AppleはApp内課金を実装しないアプリをApp Storeから削除しようとしているが「多数の例外」が存在するという指摘
2020年6月18日、Appleは「課金手段にApp内課金を用いないアプリはApp Storeから削除する」という見解を示しました。しかし、NetflixのようにApp内課金を通さない課金形態のアプリもApp Storeには多数存在しており、Appleの対応には「矛盾」が存在するとアプリ開発者のLanny Bose氏が指摘しています。
You Download the App and it Doesn't Work
https://youdownloadtheappanditdoesntwork.com/
現地時間2020年6月18日、高額な手数料などを理由に「App StoreのApp内課金を実装しない」という措置を執ったメールサービス「HEY」に対し、Appleが「App Storeから削除する」と警告を発しました。これについて、Appleのワールドワイドマーケティング担当上級副社長であるフィリップ・シラー氏は、「われわれのルールの範囲内でアプリを機能させるために開発者にできることはたくさんあります。ダウンロードしてもすぐに機能しないアプリは、私たちがApp Storeで求めるアプリではありません」と説明しました。
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App内課金は、「売上の30%(次年度以降は15%)をAppleが手数料として徴収する」というシステムで、手数料の高額さゆえに、「Apple税」とまで言われ批判されていました。一部のアプリは「App内課金を通さない」という手法で高額な手数料を課すApp内課金からの脱却を図っていましたが、Appleは「App Storeから削除する」という手法で対抗しようとしています。
しかし一方で、AppleはNetflixなどの大手企業が運営するアプリについてはApp内課金を通さない課金システムを許可しています。この矛盾について、シラー氏は「Netflixなどは外部コンテンツを表示するためのツールだからであり、HEYはそうではないため」と説明していました。
一連のAppleの主張について、自身もアプリ開発者であるBose氏は「App内課金を通さない課金システムを持つアプリ」を独自にまとめています。Bose氏によると、Netflix、GitHub、Google ドキュメント、App Store Connect、Dropbox Password、Tesla、Soho House、Bloomberg Terminal、BCBSTX、WeWork、Salesforce、Spark Sport、U-verse、GreenEmployee、Sky Go、Nintendo Switch Online、Telehealth by SimplePracticeなどはApp内課金を通さない課金システムがあるとのこと。以上のように多くの例外を認める一方で、AppleはメールサービスアプリのHeyやFastmailにはApp内課金を実装するように求めています。
Bose氏は、「自身が開発したアプリに対して特例を認めるようにAppleに何年も働きかける能力はありません」と述べ、AppleにApp内課金を通さない課金システムを認めるように呼びかけています。
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