SpaceXのロケットで宇宙を旅するスターマンは「スピード違反」で目的地の火星を通り過ぎてしまうことが判明


アメリカ時間の2018年2月6日にフロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられた最強ロケット「Falcon Heavy」には、同社のイーロン・マスクCEOが所有していたテスラ・ロードスターが搭載されていました。その運転席には宇宙服に身を包んだマネキン「スターマン」が座って火星への「ドライブ」を楽しんでいるのですが、打ち上げ後にはスピードの出しすぎが判明。このままのルートをたどると、どうやら火星の軌道を大きく通り越して無数の大小の岩が漂う小惑星帯に突入してしまう可能性が明らかになりました。

Elon Musk’s Tesla roadster, which launched on top of SpaceX’s Falcon Heavy earlier today, is going farther out into the Solar System than originally planned. - The Verge
https://www.theverge.com/2018/2/6/16983744/spacex-tesla-falcon-heavy-roadster-orbit-asteroid-belt-elon-musk-mars

Wrong turn, dummy: Elon Musk's Tesla Roadster heads off course towards asteroid belt
https://news.sky.com/story/wrong-turn-dummy-elon-musks-tesla-roadster-heads-off-course-towards-asteroid-belt-11239916

SpaceXの巨大ロケット「Falcon Heavy」は、3本のFalcon 9ロケットを束ねることで現存する中で最強の打ち上げ能力を示すロケットです。アメリカ現地時間の2018年2月6日(火)15時45分に行われた打ち上げ試験でFalcon Heavyは、合計27基のロケットエンジンをフルパワーで噴射して、機首部分に搭載されたテスラ・ロードスターを宇宙空間へと打ち上げることに成功しました。

火星を目指すオープンカーというSF世界を実現したSpaceXの超大型ロケット「Falcon Heavy」打ち上げ成功 - GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20180207-spacex-falcon-heavy-launch/

第1弾ロケットで打ち上げられたスターマンは打ち上げ後、しばらくの間地球を周回する軌道に乗ってタイミングをはかります。そして遂に打ち上げから約6時間後、第2段ロケットを再点火して一路火星へ。加速することで地球の重力圏を脱出して高度を上げ、火星へと向かうホーマン遷移軌道にのる様子が以下の画像から伝わってきます。


再点火は現地時間の21時頃にカリフォルニア州上空で実施され、その様子は地上からも観測できた模様。Twitterにはその時の写真がいくつもアップされています。


しかし、この再点火の段階でどうやら問題が発生した模様。最終的に火星へと旅立つためのロケット噴射を行った第2ステージでしたが、この燃焼が少しばかり「うまくいきすぎた」ことで、予定よりもスピードが上がってしまいました。予定通りの火星への軌道に乗せるためには、あらかじめ計算し尽くされた速度を正確に守る必要があるのですが、第2ステージはスピードを出し過ぎた状態となり、そのままスターマンを切り離してしまいました。

マスク氏はツイートで「3回目の燃焼は成功。火星の軌道を通り越して小惑星帯にまで」というコメントと共に、スターマンの予測軌道を公開しています。


スターマンは、左上に描かれた地球から緑のラインに乗って火星を目指します。しかし、このイラストからわかるように、火星の公転軌道を大きく越えてしまって木星との間にある準惑星ケレスの軌道にまで達しようとする勢いに。そしてここには、無数の岩石が宇宙を漂う「小惑星帯」が存在しています。


地上ではスピードを出しすぎた時にはブレーキを踏めば危険を回避することができます。しかし、残念なことに宇宙空間ではブレーキペダルをいくら踏んでも車体のスピードは落とせません。しかも、唯一の推進力となるロケットエンジンも既に切り離し済み。ということで、テスラ・ロードスターとスターマンはなすすべもなく太陽系の物理の法則に身を任せて宇宙を漂うしかない状態となってしまいました。願わくば、小惑星帯で岩石に衝突しないことを願うばかりですが、ロードスターのセンターコンソールに表示されている「Don't Panic」(落ちついて!)という文字がなんともいえない雰囲気を放ってきます。


ちなみに、「Don't Panic」は宇宙SFシリーズ「宇宙ヒッチハイクガイド」に登場するキーワードのひとつで、作中では小熊座ベータ星にある大出版社メガドード書房で出版されている電子本「宇宙ヒッチハイクガイド」の表紙に大きく書かれている言葉として登場します。SpaceXではこのほかにも、ロケットが海上に帰還する際のドローン船の名前「Just Read The Instructions」と「Of Course I still love you」が、イアン・バンクス著のSF小説「ゲーム・プレイヤー」から名付けられるなど、なかなか宇宙マニアっぷりを感じさせるものとなっています。

銀河ヒッチハイク・ガイドとは (ギンガヒッチハイクガイドとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
http://dic.nicovideo.jp/a/宇宙ヒッチハイクガイド

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