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「人との接触を避ける時代は内向的な人にとって人生最高の時期なのか?」は心理学者の間でも意見が分かれている


新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、多くの人が外出や人との接触を控える生活を余儀なくされていますが、中には「元から内向的なので、ほとんど生活が変わらない」という人もいます。しかし、心理学者らの間では「内向的な気質が孤独への強さにつながるかどうか」は意見が分かれています。

Personalities that thrive in isolation and what we can all learn from time alone
https://theconversation.com/personalities-that-thrive-in-isolation-and-what-we-can-all-learn-from-time-alone-135307

Yes, Even Introverts Can Be Lonely Right Now - The New York Times
https://www.nytimes.com/2020/04/16/smarter-living/coronavirus-introverts-lonely.html

◆内向的な人は孤独に強いという意見
メルボルン大学の心理学教授ニック・ハスラム氏と同大学のルーク・スミリー准教授によると、人の「内向性・外向性」という性質は人生の早い時期に表れて、生涯にわたり安定しているとのこと。この違いは主に、人がどんな環境を好むか、または環境に対してどう反応するかに影響を与えます。

そのことを裏付けるのが、2018年にスミリー氏らが発表した社会実験です。この実験では、内向的な人と外向的な人に「1週間普段よりも外向的な生活」をしてもらいました。具体的には、実験の参加者に日常生活の中で「できる限り社交的でおしゃべりな人」として振る舞ってもらったとのこと。そして、実験終了後にアンケートを実施して参加者らの感情の変化を調べました。

その結果、外向的な人は気分の改善や「自分を自分らしいと感じられる度合」の向上などのメリットが認められた一方で、内向的な人は疲労感やいら立ちといったデメリットを感じていたことが分かりました。


ハスラム氏とスミリー氏はこの実験結果について「社会的距離をあけなければならないこの時代は、我々の実験とは鏡写しの状況です。ここでは、性格に合わない行動を強いられているのは外向的な人の方なので、そういった人たちは今後数週間から数カ月の間に幸福度の低下を経験する可能性が高いでしょう。一方、内向的な人はこの瞬間のために生涯を通じて訓練をしてきたようなものです」と述べて、人と人との関わりを避けなければならない社会は内向的な人に向いているとの見方を示しました。

ハスラム氏らは内向的な人が孤独にうまく対処できる理由について、「最も明確なことは、内向的な人は社会との関わりを求めるモチベーションが低いということです。また、そういった人は興奮や喜びをあまり必要としていないという傾向もあります。そのため、社会的距離が求められる期間が長くなるにつれて多くの人々が感じる退屈さを、あまり感じていない可能性があります」と述べています。


特に、内向的な人の中でもある程度の社交性を兼ね備えた人が孤独に強いとのこと。例えば、宇宙ステーションや南極の研究施設といったさまざまな事例から閉鎖的な環境に適している人の特徴をまとめた(PDFファイル)研究では、「感情的な安定・自立心・目標指向・忍耐強さと親しみやすさや開放性を兼ね備えた人」は極端な孤独にも適応できることが明らかになっています。この研究を行ったブリティッシュコロンビア大学の心理学者らは、こうした社会的交流を楽しみはするが必要とはしていない内向的な人を「社交性のある内向的な人」と呼びました。

これらの実験や研究の結果から、ハスラム氏らは「新型コロナウイルスのパンデミックは、一部の人からは『孤独のアウトブレイク』と呼ばれていますが、これは誇張された表現かもしれません。なぜなら、この状況は外向的な人にとっては暗雲が垂れこめるような状況ですが、内向的な人にとっては雲間から光が差し込んでいるような状況だからです」とコメントしました。


◆内向的だからといって孤独に強いとは限らない
「『外向的な人は他人からエネルギーをもらい、内向的な人は孤独からエネルギーを得る』とよくいわれますが、それは神話であることが分かっています」と指摘するのは、ペンシルベニア大学ウォートン校の組織心理学者であるアダム・グラント氏です。

グラント氏は、「内向的な私はコンサートよりも読書が好きで、予定外の電話がかかってきても電話に出ることはほとんどありません。誕生日パーティーやダンスパーティーよりも、少人数と深く話し込む方が好きです。内向性を調べるビンゴでは16マス中13マスが埋まってしまいます」と話す、筋金入りの「内向的な人」です。


そのため、孤独への耐性には自信があったというグラント氏ですが、大学院生の時分にルームメイトが帰省してしまい、ひどい孤独を感じた経験があるとのこと。この経験から、グラント氏は「内向的な性格でも孤独に強いとは限らないのではないか?」と考えるようになりました。

それを裏付けるのが、「外向的な人と内向的な人にグループディスカッションをしてもらう」という実験です。この実験では、参加者に「外向的な人」あるいは「内向的な人」として振る舞うよう、ランダムに役割を割り当てて会話してもらいました。その結果、「元から外向的な人だけでなく、内向的な人も『外向的な人として振る舞う』ことでポジティブな感情の変化を受ける」という、スミリー氏らの実験とは異なる傾向が報告されたとのこと。

グラント氏も、スミリー氏らの実験を指して「確かに、内向的な人が1週間外向的な人のように振る舞うと、感情的なメリットが薄れてデメリットが表れるというのは事実です」と述べて、その主張を認めています。その上で、グラント氏は「孤独への欲求は、内向性とはまったく異なる特性、つまり『独立性』に由来しています」と述べて、内向的かどうかと孤独を好むかどうかは別物だとの見解を示しました。

グラント氏はさらに「幸いなことに、孤独と戦うのに人数は必要ありません。私の同僚であるSigal Barsade氏の研究では、たった1人の友だちがいるだけで孤独がかなり軽減されることが分かっています。また別の専門家は、40秒間のポジティブな会話をするだけで両者にいい影響が出ると話しています。人とのつながり感じて孤独をぬぐいさるのに、大きな努力は必要ないわけです」と話しました。

by darvoiteau

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in メモ, Posted by log1l_ks

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