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気候変動の原因となる二酸化炭素はどの国が最も排出しているのか?


18世紀の産業革命以来、人類は大量の二酸化炭素を排出し続け、ついには地球の気候にも大きな影響を与え、気候変動を招いているといわれています。しかし、二酸化炭素の排出量の大小は国によって大きな違いがあり、「現代の気候変動はどの国に責任があるのか?」はしばしば議論となります。各国の二酸化炭素の排出量について、科学をアニメーションで解説するYouTubeチャンネル・Kurzgesagtが解説しています。

Who Is Responsible For Climate Change? ? Who Needs To Fix It? - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ipVxxxqwBQw

二酸化炭素の排出量は年々増加しており、2019年までの累計は1兆5370億トンといわれています。


また、各年の排出量も増加の一途をたどっています。


メタンガス、窒素酸化物を含めた温暖効果ガス排出量を見ると、2017年だけでおよそ510億トンも排出しています。


二酸化炭素などの温室効果ガスは、地球から放射される熱を吸収してしまい、エネルギーが大気圏外に逃げることができず、結果として地球の気温が上昇するという現象。さまざまな気候変動の要因になっているといわれています。


二酸化炭素排出による気候変動は着実に悪化しており、2001年以降は世界の平均気温が上昇する傾向にあり、たとえば2020年5月は観測史上最も暑い5月だったことが判明しています。


そのため、二酸化炭素排出量は年々増加していますが、2050年をめどにゼロにしようと世界中で対策が考えられています。


しかし、国際会議では風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーへの置き換えが叫ばれる一方で……


「どの国がたくさん二酸化炭素を排出しているのか」を主張しあい、責任のなすりつけ合いが行われています。


結果として議論は衝突するばかりで解決を導くことができないまま、今に至ります。


では、二酸化炭素を最も排出している国はどこなのでしょうか?


2017年の二酸化炭素排出量は360億トン


そのうち53%をアジアが、18%を北アメリカが、17%をヨーロッパが排出しています。


さらに国ごとにまとめたものが以下。最も二酸化炭素の排出量が多いのは、世界全体の27%を排出する中国です。


排出量上位10カ国だけで、世界全体の二酸化炭素排出量の75%を占めている計算になります。


では累計で最も二酸化炭素を排出している国はどこなのでしょうか?


今や中国は世界トップの二酸化炭素排出国ですが、これは20世紀後半からの急成長と非効率なエネルギー政策によるもので、最初から二酸化炭素排出量が多かったわけではありません。18世紀の産業革命以降から考えると、トータルの二酸化炭素排出量はアメリカやヨーロッパの方が多くなります。


これまでの二酸化炭素排出量の累計は1兆5800億トンといわれています。


そのうち、アメリカはおよそ4分の1を占める4000億トンを排出しています。なお、20世紀に入ってからの排出量に限った場合でも、アメリカは2900億トンの二酸化炭素を排出した計算になるとのこと。


トータル排出量におけるシェアは以下の通りで、アメリカとヨーロッパだけでほぼ半分近くを排出してきたということがわかります。


例えばドイツ1国に注目しても、その二酸化炭素の累計排出量は南アメリカとアフリカの累計排出量をちょうど合計したものと同じ程度。こうした結果を受け止めると、「気候変動の責任は発展途上国にある」という先進国の主張も正しいとはいえません。


今度は国の人口にも注目。国民1人当たりの二酸化炭素排出量が多い国はどこになるのでしょうか?


世界では1年で1人あたり平均5トンの二酸化炭素を排出するといわれています。


国民1人当たりの二酸化炭素排出量が最も多いのは、石油産出国でもあるカタール。なんと世界平均のほぼ10倍を排出しています。以降、石油産出国がずらりと並びます。


同じく石油産出量の多いオーストラリアやアメリカも、国民1人当たりの二酸化炭素排出量は平均の3倍以上となっています。一方で、二酸化炭素排出量が特に多いといわれている中国の、国民1人当たりの排出量は7トンと、世界平均を少し上回る程度。


2017年における世界全体の二酸化炭素排出量のうち、27%が中国によるものでした。一方で中国の人口14億人は世界人口のだいたい18.5%ほど。つまり、中国の二酸化炭素排出量が多いのは、単に産業が急速に発展したからではなく、あまりにも人口が多いからだともいえます。


人口が多いということは、呼吸だけではなく料理をしたり車に乗ったり電気を使ったりと、生活を送る上で排出せざるを得ない二酸化炭素量が増えてしまうことを意味します。


実際に、中国で極貧層となる国民が1990年以降減少しているのに対して、二酸化炭素の排出量が増えていることがわかります。豊かな暮らしをする中国国民が増えたことで、結果的に二酸化炭素の排出量が増えたというわけ。


実際、富裕層・上流階級38億人と中~下流階級・貧困層37億人で比較した場合、人数はほぼ同じであるにも関わらず、富裕層・上流階級の二酸化炭素排出量は全体の86%を占めています。ここでも、生活の豊かさが二酸化炭素の排出量を増やしていることが示されています。


二酸化炭素の排出量とその影響は不平等を生んでさえいます。例えば、アメリカの国民1人当たりの二酸化炭素排出量がおよそ16トンであるのに対して、アフリカのナイジェリアは0.12トンで、およそ100分の1の量です。しかし、気候変動の影響は排出量が少ない中南米やアフリカ、東南アジアで、干ばつや熱波、大規模な水害という形で現れています。


累計での二酸化炭素排出量はアメリカがダントツのトップでした。


国民1人当たりにすると、先進国6カ国はどれも世界平均よりも多いことがわかりました。


1年の排出量だと、先進国6カ国よりもむしろ、めざましい発展を遂げる中国やインドの方が多いこともわかっています。


ここまでわかっているのに人類がなおも化石燃料に依存してしまうのは、再生可能エネルギーのコストが高いためです。


しかし、技術の進歩によって、風力発電や太陽光発電、洋上風力発電のメガワット時間あたりのコストは年々下がっています。


EUは、家庭用電気製品の二酸化炭素排出量をチェックし、基準を満たす製品だけを市場に送り出すよう調整しています。


世界最大の人口を抱える中国は、二酸化炭素排出量をゼロにするため、さまざまな方法を試みています。もちろん他の国も中国のスキームをまねすることで、二酸化炭素排出量が急増しないように努力しています。


世界全体でさらに話し合い、全員が二酸化炭素の排出を減らして気候変動の影響を限りなく少なくするように努力すべきだといえます。

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in サイエンス,   動画, Posted by log1i_yk

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