「勤務時間外でのメールのやりとりを禁じる」のは必ずしも社員の精神衛生にいいとは限らない
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「仕事とプライベートは分けるべき」として、休日は仕事用のメールすら一切チェックしないという人もいるはず。しかし、「勤務時間外にメールで業務連絡することを禁止すると、一部の社員の精神衛生に悪影響を及ぼす可能性がある」という研究結果が発表されています。
Personality differences as predictors of action-goal relationships in work-email activity : Sussex Research Online
http://sro.sussex.ac.uk/id/eprint/86363/#
A spot of after-hours business email does you good, apparently • The Register
https://www.theregister.co.uk/2019/10/16/afterhours_business_email_survey/
ニューヨーク市では2018年に、勤務時間外の業務メールのやりとりを禁止する条例案が提出されています。また、イギリスのリバプール市議会は、「市議会職員があまりにもスマートフォンを見過ぎている」という理由で、「毎週水曜日はメールでの業務連絡を禁止する」というルールを設けました。
さらにフランスでは、50人以上の従業員を抱える企業に「従業員が仕事のメールを送信・返信してはならない時間を設けること」を義務づける法律が2017年に可決されています。しかし、この法律に対しては「どうしてもこなさなければいけない仕事が詰まってしまう」「仕事明けにたまったメールを見る方がよほどストレスになる」といった反対意見も多くありました。
「勤務時間外メール禁止法」成立で賛否渦巻くフランス WEDGE Infinity(ウェッジ)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/8927
サセックス大学で行われた研究では、仕事のメールを管理する際に人々が取る行動として、「削除」「スパムとしてマークする」「転送」「返信」「既読スルー」など少なくとも72パターンが列挙されています。
また、研究チームによると、人は仕事のメールに対処するとき、「他者に気を遣う」「効果的に仕事を達成する」「幸福を維持する」「自分の仕事を管理する」という4つの目標を意識する傾向があるとのこと。仕事のメールに対してどういったメールを返すかは、個人が4つの目標のうちどれを優先するのか、そして個人の性格が大きく影響しているとのこと。
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勤務時間外の業務メールを禁止することは、従業員が過度のストレスを受けないように福利厚生の一環として企業側がルールとして設けるもの。「しかし、勤務時間外の業務メールの禁止は、自分のプライベートよりも仕事を優先しがちな従業員にとっては歓迎されないこともあります」と語るのは、サセックス大学の心理学者であるエマ・ラッセル氏。性格と優先する目標によっては、業務メールを禁止されることでストレスが蓄積する場合もあると指摘しています。
ラッセル氏は「仕事の進捗を適切に管理しているように感じるためには、性格と目標の優先順位に合った方法で仕事のメールに対応する必要があります」と語り、勤務時間外に仕事のメールを一様に禁止することが福利厚生向上の完全な正解ではないとしています。
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