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パフォーマンス向上のために「異常」になる3つの方法とは?


メジャーリーグベースボールのセントルイス・カージナルスでスポーツ心理ディレクターを務めるジェイソン・セルク氏が、数々のアスリートの心理を分析した本「Organize Tomorrow Today」には、パフォーマンス向上のための原則が8つ記されています。そのうち1つは「どんな分野でもトップになりたければ、『異常』にならなければならない」というもので、「普通」の人と差をつけるために「異常」になる方法が挙げられています。

Become Abnormal
https://capitalandgrowth.org/answers/Article/3217401/Become-Abnormal

ECビジネス向けの情報サイト「Capital&Growth」で「Organize Tomorrow Today」を紹介したjasper氏は、8つの原則の中で「『異常』になることが私の心に最も響いた」と語っています。セルク氏が本の中で述べている「異常」になる方法とは、平均的な普通の存在を逸脱するための手段であり、以下の3つの方法が提案されています。

◆1:言い訳をしない
本の中でセルク氏は「ほとんどの場合、さまざまな分野で優れたパフォーマンスを発揮できない人は言い訳をしています。言い訳を自分で受け止めることが、他人とは違う成功につながる行動に拍車をかけることができるでしょう」と主張しています。

「もしお金があれば」「時間があれば」「もっと若ければ」「家族の理解があれば」と、挑戦を踏みとどまらせる言い訳はたくさんあります。言い訳を重ねて消極的になってしまった結果、他人と差をつけるような優れたパフォーマンスができなくなるというわけ。


jasper氏は、自分の置かれた状況を言い訳にせず夢を叶えた人物の例として「ネブラスカ・ファニチャーマート」の創設者であるローズ・ブラムキンを挙げています。ブラムキンは幼い頃から読み書きができず、英語もほとんど話せませんでした。ブラムキンが故郷のベラルーシからアメリカの港に到着したときには、首輪に送り先が書かれたタグをつけられ、貨物同然の扱いを受けていたとのこと。教育を受けられず、語学力もないブラムキンにできる仕事は、給料の低い仕事しかありませんでした。

しかし、ブラムキンはハンディキャップを抱えながらも2500ドル、2020年では約4万5163ドル(約485万円)にあたる金額を貯め、1937年にネブラスカ・ファニチャーマートを開店しました。記事作成時点で、ネブラスカ・ファニチャーマートは年間約15億ドル(約1610億8250万)を売り上げており、アメリカでも最大級の家具店として人々に親しまれています。

By bunnicula

◆2:コントロールできることだけを考える
バスケットボールの名コーチとして知られるジョン・ウッデンは、UCLA・ブルーインズのヘッドコーチとしてチームを10回の優勝、88回の連勝に導いています。しかし、ウッデンはコーチになってすぐに成功を収めたわけではありません。ウッデンにとってターニングポイントとなったのは、「コントロールできることだけを考える」と心に決めた日でした。

ウッデンがコーチを始めて間もない頃、チームは複数チームと共同の荒れ果てた施設で練習してました。ウッデンはチームが不利な状況にあると感じていましたが、練習環境というコントロールできない状況を嘆くのではなく、自分でコントロールできる範囲で改善を計ることを決意。選手たちの基礎体力向上やディフェンスの反復練習、マメを作らないためのシューズの履き方といった細かい点まで、コントロールできること全てに力を注ぎました。

約2年後、2シーズンの内にウッデンのチームは初の優勝を達成。その結果、UCLA・ブルーインズは新しい練習施設とバスケットボール専用のスタジアムも得ることができました。ウッデンは晩年、息子宛てに手書きのメモで「自分でコントロールできることに気を配りなさい。コントロールできない何かにとらわれすぎたり、心配したり、夢中になったり、関わったりすると、コントロールできるものに悪影響を及ぼすことになるでしょう」という言葉を残しています。


コントロールできないことに頭を悩ませることは時間の無駄になり、悩んだことによるストレスでパフォーマンスが低下するという悪循環につながりかねません。セルク氏は本の中で「何かに行き詰まってイライラするときは、あなた自身がコントロールできることと、できないことをリストにして書き出してください。そうすることで、あなたがコントロールできるものに向かってアクションを起こすきっかけになるでしょう」と述べています。

例えばオンラインショッピングのようなECサイトの運営であれば、以下のようなリストが作成されるとjasper氏は例を挙げています。

コントロールできない
・Googleの検索アルゴリズム
・融資を受けられない
・競争相手の動向

コントロールできる
・ユーザーを喜ばせる
・ユーザーに関連性のあるコンテンツの制作
・新しい客層を見つける
・システムとプロセスへの投資
・非生産的な活動の削減や排除


◆3:問題の解決方法に焦点を当てる
何か問題が生じたとき、一般的な心理学では「抱えている問題を打ち明けるだけで気分が良くなる」と言われますが、問題そのものが解決するわけではありません。誰かに話すのではなく、「問題にぶつかってから60秒以内に、自分がやってきたことについて考え、少なくとも1つの問題解決方法を捻出すること」をセルク氏は推奨しています。また、最初に思い付いたアイデアは最高のもとは言えないので、もう一度60秒以内にアイデアをひねり出す、ということを繰り返します。

さらに、問題のネガティブな面を考えるのではなく、解決に向けてポジティブな思考をすることも重要。セルク氏は本の中で、2011年のセントルイス・カージナルスの試合を振り返っています。2011年ワールドシリーズの第6戦目、カージナルスは9回裏、テキサス・レンジャーズに3点リードされていただけでなく、すでにレンジャーズが3勝しているという状況でした。カージナルスのファンは半ば諦めていましたが、カージナルスの選手たちは諦めていませんでした。

カージナルスの選手たちは、窮地に追い込まれた状況でも敗北というネガティブな面を考えるのではなく、解決策を考えることに集中していました。スコアボードやプレッシャー、敗北の可能性について考えることを避け、点を得るために「好投を待ってヒットを打つ」「打席で頑張りすぎない」というルーティーンを忠実に実行。結果、カージナルスは逆転を決めて第6戦目を制し、ワールドシリーズの歴史上、初めて8回以降から延長11回までの4イニング連続で得点を決めて逆転を成し遂げたチームとなりました。


問題が悪化することばかりに目を向け、解決を諦めたり、目を背けたりするのではなく、いい結果を得るための解決方法を考え続けることがパフォーマンスの向上につながるということです。

なお、セルク氏は本の中で、「言い訳をしないこと」「コントロールできることだけを考えること」「問題の解決方法に焦点を当てること」を定着させるために、それぞれの考え方を「最低でも90日間実行する必要がある」と述べています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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