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Googleが「もう石油・ガス会社のためにはAIを提供しない」と宣言


Googleが「石油・ガス産業が化石燃料の掘削を効率化するために提供してきた人工知能(AI)機械学習(ML)の構築は今後行わない」と発表したと、複数のメディアが報じています。

Google bans A.I. for oil and gas firms after Greenpeace study
https://www.cnbc.com/2020/05/20/google-ai-greenpeace-oil-gas.html

Google Says It Will Not Build Custom A.I. for Oil and Gas Extraction
https://onezero.medium.com/google-says-it-will-not-build-custom-a-i-for-oil-and-gas-extraction-72d1f71f42c8

Google pledges not to make custom software for oil and gas extraction | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2020/05/google-pledges-not-to-make-custom-software-for-oil-and-gas-extraction/

Googleは社内で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄っているほか、AIを活用して自社のデータセンターの冷却システムを40%も効率化したり、イギリスの電力コストを10%カットしたりするなど、社内外を問わず積極的に地球環境保護の取り組みを進めてきました。

Googleの人工知能専門チームDeepMindがたった数カ月で40%もGoogleデータセンターの冷却システムを効率化することに成功 - GIGAZINE


Googleの人工知能部門DeepMindがイギリスの電力コストをインフラ整備なしで10%もカットする - GIGAZINE


その一方で、GoogleのAIは石油産業が化石燃料を掘削する事業を展開する用途にも活用されてきました。環境保護団体グリーンピースの調査によると、Googleはこれまでアメリカの大手石油会社シェブロン、フランスを拠点とする石油メジャーのトタル、油田探査用計測機器の開発や製造をコアビジネスとする最大級の多国籍企業シュルンベルジェ、石油プラットフォームのメンテナンス自動化などで協働しているコグナイトおよびアケルBPなどの国際的な石油会社と大口契約を結び、ソフトウェア面で重要な役割を果たしているとのこと。


グリーンピースはレポートの中で、「Google自身の二酸化炭素排出量の集計には含まれていないものの、石油・ガス会社がGoogleのテクノロジーを使用してより多くの油田を探し出して掘削することで生じる追加的な二酸化炭素排出量は、Googleの気候変動への取り組みを大きく損ねるものです」と非難しています。

これを受けて、GoogleはアメリカのニュースメディアCNBCや科学技術を扱うニュースサイトOneZeroなど複数のメディアに対して電子メールを発信。この電子メールの中でGoogleの広報担当者は「石油・ガス業界が化石燃料を掘削することを容易にするためのカスタムAI/MLアルゴリズムは構築しません」と述べて、今後は石油・ガス業界向けにAIサービスを提供しない考えを明らかにしました。

グリーンピースUSAでシニア・コーポレート・キャンペーン担当者を務めるエリザベス・ジャーディム氏はこの声明に対し、「Googleにはまだ石油・ガス会社との間で取り交わした古い契約が残っているので、Googleがそれを解消することを期待しています。しかし、石油やガスの掘削のためのソリューションをこれ以上構築しないと表明したことは歓迎します」と述べて、Googleの発表を称賛しました。


一方、IT系ニュースサイトのArs Technicaは「Googleは、Ars Technicaへの電子メールの中で『2019年における石油・ガス業界からの収益はGoogle Cloudの総収益の1%未満でした』と強調して、石油・ガス業界に対する影響を軽んじました」と指摘。さらに、グリーンピースのレポートの中でGoogleとともに取り上げられたAmazonやMicrosoftが具体策を発表していないことにも言及し、「要するに、どの企業もグリーンピースが期待するところまで踏み込む準備はできていません」と述べています。

その上でArs Technicaは「GoogleもAmazonもMicrosoftも、石油・ガス業界の生殺与奪を握っているわけではありません。他にいくらでもクラウドコンピューティングプロバイダーがあるからです。しかし、かつてタバコに対する世間の意識が変わることで禁煙の機運が高まったことを踏まえると、Googleのささやかな意思表明にも重要な意義があります」と述べて、大手IT企業のみならず社会全体が一丸となって気候変動に取り組むことがより重要になるとの見方を示しました。

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in ソフトウェア, Posted by log1l_ks

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