サイエンス

マルチタスクで仕事すると否定的な感情が生じるという研究結果


「電話がかかってきたりメールが送られてきたりして、今やっている仕事と同時に行わざるを得ない」というマルチタスクを強いられた経験がある人も多いはず。そんなマルチタスク中の表情をアルゴリズムで分析した結果、「マルチタスク中は怒りや悲しみ、恐怖などの否定的な感情が生じる」ということが明らかになりました。

Emotional Footprints of Email Interruptions | Proceedings of the 2020 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems
https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3313831.3376282

Multitasking in the Workplace Can Lead to Negative Emotions - University of Houston
https://uh.edu/news-events/stories/2020/may-2020/05112020-multitasking-in-workplace-and-negative-emotions.php

マルチタスク中の人の感情についての分析を行ったのは、ヒューストン大学テキサスA&M大学の合同研究チームです。研究チームは平均年齢25歳の被験者26人に、「メールに返信しつつ制限時間内にエッセイを書き上げる」という試験を課しました。被験者に与えられた制限時間は50分で、同期間中に8通のメールに返信する必要がありました。


さらに、研究チームは「マルチタスクの種類」によって被験者が受ける影響が変化するかも測定しようと試みました。被験者の半数(13人)は「試験開始から10分後に8通のメール全てが送信され、5分以内に全てに返信する」という条件が課され、もう半数は「1つのメールを処理した4分後に次のメールが送信される。それぞれのメールは、受信後10秒以内に返信を書き始めなければならない」という条件が課されました。つまり、前者のチームは「長い中断時間が1回」、後者のチームは「複数回の短い中断時間」が課されるわけです。

以上の試験中に、研究チームはカメラで被験者の表情を記録し、アルゴリズムで分析して「感情」を割り出しました。以下は「長い中断時間が1回」課された被験者の表情の推移。最上段の被験者を例に取ると、メール受信前は「Neutral(中立)」の表情でしたが、メール受信後には「Angry(怒り)」、そして「Neutral」6割と「Sad(悲しみ)」4割という表情に変化する様子が観測されました。


一方、「複数回の短い中断時間」グループに属する被験者の表情の推移が以下。最上段の被験者は、「Neutral」から「Sad」に、その後は「Afraid(恐れ)」5割「Sad」5割という表情になりました。


以上の結果について、論文の主任著者であるヒューストン大学計算生理学研究所のイオアニス・パブリディス所長は「マルチタスクを強いられた被験者は、悲しみの表情がハッキリと現れました。さらに、断続的にマルチタスクを強いられたグループは悲しみと恐怖が混じり合った表情を示しました」と言及。その原因について、「マルチタスクは精神的負荷を生み、その精神的負荷が悲しみを呼び起こしていると考えられます」「悲しみと同時に引き起こされる恐怖については、おそらく次のメールが来ることを予想してしまうことが原因でしょう」と解説しました。

今回発表された論文は、「特に開放的な職場環境では、否定的な感情は意識的・無意識的を問わず全体に波及する可能性がある」と言及し、マルチタスクは個人にネガティブな影響を与えるというだけでなく、その影響が同僚、チーム、そして組織全体にまで影響を与える可能性があると指摘。その対処法として、「メールをバッチで処理する」といった対策を導入するように提言しています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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