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「Twitterの主流派は政治的な影響力を競い活動する人々ではない」と研究によって判明

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TwitterなどのSNSについて、近年では「過激な政治的主張をする勢力が活動している」などという指摘が相次いでおり、実際にTwitterでは過激な政治主張を行うアカウントやボットを凍結するなどの対策をとっています。こうしたことから「Twitterは今や過激な政治的主張が席巻する場になってしまった」「Twitterは失敗だった」などと批判されることもありますが、オーストラリアの研究者らは「Twitterユーザーの大多数は政治的争いに首を突っ込んでおらず、社会的つながりを持つために利用している」と、研究結果をもとに主張しました。

One Day in the Life of a National Twittersphere : Nordicom Review
https://content.sciendo.com/view/journals/nor/40/s1/article-p11.xml

Twitter isn’t just for political hashtag warriors. Many still use the social network to just hang out
https://theconversation.com/twitter-isnt-just-for-political-hashtag-warriors-many-still-use-the-social-network-to-just-hang-out-120505

多くのネットユーザーが集まるプラットフォームとして、Twitterは必ずしも高い評判を得ているわけではありません。実際にTwitterを使っていない人々からすると、「Twitterは過激な政治的主張とハッシュタグが大量に使われている場所」というイメージがあるのも確かです。そこで、クイーンズランド工科大学アクセル・ブルンズ教授らの研究チームは、実際にTwitterがどのように使われているのかを調査しました。

TwitterなどのSNSを対象にした研究でよく使われるのが、「特定のハッシュタグがどれほど使われたのか」「大量に拡散された投稿は何か」といった指標です。しかし、ハッシュタグや拡散力だけに注目していては、正確なユーザーのアクティビティがわからないと研究チームは考えました。そこで、研究チームは特定のハッシュタグや影響力の強いアカウントに限らず、2017年のある平日にオーストラリアのTwitterユーザーが行った「全てのTwitter上での活動」を分析したとのこと。

by World's Direction

分析対象となったのは130万ものツイートやリツイートなどであり、ハッシュタグを付けておらず目立たないツイートや、あまり拡散しなかったツイートも含まれていました。その結果、「#auspol(オーストラリアの政治)」などの政治的ハッシュタグを使うのは少数派であり、1日に投稿されるツイートのうち4分の3以上にハッシュタグがなかったことが判明。特定のハッシュタグに焦点を絞っていては、Twitter上のユーザー活動を正しく捉えることができないとわかります。

以下の画像は、Twitterユーザー同士のつながりを視覚化して表したもの。左上には確かにオーストラリアの政治や環境問題、右翼的主張などを行う集団があるのがわかりますが、図の全体を見ると政治関連のもの以外にも多くのトピックが存在し、集団が散在していることが見てとれます。


研究の結果、1日の中で最も頻繁にTwitterで活動しているユーザーの集団は、政治的な主張や過激なハッシュタグを使う習慣のないユーザーたちであることがわかりました。多くのユーザーは明確な主題や主張などを持たず、Twitterでの活動のうち約半数がリツイートやURLを含んだもので、4分の1ほどが自分からの発信だったとのこと。これらのユーザーはほとんどハッシュタグを使ったツイートをせず、ハッシュタグがツイートに含まれる率はわずか5%ほどでした。

Twitterで最も多く活動するグループは、自分がツイートする範囲以上の広範な興味を持っておらず、ハッシュタグなどを使って自分の主張を世に広めようとしません。あくまでも個人的なトピックをツイートしたり、Twitterをながめていて面白かったものをリツイートしたりと、「Twitter本来の使い方」といえる活動で一貫しているとのこと。


研究チームはこれらの活動を、職場の同僚や友だちと話すのと同じような感覚だろうと推測しており、多くのユーザーはTwitterを個人的な表現、あるいは小さな社会的つながりの場として活用しているそうです。人々の日常に関することや、心が温まるようなトピックについてのTwitter上でのやり取りを、研究チームは「交歓的な共有」と分類しており、Twitterでは慣例的に交歓的な共有が長らく続けられてきたとしています。

近年ではTwitterなどのSNSに対する規制を行うべきだという主張も出ていますが、研究チームはあくまでもTwitterの主流派は穏やかな社会的交流を好んでいると主張。規制について話し合う場合には、そのような人々に悪影響が出ないように配慮する必要があると指摘しました。

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また、研究チームはTwitter上での政治的なやり取りにウンザリしているという人に対し、「政治的なツイートを行う人々のフォローを解除して、別の興味ある物事について語るユーザーを見つけて下さい」とアドバイスしています。しかし、こういった交歓的な共有を好むユーザーの多くはハッシュタグを用いないため、探すのは少し困難かもしれません。

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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