Chromiumベースの新Edgeに搭載されるトラッキング防止機能はどのようなものなのか?
by fancycrave1
オープンソースのブラウザエンジン「Chromium」を採用して2020年1月15日に正式リリース予定の新たなMicrosoft Edgeに搭載されるトラッキング防止機能がどういったものなのか、技術系ジャーナリストのエド・ボット氏が調査を行い、結果を明らかにしています。
Edge vs. Chrome: Microsoft's Tracking Prevention hits Google the hardest | ZDNet
https://www.zdnet.com/article/with-its-new-edge-browser-microsoft-takes-dead-aim-at-google/
ChromiumベースのEdgeはすでにWindowsおよびmacOSで使用可能なベータ版が公開されており、新しいEdgeに標準搭載される予定のトラッキング防止機能も使うことができます。Microsoft製ブラウザには、2011年リリースのInternet Explorer 9からトラッキング防止機能が搭載されていて、Chromium版Edge搭載のものはさらなる進化を遂げているとみられています。
しかし、MicrosoftがEdgeに搭載するトラッキング防止機能について正式なドキュメントを公開していないことから、「実装には『ブラックボックス』の雰囲気があります」とBott氏は指摘。公開されているベータ版Edgeを使って、機能の実態を調査しました。すでに日本語化されたベータ版Edgeが公開されているので、以下の内容は日本語版に基づいた表記にしています。
トラッキング防止機能は、「設定」メニュー内の「プライバシーとサービス」内で設定します。右上のトグルスイッチがオン・オフの切り替えで、下に並んでいる「基本」「バランス」「厳重」の3つで、ブロックする範囲を変更します。
デフォルトでは、推奨されている設定でもある「バランス」が選択されています。いずれの設定でも既知の有害なトラッカーはブロックされますが、それぞれ以下のように機能します。
・基本:すべてのサイトでほとんどのトラッカーを許可。コンテンツと広告がパーソナル設定される可能性あり。サイトは適切に機能。
・バランス:アクセスしたことがないサイトからのトラッカーをブロック。コンテンツと広告はほとんどパーソナル設定されない可能性あり。サイトは適切に機能。
・厳重:すべてのサイトから送られるトラッカーの大部分をブロック。コンテンツと広告のパーソナル設定は最小限に抑えられる可能性あり。サイトの一部が機能しない可能性あり。
となっています。
Endeのユーザーデータが保存されたフォルダー内を確認してみると、「Trust Protection Lists」というフォルダーがあり、その中に「Advertising」「Analytics」などと名付けられたファイルが入っていました。
ファイルの中身は「Social」だとこんな感じ。ブロック対象にしないドメインをジャンル別に分類しているようでした。
ボット氏はサードパーティー製トラッカーを利用しているニュースサイトや技術系のサイトなど66個を開いて、Chromium版Edgeのトラッキング防止機能がどのように動作するのか、実験を行いました。
Chromium版Edgeでは、URL左側の欄(HTTPS対応サイトなら南京錠アイコン部分)をクリックすると、当該ページでブロックされたトラッカーを確認できるようになっています。
ボット氏が3つの設定を切り替えつつ実験したところ、「基本」ではほとんどのトラッカーはブロックされませんでしたが、「バランス」では1ページあたり平均35個のトラッカーがブロックされました。ブロックされたトラッカーのうち23.8%がGoogleドメインのもので、2番目に多かったFacebookは3.8%だったそうです。「厳密」では、Microsoftのトラッカーまでブロックされているケースがあったとのことですが、ブロック件数は「バランス」よりも少なく、思わず実験をやり直したとのこと。
「バランス」と「厳密」でのブロック数の差についてボット氏は、「バランス」ではリソースをロードしてからブロックしていたのに対して、「厳密」ではリソースのロード自体がブロックされるため、そもそもの個数が減少するという見方を示しました。この動作の違いにより、「バランス」ではかなりの数が広告が表示されますが、「厳密」だとほとんどのサードパーティー製広告が消えたため、ページの読み込みが大幅に早くなったそうです。
by pixel2013
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