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失礼なメールは長引くストレスをどれほど人に与え「ストレスの連鎖」を生み出しているのか


対面で直接やりとりするのではなく、メールやメッセージツールで連絡を取る機会はプライベートでも仕事でもどんどん増加していますが、近年の研究では「失礼なメール」がいかに人にストレスを与えて生産性を奪うのかが示されています。

The Psychological Toll of Rude E-mails - Scientific American
https://www.scientificamerican.com/article/the-psychological-toll-of-rude-e-mails/

これまでの研究から、失礼なメールを仕事中に受け取った人は、その後しばらく不快な体験を引きずることが判明しています。例えば、2013年の調査では、失礼なメールを上司から受け取った人は、その後のタスクに集中できなくなり、質問に対して正確に答えられなくなることが示されました。また被験者の行動を1日2回、5日間にわたって調査した研究では、仕事中に失礼なメールを受け取った人はその日の夕方と翌朝にストレス症状を示すことが多くなったとのこと。

また、2018年の研究では共働きのカップルを調査したところ、失礼なメールを受け取った人のパートナーは、メールの存在について知らなくとも、翌週に自分の仕事に集中できなくなることが増加すると報告しました。このことから、失礼なメールを受け取ったストレスは風邪のように人から人に移っていくのだと研究者はみています。


興味深いのは、メールによって発生するストレスは必ずしも「失礼な内容であること」が原因だとは限らないこと。返信が必要なメールにもかかわらず、相手から返信が送られてこない時も、ストレスが発生することが確認されています。

2020年7月に発表された新たな研究では、233人の被験者に対して「直近に経験した失礼なメール」と「それに対する自分の反応」について回答してもらいました。研究者は全ての回答を「能動的な失礼さ」と「受動的な失礼さ」に分類。その結果、無礼な言葉などが書かれている「能動的な失礼さ」を含むメールに対して人は「感情的になる」と報告する一方で、メールの返信をしないといった「受動的な失礼さ」に対して人は「確信はない」「不確かだ」と報告することが多いことがわかりました。能動的な失礼さは相手を怒らせますが、受動的な失礼さは相手を不安にさせることでストレスを与えると示されたわけです。

リモートワークが増加するにつれ、ビデオ会議によるストレスが問題視されていますが、同時にメールによるストレスも増加しています。

オンライン会議でストレスがたまる5つの原因 - GIGAZINE


このようなストレスを軽減させるために、組織やチームを管理する立場の人は、メールのやりとりに関して明確かつ合理的な仕組みを設けるべきだとのこと。可能であれば従業員を集めて仕事のやりとりが効率的に行える人間関係を構築し、従業員が「メールを無視したり相手をおとしめるような漠然としたメールアドレス」に対してメールを送るのではなく、「そのようなことをしない相手に対してメールを送る」のだという認識を持たせるようにすることが推奨されています。

また「心理的分離」という方法も効果的。つまり、仕事が終わった後は仕事のメールから離れ、家族や友人と時間を過ごすようにすることで、自宅から働いている人でも精神的に仕事とプライベートの分離が可能なり、ストレスの軽減に役立つわけです。


ただし、業務時間外のメールを禁じられることで、よりストレスをためてしまう人がいることも報告されています。

「勤務時間外でのメールのやりとりを禁じる」のは必ずしも社員の精神衛生にいいとは限らない - GIGAZINE


メールで感情は伝わらないのに人は「正しく伝えられている」と過信することが実験で証明されています。自分がストレスを受けないように対策をするのはもちろんですが、メールを送る際に思いやりのない表現がないか、いま一度自分のメールを確認することも大切です。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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