1200時間もかかる科学解説アニメーションの制作はどうやって進められているのか?
by Vancouver Film School
「宇宙で最も危険な物質とは?」「意識とは一体何なのか?」など、科学のさまざまな不思議をアニメーションで解説するチャンネル「Kurzgesagt – In a Nutshell」が、普段のアニメーションの制作方法について1本のアニメーションで解説しています。
How to Make a Kurzgesagt Video in 1200 Hours - YouTube
科学の世界には取り上げるべきトピックは無限に存在します。
その中から長く研究されているものやホットな話題を取り上げて、アニメーションを制作するとのこと。より複雑で難しいことを簡単に解説することこそがKurzgesagtのスタッフの楽しみだとのこと。
アニメーション制作の1歩目は「脚本」です。
スタッフはさまざまな研究論文を読み漁り、トピックについての知見を得る作業に取りかかるとのこと。このステップで数週間を費やします。
十分に調査したら脚本を執筆。内容は、専門家に確認を依頼したり、検証を何度も行ったりして吟味します。制作においてこの検証部分がボトルネックとなるので、どうしても制作に時間がかかってしまうとのこと。脚本の完成には数週間から文字通り数年かかってしまうこともあるそうです。
脚本が完成したら、アニメーションの基となる原画を作成します。
およそ200枚ほどのスケッチを用意したら……
Adobe Illustlatorを使って描画していきます。この作業は2人~3人のイラストレーターで8週間~12週間かかるとのこと。
つづいて、「ナレーション」の録音。
ナレーションは小さいスタジオで、パラグラフごとに録音されます。使っている機材はノイマン TLM103というコンデンサーマイクと、プロ向けの録音ツール。
そして、イラストを基にしてアニメーションを制作します。
制作に使用されるソフトはAdobe After EffectsとCINEMA 4D。何百、何千ものパーツをAfter Effectsにインポートし、アニメーションとして動かせるようにする作業は、2人~3人のアニメーターで8週間~12週間ほどかかるそうです。
最後に、音楽や効果音を映像に重ねます。
Kurzgesagtのムービーで使われているBGMはすべてオリジナルで、SoundCloudやSpotifyでも配信されているそうです。
アニメーションは1本にかかりっきりというわけではなく、2本~4本のアニメーションの制作が同時並行で進みます。理想的な計画は以下のような感じですが……
実際は思い通りとはいかず、スケジュールが混乱してしまうこともしばしば。アニメーションによっては、途中で制作が中止になることもあるそうです。
Kurzgesagtがあげるアニメーション1本の再生時間はだいたい9分前後ですが、制作にかかる時間は1200時間に達することもあるとのことでした。
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