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App Storeを介さずに有料サービスを提供して削除されそうになっていたメールアプリが「抜け道の模索」を開始


App内課金」を介さずに有料プランを提供しようとしてApp Storeでのアップデートを拒否されたメールサービス「HEY」を提供するBasecampが、新たなアップデートがAppleの承認を得られたと発表しました。しかし、The VergeやZDNetなどのIT系ニュースサイト各社は「AppleとBasecampの戦いは終わっていない」と指摘しています。

Apple, HEY, and the path forward
https://hey.com/apple/path/

Apple approves Hey email app, but the fight’s not over - The Verge
https://www.theverge.com/2020/6/22/21298552/apple-hey-email-app-approval-rules-basecamp-launch

Apple approves Hey e-mail app, but the fight's not over yet | ZDNet
https://www.zdnet.com/article/apple-approves-hey-e-mail-app-but-the-battles-not-over-yet/

2020年6月16日にサービスを開始したHEYは、メールの取捨選択に特化した有料のメールサービス。Basecampは「App内課金では売上の15~30%をAppleに支払う必要がある」という仕様を嫌って、HEYの有料プランの支払いを外部から行えるように設定していました。


しかし、Appleはこの仕様を「規約違反」としてアップデートの承認を拒否。「修正しない場合にはApp Storeから削除する可能性がある」と通告しました。

Basecampは「Netflixなどの大手に対してはApp内課金を介さない課金システムを認めている」と例外の存在を指摘して反論しましたが、Appleのワールドワイドマーケティング担当シニア・ヴァイス・プレジデントであるフィリップ・シラー氏は「HEYの審査結果は妥当であり、取り下げる予定はない」と述べ、方針転換しない姿勢を示しました。

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こういった経緯の中、Basecampは「2020年6月19日にバグ修正アップデートがAppleの承認を得られた」と発表。この発表の中で、「App内課金を介していないが、Appleの承認を得られる課金システム」を実装するアップデートを申請していると明かしました。

HEYのアップデートを却下するにあたって、シラー氏は「承認を受ける方法の1つは、『App Storeで無料版または有料版のアプリを配信し、そのアプリと連携するアップグレード版のメールサービスを別個に提供する』というものです」とアドバイスしていました。このアドバイスに従って、新たなアップデートでは「14日間だけ無料で使えるランダムなメールアドレスを持つアカウントを作成できるオプション」を搭載したとBasecampは発表しました。14日が経過して有効期限が切れた後は、HEYのウェブサイトにアクセスして課金登録する必要があります。

このBasecampの対処法に対して、The Vergeは「Appleのルールを厳格に満たしているが、精神を明白に否定している」、ZDNetは「それはほぼ間違いなくAppleが考えていたものではない」とそれぞれコメント。Basecampが先例に従って承認を受けようとしつつも、ルールの抜け穴を探すことを続けていると指摘しました。

なお、「App内購入の売上の30%(次年度からは15%)をAppleに収める必要がある」というルールについて、アプリ開発者やベンダー、果ては下院議員からも批判が殺到している状態です。Appleは「App StoreとApple Payが独占禁止法に違反している」として欧州委員会からの調査を受けており、App内購入に関するルールは論争の種となっています。

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by Glen Bledsoe

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in モバイル,   ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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