サイエンス

「温室効果ガス削減は予定よりも遅れている」と国連機関が報告

By manfredxy

2019年11月26日、国際連合環境計画(UNEP)が温室効果ガス削減計画と現実の温室効果ガス削減度合いにどれくらいの開きがあるかを調べた報告書「Emissions Gap Report 2019」を発表しました。この報告書は、世界温暖化を阻止しようという各国の合意にも関わらず、温室効果ガス削減の実態が伴っていないことを報じています。

Emissions Gap Report 2019 | UNEP - UN Environment Programme
https://www.unenvironment.org/resources/emissions-gap-report-2019

The Emissions Gap Report 2019: A UN Environment Synthesis Report - NewClimate Institute
https://newclimate.org/2019/11/26/emissions-gap-report-2019/

UN report card: Carbon-emissions cuts are way behind schedule | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2019/11/un-report-card-carbon-emissions-cuts-are-way-behind-schedule/

報告書に掲載された、国別の温室効果ガスの排出量に関するグラフが以下。縦軸が温室効果ガスの排出量で、多種ある温室効果ガスを「地球温暖化に影響を与える度合い」に基づいて、二酸化炭素(CO2)に換算し総計した「GtCO2」という単位が使われています。横軸は1990年からの経過年数。中国が2位のアメリカに倍以上の差をつけて温室効果ガスを排出しています。


一方、1人あたりの温室効果ガス排出量を求めたグラフが以下。アメリカやロシア、そして日本は人口に比して温室効果ガスの排出量が多いことがわかります。


先進国によって構成される経済協力開発機構(OECD)とその他の国を比較したとき、OECD加盟国の年ごとのGDP成長率は平均2%である一方、非加盟国のGDP成長率は平均4.5%。エネルギー消費量もOECD加盟国は変わらない一方で、非加盟国は2.8%増加しています。以上の結果を総合すると、直近の温室効果ガス排出量の増加は、OECD非加盟国に原因があるといえます。

今回の報告書は、気候変動枠組条約の中でも、2020年までの温室効果ガス排出量に関する公約を各国が発表したカンクン会議と、2030年までの温室効果ガス排出量に関するパリ協定を主に扱っています。2020年の公約に関して、G20諸国のうち、カナダ・インドネシア・メキシコ・韓国・南アフリカ・アメリカは削減目標を達成できない見込み。2030年の公約に関しては、中国・イギリスを含むEU諸国・インド・メキシコ・ロシア・トルコは削減目標達成のための軌道に乗っているとされています。一方で、日本・韓国・アメリカ・オーストラリア・ブラジル・カナダ・南アフリカ・アメリカはいっそうの努力が必要とのこと。

パリ協定に参加した諸国が各々の削減目標を達成したとしても、2030年までには世界の気温を3℃上昇させるのに相当する約540億トンの温室効果ガスが排出されます。気温の上昇を2℃に抑えようとする場合、排出可能な温室効果ガスは約390億トン。1.5℃ならば約220億トンしか排出できません。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、「気候の急激かつ不可逆な変化をもたらす平均気温の上昇を食い止めるには、温暖化を1.5度に留めなくてはならない」と提言しています。


温暖化についての現状とその影響は以下の記事で論じています。

地球環境は「もう戻れないところ」にまで来てしまった可能性がある - GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20191128-climate-tipping-points/

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2020年はパリ協定の節目の年と考えられています。パリ協定は5年ごとに公約の改善・見直しなどを行う大規模な会議を開催することが定められており、2020年は5年ごとの会議の1回目に当たります。加えて、2020年はアメリカがパリ協定を正式に脱退する年でもあります。

米トランプ政権 「パリ協定」離脱を正式通告 大統領選の争点に | NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191105/k10012164241000.html


報告書は各国が削減目標を達成できるよう、化石燃料の使用を取りやめ、再生可能エネルギーにシフトすることを推奨しています。その一例として、輸送に電力を使用することが挙げられています。

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in サイエンス, Posted by log1k_iy

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