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NASAとSpaceXによるアメリカ初の民間宇宙船の打ち上げムービー&写真まとめ


アメリカ航空宇宙局(NASA)とイーロン・マスク氏が設立した民間宇宙開発企業・SpaceXが、日本時間の2020年5月31日4時22分に、アメリカ・フロリダ州にあるケネディ宇宙センター第39発射施設からSpaceX製の再利用可能ロケット「Falcon 9」を用いた有人宇宙船「Crew Dragon」の打ち上げに成功しました。軌道への突入に成功したCrew Dragonは、打ち上げから約19時間後に国際宇宙ステーション(ISS)とドッキング予定です。

SpaceX successfully launched its Crew Dragon mission to orbit - The Verge
https://www.theverge.com/2020/5/30/21269703/spacex-launch-crew-dragon-nasa-orbit-successful

SpaceX makes history with successful first human space launch | TechCrunch
https://techcrunch.com/2020/05/30/spacex-makes-history-with-successful-first-human-space-launch/

SpaceX successfully launches NASA astronauts into orbit
https://mashable.com/article/spacex-iss-nasa-historic-flight/

SpaceXは過去約20年間の努力の成果として、ついに自社製の有人宇宙船およびロケットを用い、宇宙飛行士のダグ・ハーレー氏とボブ・ベンケン氏の2人を宇宙に送り出すことに成功しています。アメリカで有人宇宙飛行ミッションが行われたのは2011年7月以来9年ぶりのことで、民間の宇宙船が軌道に乗ったのは今回が初のことです。

SpaceXが今回の有人宇宙飛行ミッションに用いたのは、同社の開発した再利用可能ロケット「Falcon 9」と……

by Official SpaceX Photos

有人宇宙船の「Crew Dragon」です。Crew Dragonは民間製の宇宙船として初の、「軌道に乗った宇宙船」となります。


Crew Dragonに乗り込むために、家族に別れを告げて第39発射施設へと向かうハーレー氏とベンケン氏。第39発射施設へはイーロン・マスク氏の電気自動車メーカーであるテスラのModel Xで移動する模様。


打ち上げの瞬間を収めたムービーは以下からチェック出来ます。


打ち上げの瞬間を撮影した写真も。


メインエンジンの燃焼が終わり、切り離され、セカンドステージエンジンが点火する瞬間。


Crew DragonがFalcon 9のセカンドステージエンジンから切り離される瞬間。


Crew Dragonの打ち上げに使用されたFalcon 9は、海上のロケット回収船上に無事着陸しています。


SpaceXのCrew Dragonは、NASAの商業乗員輸送開発プログラムの一環として開発されました。Crew Dragonの開発には約6年もの年月がかかっており、商業乗員輸送開発プログラムにはSpaceX以外にボーイングも参加しているため、Crew Dragonの軌道突入成功はプログラム全体にとって大きな一歩となります。なお、ミッションすべてが成功すれば、今後数年間で定期的にNASAの宇宙飛行士をISSに送り届けるためにCrew Dragonが使用される可能性も。なお、Falcon 9は打ち上げから約12分後にCrew Dragonを軌道上に乗せることに成功しており、その後、約19時間後にISSにドッキングすることとなります。

2011年7月に打ち上げられた宇宙船以来、NASAが宇宙飛行士をISSへ送り届けるには、ロシア製の有人宇宙船であるソユーズを使用する必要がありました。ソユーズの使用には約8000万ドル(約86億円)の費用が必要であり、また、有人宇宙船をロシアに依存するという状況を終わらせるために、NASAは商業乗員輸送開発プログラムを始動します。それまでの人類の宇宙開発は、政府機関が宇宙船の設計・製造・開発・運用を監督してきました。しかし、NASAは商業乗員輸送開発プログラムにおいて民間企業が宇宙開発に参画することを望み、2014年にSpaceXおよびボーイングと契約を締結。当初、2017年までに民間企業による有人宇宙船が完成することを期待していましたが、技術的な遅延やテストの失敗などが重なり、プログラムは遅れに遅れていました。しかし、2020年5月31日についにSpaceX製のCrew Dragonが打ち上げに成功したため、プログラムは大きな一歩を踏み出すことに成功したこととなります。

Crew DragonとISSのドッキングには宇宙飛行士の入力は一切必要としておらず、自動的にドッキングされるよう設計されています。しかし、宇宙飛行士が専用の端末に近づくと、タッチスクリーン上から宇宙船を手動でコントロールすることができるようになるとのこと。Crew DragonがISSにドッキングする際は、この手動操縦機能をテストしたのち、自動ドッキングが行われるそうです。なお、ドッキングが行われるのは日本時間の2020年5月31日23時29分頃。


また、Crew Dragonの仕事は2人の宇宙飛行士をISSへ送り届けるだけではありません。2人を地球に帰還させることができるかもテストする必要があります。ただし、2人が地球に帰還する時期は決定しておらず、6週間後あるいは16週間後がその予定日として挙げられています。Crew Dragonが2人の宇宙飛行士を乗せて地上へ帰還するまでがミッションであるため、NASAのジム・ブリデンスティン長官は「ボブとダグが無事に帰還するまでは、ミッション成功を祝うつもりはありません」と語っています。

なお、NASAとSpaceXによるCrew Dragon打ち上げの一部始終は、以下のムービーからチェックできます。

Making History: NASA and SpaceX Launch Astronauts to Space! (#LaunchAmerica Success May 30, 2020) - YouTube

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in 乗り物,   動画, Posted by logu_ii

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