グズグズして今すべきことを「あとでやる」にして後悔するのを改善する心理学的方法

By Stefan Ray

デッドラインが迫っているのに仕事を先送りしたり、宿題の提出日が近いのに他のことをしてしまうなど、遅れてしまうと大変な事態を招いてしまうかもしれないのに、なかなか行動に移せずに先送りしてしまうことがあり、これはPCN症候群と呼ばれています。最悪の事態を招いてしまう可能性のあるPCN症候群ですが、ウォール・ストリート・ジャーナルが心理学の観点から治す方法を公開しています。

To Stop Procrastinating, Look to Science of Mood Repair - WSJ.com
http://online.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303933104579306664120892036

PCN症候群の典型的な行動の1つに、やるべきタスクのしんどさを考えると不安を抱いてしまい、昼寝やFacebookなどをして気分を変えようとし、結局後回しにしていまうということがあります。カールトン大学心理学部の准教授であるTimothy Pychyl氏によると、後回しにしても結局仕事の期限を守れなかったり、最後の最後まで作業をやるはめになり、後回しにする前よりももっと最悪な気分を味わうことになるそうです。

By Stefano Corso

アメリカのソルトレイクシティに住む二児の母Gisela Chodosさんは「自動車の中が汚れて限界に達するまで掃除できない」という、自分の癖に悩んでいました。Chodosさんがいつも思っていたのは「後でもっとやる気が出た時に掃除しよう」ということ。Chodosさんは、ある日Pychyl氏のポッドキャストを聞いている時に、掃除を後回しにしていたのは、「やらないといけない掃除に対して嫌だなあ」と思っていた気分をただ紛らわしていただけのことに気づきます。

ChodosさんはPychyl氏がポッドキャストで勧めていたある方法を試してみることにしました。ある方法とは「やりたくないがためにもやもやしている気分は、今やらないと後でもっと最悪ものになる」と考えて、感情をコントロールするというもの。感情をコントロールすることでChodosさんはやる気を取り戻し、今では頻繁に自動車内を掃除できるようになりました。

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また、「タイムトラベルテクニック」と名付けられた方法も有効です。タイムトラベルテクニックとは、タスクをやり遂げた後の最高の気分を考えてみることでやる気を促す、という方法。この方法は、やる気の他にも作業スピードを上げるメリットもあります。

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PCN症候群の人は「なぜやるべきことができないんだ？」「もっと責任感をもって行動しなければ」など、自分を否定するような感情を持つ傾向があります。カナダのヨーク大学心理学部教授のGordon Flett氏によると、PCN症候群の人が陥る消極的な考え方は、自分自身に対する不安などを反映しており、これを回避するために、できない自分を許すという方法があるとのこと。

PCN症候群に悩まされていたThomas Flintさんは、引っ越し時の荷ほどきの作業中、「自分を許す」という方法を試しました。なかなか荷ほどきが進められない自分を責めずに、テレビを箱からだしてセットアップするのに1時間かけ、その後セットアップの褒美としてテレビで番組を観賞する、という風に、自分に課すタスクの量を減らし、達成するごとに休憩を挟み、断続的に作業を進めてみると、後回しにすることなく荷ほどき作業を完遂できたそうです。

By re-modern.com

Pychyl氏は「嫌なことはわかりますが、とりあえず始めてみること。ただし、やる気を出すためにタスクの目標を低く設定することが大事です」と、PCN症候群で悩んでいる人にアドバイスしています。Pychyl氏によると、とにかく一度やり始めると、作業をしている内にやる気がどんどん出てくるとのこと。

PCN症候群でなくとも、やるべきことを後回しにしてしまうのは誰にでも起こります。そんな時は、やらなかった事で後悔する自分を想像したり、反対にやり遂げた後の気持ちを考えたり、できない自分を戒めるのではなくやさしくすることで、後回しにせずにやる気を取り戻すことができそうです。