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TikTokの買収劇を中国国営メディアは「盗難」「アメリカはならず者の国」と非難


Microsoftがショートムービープラットフォーム「TikTok」の買収を検討しています。アメリカのドナルド・トランプ大統領はTikTokに対し、「2020年9月15日までにアメリカでの事業をアメリカ企業に売却すること」を要求しており、売却が成立しなければアメリカでのサービスを禁止とすると発言しました。このTikTokの買収劇について、中国の国営メディアは「盗難」「アメリカはならず者の国」と非難しています。

Chinese state media slams U.S. as a ‘rogue country’ for its planned ‘smash and grab’ of TikTok
https://www.cnbc.com/2020/08/04/tiktok-microsoft-deal-state-media-says-china-could-retaliate.html

The challenges Microsoft faces in buying TikTok’s US arm | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2020/08/the-challenges-microsoft-faces-in-buying-tiktoks-us-arm/

Microsoftは自社ブログ上でTikTokの運営元であるBytedanceと、TikTokのアメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドでの事業を買収する交渉を続けていることを明かしています。なぜMicrosoftがTikTokを買収しようとしているのかについては、以下の記事を読めばわかります。

トランプ大統領による「TikTok禁止」発言以降もMicrosoftはTikTokの買収交渉を継続中 - GIGAZINE


これに対してトランプ大統領はTikTokの一部の事業のみを買収するというのは「複雑になる可能性がある」と述べています。なお、トランプ大統領はMicrosoftがTikTokの買収取引を行うにはアメリカ合衆国財務相に「礼金を支払わなければいけない」とも述べました。

アメリカでのTikTok買収の動きに対して、中国の国営メディアであるGlobal Timesで編集長を務めるHu Xijin氏は、「アメリカによるTikTok買収はオープンに行われる強盗のようなものです。世界と神はトランプ大統領がかつて偉大だったアメリカという国をならず者の国に変える様子を注視しています」とツイートしました。

This is an open robbery. The world is watching and God is watching that how President Trump is turning the once great America into a rogue country. pic.twitter.com/FaL3MkwsYe

— Hu Xijin 胡锡进 (@HuXijin_GT)


別の中国国営メディアであるChina Dailyは、「アメリカ政府による計画的な窃盗が実現した場合、中国政府側も対応するための複数の方法を用意しています」として、TikTokの買収が行われた場合には中国政府側から報復が行われる可能性を示唆しています。

Global Timesは、「アメリカによるTikTokの禁止はワシントンの臆病さを反映したもの」という見出しで、アメリカによるTikTok買収の動きを報じています。Global TimesはアメリカによるTikTok買収について、「アメリカのテクノロジー企業にとってTikTokが大きな脅威となるため禁止の動きが加速した」と非難。さらに、TikTok禁止はアメリカによるHuawei排斥の動きと一致するものであるとして、「アメリカのエリートたちは危機感を募らせています。これらの動きは、中国のトップ企業がテクノロジー業界の最前線に位置する能力を持っていることを示しています」と報じました。


TikTokの開発元であるByteDanceのZhang YimingCEOは、アメリカ企業によるTikTokの買収は「不合理」ではあるものの、法的手続きの一部であり、ByteDanceとしては法律を遵守せざるを得ないとしています。さらにYimingCEOは、「しかし、TikTokの買収はアメリカ政府の目標でも望んでいることでもありません。彼らの本当の目的は、TikTokを包括的に禁止することです」と語り、アメリカ政府の目的はTikTokの買収ではなく禁止であると主張しています。

トランプ大統領はTikTokの買収期限を9月15日に設定しており、Microsoftも同日までに取引を完了させることを目指しているとしています。ただし、記事作成時点では買収額についてTikTokの運営元であるByteDanceとMicrosoftは合意に至っていないと報じられました。買収額の参考となるのは「TikTokにはすでに複数の競合サービスが存在すること」や「TikTokがアメリカで利益を上げていないこと」、「デイリーアクティブユーザーの数はアメリカだけで約5000万人も存在していること」などで、情報筋は買収額が150億~300億ドル(約1兆6000億~3兆2000億円)程度になるとみている模様。

また、Microsoftによる「TikTokのアメリカ事業の買収」が具体的に何を示しているのかは不明瞭なままで、ByteDanceはTikTokのバックエンドオペレーションを分割するために大急ぎで作業を進めているとも報じられています。加えて、アメリカと中国でTikTokの運営元が異なるようになれば、TikTokの開発をどこが続けるのか、ByteDanceが開発を続ける場合はアメリカ向けのアップデートもByteDanceが開発・配信することとなるのかなど、複数の問題が残ります。


なお、「Microsoft以外にTikTokの買収に興味を示している企業はないのか」といわれていますが、Appleは公式に「TikTokの買収には興味がない」とコメントしています。

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in モバイル,   ソフトウェア, Posted by logu_ii

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