SpaceXの「Crew Dragon」がアメリカ発の宇宙ミッションによる連続宇宙滞在記録を47年ぶりに更新

by Wikimedia Commons

現地時間の2020年11月16日、アメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センターから、野口聡一氏を含む4人の宇宙飛行士をのせたSpeceXの有人宇宙船「Crew Dragon」が飛び立ちました。国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングしたCrew Dragonはそのまま宇宙空間にとどまり続け、2021年2月7日に連続宇宙滞在期間が85日間に達したことで、「アメリカ発の宇宙ミッションによる連続宇宙滞在記録」を47年ぶりに更新したと報じられています。

Crew Looks to U.S. Space Record and Super Bowl Flyover – Space Station
https://blogs.nasa.gov/spacestation/2021/02/05/crew-looks-to-u-s-space-record-and-super-bowl-flyover/

SpaceX's Crew-1 astronauts break 47-year US space record | Live Science
https://www.livescience.com/spacex-crew-break-space-record.html

Crew Dragon breaks record for longest flight by human-rated U.S. spacecraft – Spaceflight Now
https://spaceflightnow.com/2021/02/09/crew-dragon-breaks-record-for-longest-flight-by-human-rated-u-s-spacecraft/

SpaceXの有人宇宙船であるCrew Dragonは、2020年5月に行われたデモ飛行でNASAのダグラス・ハーリー氏とロバート・ベンケン氏を乗せ、民間企業として初の有人宇宙飛行を達成しました。アメリカで有人宇宙飛行ミッションが行われたのは、2011年にスペースシャトルが退役して以来9年ぶりとなります。

デモ飛行の際にもCrew DragonはISSとドッキングして宇宙空間に滞在しましたが、ドッキングから約2カ月後の2020年8月にISSから離れ、2人の宇宙飛行士と共に地球へと帰還しました。

民間初の有人宇宙船「Crew Dragon」が地球へ帰還 - GIGAZINE

by NASA HQ PHOTO

そして現地時間の2020年11月16日、Crew Dragonは再びケネディ宇宙センターから宇宙へと飛び立ちました。「SpaceX Crew-1」と名付けられたこのミッションでは、NASAに所属するマイケル・ホプキンズ氏、シャノン・ウォーカー氏、ビクター・J・グローバー氏、そしてJAXAに所属する野口聡一氏らがCrew Dragonに搭乗しています。

by Wikimedia Commons

Crew DragonがISSとドッキングした後、乗組員らは新たに打ち上げられた貨物宇宙船「Cargo Dragon」から輸送された貨物をISSに移したり、研究成果や返送貨物を積み込んでCargo Dragonを地球に送り返したりしました。また、2021年に入って2度の船外活動も行ったとのこと。

ISSとのドッキングから3カ月弱が経過した2021年2月7日、ついにCrew Dragonと4人の宇宙飛行士の連続宇宙滞在期間が85日を突破。これにより、1973～1974年にかけて3人の宇宙飛行士が84日間にわたり宇宙滞在したミッション・スカイラブ4号の記録を超え、アメリカから打ち上げられた宇宙船による連続宇宙滞在期間の新記録を達成しました。

もちろん、スカイラブ4号の後に開発されたスペースシャトルは、多くの宇宙飛行士をアメリカから宇宙へ送り届けており、中にはISSで100日を超えて滞在し続けた宇宙飛行士もいます。しかし、打ち上げに使われたスペースシャトル自体はせいぜい十数日で地球へ帰還しているため、アメリカ発の単一の有人宇宙飛行ミッションで記録された連続宇宙滞在期間は、実に47年間にわたり破られることがなかったそうです。

SpaceX Crew-1は約6カ月にわたり任務を継続する予定のため、連続宇宙滞在記録はさらに更新されます。なお、次のCrew Dragonによる有人宇宙飛行ミッションは、2021年4月に予定されており、JAXAの星出彰彦氏、NASAのロバート・S・キンブロー氏、K・メーガン・マッカーサー氏の3人が搭乗する予定です。

by Wikimedia Commons