SNSで他人の投稿がうらやましく見えるのは「友情パラドックス」の影響

By Julián Gentilezza

FacebookやInstagramでフォローしているアカウントの投稿を見ていると、自分よりもいいものを食べている人や、充実した休日を過ごしている人が多いように感じることがあります。SNSで他人の振る舞いがうらやましく見えてしまう現象は、「隣の芝生は青い」のではなく、「友情パラドックス」と呼ばれる性質によるものである可能性が高いと、南カリフォルニア大学で情報科学の准教授を務めるクリスティーナ・ラーマン氏が述べています。

Why it seems like your friends have more to be thankful for
https://theconversation.com/why-it-seems-like-your-friends-have-more-to-be-thankful-for-127392

社会学者であるスコット・フェルド氏が提唱した「友情パラドックス」とは、「あなたの友人の数は、平均するとあなたの友人の友人数よりも少ない」というものです。SNSに当てはめると、自分がフォローしているアカウントのほとんどが、自分よりも多くフォロワーを持っており、よりよい人脈を持っているということになります。友情パラドックスと、SNSが持つ他の特性が組み合わされることで「SNSで友人が自分よりいい生活をしていると感じられる」という一種の錯覚が生み出されるとのこと。実際、Twitterと友情パラドックスについて調査した研究によると、Twitterユーザーの98％が「自分よりもフォロワーの多いアカウントをフォローしている」そうです。

また、友情パラドックスは不当な人気を生み出すこともあるとラーマン氏は述べています。たとえば、ソーシャルメディアで非常に多くのフォロワーを持つジャスティン・ビーバー氏のような、1億人以上のフォロワーを持つ有名人は、彼の人気が波及し関係する人々の人気を向上させるだけでなく、並外れた数の社会集団にも影響を与えると考えられています。

例えば自身がSNS上で所属している社会集団は、多数のフォロワーを持つ複数のアカウントで構成されたグループのようなものです。そのグループに属するアカウントが、それぞれをフォローし合うことで互いの人気を高めあっています。その中に抜きん出て人気のあるアカウントが存在すると、その人気が関連するアカウントにも波及し、グループに属する人々の人気を不当に高くしてしまう可能性があるということです。

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ラーマン氏は「自分のTwitterで各アカウントをクリックし、彼らのフォロワー数と、彼らがフォローしているアカウント数を確認してみてください。私は、ほとんどがあなたの数字よりも大きいと確信しています」と語っています。

不思議なことに、この友情パラドックスによる影響はフォロワーの数だけでなく、ソーシャルメディアの使用法、食事、休暇の過ごし方などの他の特性にも当てはまります。ラーマン氏は、具体的な例としてSNSの更新頻度を挙げ、「あなたがフォローしている人のほとんどが、あなたよりも多くの情報をSNSに投稿しています。また、あなたがフォローしている人のほとんどは、あなたよりも斬新で多様な情報を得ています」と述べています。

他人よりもよい社会的つながりを持つ人は、ミシュランの星付きレストランで食事したり、離島で休暇をとったりするなど、他人から注目されやすい行動をSNSで強調する傾向にあります。こういった生活をSNS上に投稿すれば、フォローしている人間からは「質の高い生活を送っている」ように見えてしまうというわけです。

また、よい社会的つながりを持つ人は、ソーシャルメディアへの投稿に積極的なため、Instagramなどで自分の生活を発信する傾向が強く、「質の高い生活を送っている」ように見える投稿があたかも一般的であるかのようにフォロワーの認識をゆがめてしまう原因となっています。ラーマン氏は「認識のゆがみを軽減する方法は、自分を相手と比較するのをやめて、自分が持っているものへの感謝を忘れないことです」と語っています。

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