Facebookがアメリカ大統領選挙に向けて政治広告の禁止を検討中
2016年のアメリカ大統領選挙ではFacebook上に表示された政治広告が選挙結果に大きな役割を担ったといわれているため、大統領選挙に出馬予定の政治家などから「Facebookは大統領選挙までにポリシーを変更するべきだ」という意見も飛び出しています。そんな中、Facebookがついに選挙広告を禁止することになるのではないかと報じられています。
Facebook Considers Banning Political Ads Before US 2020 Election - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-07-10/facebook-considers-political-ad-blackout-ahead-of-u-s-election
Facebook mulls ban on political ads ahead of U.S. elections: Bloomberg News - Reuters
https://www.reuters.com/article/us-facebook-elections/facebook-mulls-ban-on-political-ads-ahead-of-u-s-elections-bloomberg-news-idUSKBN24B2UP
Facebook上に表示された政治広告が2016年の大統領選挙に与えた影響の大きさから、政治広告の取り扱いについてFacebookは度々批判されてきました。そういった批判を受けて、Facebookは2020年1月に「ユーザーが政治広告をコントロールしやすくするツールを提供する」と発表したものの、政治広告を引き続き掲載し続ける方針であることを明かしました。
Facebookが「政治広告を掲載し続ける」方針を発表 - GIGAZINE
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しかし、オバマ政権で8年間にわたり副大統領を務め、2020年の大統領選挙に民主党の候補者として指名を受けることが確実視されているジョー・バイデン氏は、「2020年の大統領選挙が始まる前にFacebookはポリシーを変更するべきだ」と訴えています。
「Facebookは大統領選挙までにポリシーを変更するべきだ」と大統領候補者のジョー・バイデン氏が訴える - GIGAZINE
by Isriya Paireepairit
そんな中、BloombergがFacebookの社内事情に詳しいという人物から、「2020年11月のアメリカ大統領選挙に向けて、Facebookは政治広告の禁止を検討している」という情報を入手しました。政治広告の禁止についてはまだ「検討中」だそうで、確定事項ではないそうです。
もしもFacebookが政治広告を禁止することとなれば、それはFacebookにとって大きな変化となります。Facebookはこれまで政治広告について「事実確認を行わない」という方針に固執してきました。そのため、Facebook上に政治広告を掲載する人はウソや誤報を広めることが可能になってしまい、多くの政治家などからの批判を促す結果となっていました。
Facebookで国際問題や広報を担当するチームの責任者として働くニック・クレッグ氏は、イギリスの元副首相という肩書を持つ人物です。そんなイギリスでは政治広告が禁止されており、世界の多くの地域で「政治広告の禁止」は一般的です。
一方でFacebookの元最高幹部であるアレックス・スタモス氏は、「オンライン政治広告を禁止することは、お金、現職、またはメディアの取材を受ける能力を持つ人々にのみ利益をもたらすことでしょう」とツイートし、政治広告の禁止はトランプ大統領に利益をもたらす可能性があると指摘しています。
I'll say the same thing I did when Twitter made this move:
— Alex Stamos (@alexstamos) July 10, 2020
1) Political ads are a tiny part of FB's revenue and a huge PITA
2) Eliminating online political ads only benefits those with money, incumbency or the ability to get media coverage. Who does that sound like? https://t.co/PmpASmU1YL
民主党全国委員会の最高技術責任者であるネル・トーマス氏も政治広告の禁止には懐疑的で、「7カ月前にGoogleに対して言ったように、Facebookに対してもう一度言います。政治広告の禁止はプラットフォーム上に掲載される偽情報に対する解決策とはなりません」とツイートしています。
We said it seven months ago to @Google and we will say it again to @Facebook: a blunt ads ban is not a real solution to disinformation on your platform.https://t.co/3JNVACpuoZ https://t.co/im8qUr5KL7
— nell thomas (@nellwyn) July 10, 2020
なお、Bloombergは「政治広告はFacebookのビジネスのごく一部です。同社の自己申告データによると、共和党候補のトランプ氏と民主党候補のバイデン氏は過去90日間で合計2920万ドル(約31億円)を政治広告に費やしていることが明らかになっています。なお、Facebookの2020年・第1四半期の売上は170億ドル(約1兆8000億円)以上でした」と記しています。
政治広告はソーシャルメディアにとって非常に難しい問題で、他のプラットフォームではFacebookとは異なるアプローチがとられています。Twitterはほとんどすべての政治広告を禁止していますが、YouTubeは2020年11月のアメリカ大統領選挙まで広告スペースをトランプ氏のキャンペーンに販売したことが明らかになっています。
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