk) April 3, 2020
その言葉通り、SN4は2020年5月1日の加圧テストはクリアしましたが、同月30日に実施されたエンジンの燃焼試験では失敗して大爆発を起こしました。
#SpaceX's Starship SN4 launch vehicle prototype explodes after static engine fire test
— Yash Rastogi (@yash__rastogi) May 29, 2020
Important to note that Starship is unrelated to the upcoming Demo-2 mission, but it's not the best look right now#starship #sn4#crewdragon #demo2 #ElonMusk pic.twitter.com/7OXG9CgSxx
そして続いて開発されたSN5がついに2020年7月30日に行われた燃焼試験をクリアし、続く今回の150メートル飛行試験にも成功しました。なお、本来150メートル飛行試験は8月3日に行われる予定でしたが、エラーが発生したために発射カウントダウン直前に中止となっています。マスクCEOによれば、エラーの内容は「ラプターエンジンのターボポンプ回転開始バルブが開かなかったこと」とのことでした。
Scrubbed for the day. A Raptor turbopump spin start valve didn’t open, triggering an automatic abort. We’ll figure out why & retry tomorrow.
— Elon Musk (@elonmusk) August 4, 2020
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