Microsoft EdgeのARMアーキテクチャ対応版が登場、まずはCanary Channelで利用可能に

by Mike Mozart

半導体大手のARMによって設計・ライセンスされているARMアーキテクチャは、ARMプロセッサコアのアーキテクチャであり、モバイル機器などに多く搭載されています。Microsoftは自社ブラウザのMicrosoft EdgeをARMアーキテクチャに対応させる動きを進めており、新たに64ビットモードのARMアーキテクチャに対応したEdgeを、Windows 10プレビュー版にあたる「Canary Channel」向けにリリースしたと発表しました。

Microsoft improves the Surface Pro X with new Edge Chromium ARM beta - The Verge
https://www.theverge.com/2019/11/13/20963451/microsoft-edge-chromium-arm-browser-beta-surface-pro-x

Microsoft Edge built for ARM PCs now available in Canary channel | Windows Central
https://www.windowscentral.com/microsoft-edge-built-arm-pcs-now-available-canary-channel

ARMアーキテクチャはデバイスの消費電力を抑えるといった特徴を持っており、主にモバイル機器において採用されてきた歴史があります。しかし近年では、Microsoftが2019年11月にリリースしたノートPC「Surface Pro X」にはARMプロセッサが搭載されるなど、今後はラップトップPCなどでもARMアーキテクチャの採用が進む可能性があるとのこと。

その一方で、EdgeはARMアーキテクチャに対応していなかったため、Surface Pro XをはじめとするARMアーキテクチャ採用のPCは、エミュレーションモードを介さないとEdgeを利用できませんでした。これはARMを搭載したデバイスのバッテリー寿命とパフォーマンスに大きく影響すると、The Vergeは指摘しています。

Microsoftでは時間をかけて64ビット版ARMアーキテクチャ対応のEdgeのテストを重ね、2019年11月13日、とうとう「Canary Channel」でのリリースにこぎ着けました。今後数週間から数カ月をかけて、「Canary Channel」より安定したバージョンの「Dev Channel」や「Beta Channel」でも、ARMアーキテクチャ対応Edgeが利用可能となる見込みです。

今回のリリースにより、Surface Pro XのユーザーはARMアーキテクチャに最適なEdgeを利用できるようになります。Surface Pro XでARMアーキテクチャー対応EdgeをテストしているThe Vergeによると、タブの切り替えやコンテンツのレンダリング、スクロール速度といった要素が大きく改善され、バッテリー寿命もはるかに優れているとのこと。

MicrosoftはEdgeをChromiumベースのウェブブラウザとして新しく開発しており、2020年1月15日に正式版をリリースすると発表しています。ARMアーキテクチャ対応のEdgeがこのタイミングに合わせて正式リリースされる予定はないとのことですが、ユーザー向けの公開テスト段階まで到達した以上、それほど先のことにはならないとみられています。