いろいろな集中法でダメだった人でも楽しく仕事をこなせるかもしれない「ランダムネスマシン」
勉強や仕事、家事など、やらなければいけないことはたくさんありますが、どうしても先延ばししてしまうことがあります。ソフトウェア開発者のArne Jenssenさんも「先延ばし」をしてしまうタイプで、複数の集中法を試してみてダメでしたが、「ランダムネスマシン」により、集中して仕事をこなせるようになったそうです。
Could a Randomness Machine Help You Fight Procrastination? | EXCELERITY
https://excelerity.com/blog/arne/randomness-jar
集中力を上げるための方法として知られる技の1つが「ポモドーロテクニック」と呼ばれる、短時間集中と休憩を繰り返すもの。しかし、Jenssenさんがやったところ、休憩時間をオーバーしてしまったそうです。
また、「ファスティング(断食)」を変形させた「メディア・ファスティング(メディア断ち)」もやってみましたが、ファスティングを破るための言い訳ばかり考えてしまって、これもうまくいかなかったとのこと。
なぜこんなことになるかというと、仕事や勉強、家事はやったことによるメリットはただちに得られない一方、SNSなどは「自分の投稿が見られた」「いいねがついた」と反応が得られる点です。反応は、ドーパミン放出につながり、脳の報酬系が活性化して快感がもたらされます。この場合、ドーパミン放出は報酬が得られたことによるものですが、ネズミを用いた過去の研究により、報酬が得られるかどうかがランダムでもドーパミンは放出されるようになるのがわかっています。つまり「ランダム性に対する欲求がある」ともいえます。
Jenssenさんは、この「ランダム性に対する欲求」を自分の利益にするため、「ランダムネスマシン」を考案しました。機械のような名前がついていますが、単に大きなガラス瓶の中にたくさんの紙片を入れただけのもの。紙片には「Facebook」「LinkedIn」「Twitter」「YouTube」「腕立て伏せ」「地方ニュース」「全国ニュース」「テック系ニュース」「ブラウザのタブを閉じる」「ブレインストーミング」など、自分へのご褒美が書かれています。
実際にJenssenさんが公開しているマシンがコレ。
使い方は「ポモドーロテクニック」と似ていて、25分ぐらいの短時間集中と休憩を繰り返すのですが、休憩時にマシンからランダムに1枚紙片を引いて、そのご褒美を得るというもの。Jenssenさんの場合、1日に4回ぐらいはFacebookをチェックしたかったので、「Facebook」と書いた紙片は4枚に増やしていたとのこと。ただし、引くときには目を閉じ、不正はしませんでした。
その結果、マシンは上手く機能して、Jenssenさんはこのマシンについての記事を書くことができたとのこと。
Jenssenさんによれば、「休憩1回につき1つのご褒美」という希少性が、ご褒美の価値を高めてくれるほか、ご褒美の候補をたくさん作ることでランダム性が上がり、より高い興奮をもたらしてくれるそうです。
なお、Jenssenさんは「日中はそんなに報酬(=気晴らし)は必要ない」と気づき、数日後に仕組みをアップグレード。1日のうち最初の8つ分のタイムスロット(2時間分)はプログラミング作業をするようにして、その間はランダムネスマシンを使わず、6面ダイスを振るように変更しました。ダイスの目は「ストレッチ」「ヨガのポーズ」「フォームローラー」「思考時間」「Facebook」「ランダムネスマシンから選ぶ」になっていて、ストレッチやフォームローラーのように「もっとやるべきこと」と気晴らしがミックスされたものになっています。8つ分のタイムスロットが終わった後は、従来通りランダムネスマシンを使います。
アップグレードにより、「ランダム性を保ちつつ、気は散らない」という状態になっており、休憩時間が充実する一方で、仕事への復帰も早く、仕事を先延ばしにすることが減ったように思うとJenssenさんは綴っています。
Jenssenさんによれば、かつてスティーブ・ジョブズが服装に悩まずに済むように「黒のタートルネックにジーンズ」という決まった服装をしていたのと同様、「どういう気晴らしをするか」のようなささいな決定はシステムに任せてしまった方がいいとのこと。
もちろん、時には期待していたのとは違う報酬が出てがっかりすることもあるというJenssenさんですが、「この候補を作ったときは必要だと思っていたんだな」と振り返り、楽しむようにしているとのことです。
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