ネットサービス

Facebookの命運を握るとも言われた7000ページにもおよぶ内部文書がまるごとリークされる

by Glen Carrie

7000ページにもおよぶFacebookの内部機密文書がリークされました。これは独占禁止法の疑いでFacebookを調査している多くの組織にとって非常に役立つ可能性の高い資料であると、テクノロジーメディアのArs Technicaは指摘しています。

Massive Facebook document leak gives ammunition to investigators | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2019/11/facebook-sold-competition-quashing-as-a-privacy-move-leaked-documents-show/

リークされた7000ページにもおよぶ内部機密文書は、ビキニになった友人を検索するFacebookアプリ「Pinkini」を開発していたSix4Threeという企業が、「Facebookによるポリシー変更により、アプリ運用に必要なデータにアクセスできなくなった」ことを理由に起こした訴訟の中で、証拠として提出していたもの。当初は非公開扱いとされていましたが、2018年12月にはイギリス議会が内部文書の一部をインターネット上に公開し話題となりました。

ザッカーバーグCEOらFacebook幹部の内部メールを含む250ページもの極秘文書をイギリス議会がネットで大公開 - GIGAZINE


さらに、2019年2月末にもSix4Threeが裁判所に提出した内部文書の一部が新たにリークされることとなります。

Facebookがユーザーデータへのアクセス権を売る計画に関する新たな内部文書がリークされる - GIGAZINE

by www.shopcatalog.com

これらのリーク情報から、FacebookはEUのデータ保護規則「GDPR」を阻止するために世界中の政治家をターゲットにロビー活動にいそしんでいたことが明らかになっています。また、ユーザーデータへのアクセス権を販売することを検討していたことも判明し、批判を集めていました。

FacebookがEUのデータ保護規則「GDPR」を阻止するため世界中の政治家に根回ししていたことが内部文書流出によってダダ漏れに - GIGAZINE

by geralt

最初のリークは250ページ、2度目のリークでは100ページと、これまでリークされてきた内部文書の量は全体のごく一部でした。しかし、最終的にSix4Threeが集めたすべての内部文書を入手したイギリス人ジャーナリストのDuncan Campbell氏が、そのすべてとなる7000ページにも及ぶデータをインターネット上で公開しました。Ars TechnicaはFacebookの独占禁止法違反の疑いを調査する機関や、ケンブリッジ・アナリティカのデータ不正利用に関する調査を行う当局などが、「今回リークされた内部文書から有益なものを見つける可能性がある」と指摘しています。

なお、リークされた全データには以下のサイトからアクセス可能です。

Facebook Leaks | DuncanCampbell.org


Ars Technicaはリークされた内部文書により、「Facebookについて長らく疑われ続けてきた2つの事実が明らかになりました。1つ目は、ユーザーのプライバシーをせいぜい後付け程度に扱っているということ。そして2つ目は、競合他社が強力になりすぎるのを防ぐために懸命に働いているということです」と語っています。

Facebookは2014年に開発者がAPIを介してユーザー情報にアクセスする方法を大幅に変更しました。内部文書によると、Facebookは「プライバシーを強化するため」と宣伝していたそうですが、実際には金儲けのための施策であったそうです。これは「switcharoo(突然の予期せぬ転向)」と呼ばれており、突如APIを変更した結果、数千人の開発者がユーザー情報へのアクセス権を失うこととなり、外部からは酷評されます。しかし、Facebookはログインシステムのプライバシー面の強化を名目に、アップデートが正当なものと主張しました。

この件について、当時Facebookの幹部であったInstagramの現COOであるJustin Osofsky氏は、「品質とユーザーエクスペリエンスに焦点を当てるという言い分は、非推奨のAPIを隠すちょうどいい傘になるかもしれない」とメールで記しています。

by Alex Haney

さらに、Facebookは競合他社のアプリやサービスを「既存の競合他社」「将来の競合他社」「ビジネスモデルで提携している開発者」の3つに分類していたことも明らかになっています。内部文書から、Facebookは潜在的な競合他社がFacebookアプリ上で広告を掲載することを禁止し、「ビジネスモデルで提携している開発者」に対してのみ、モバイル広告を購入するか、プライベート拡張API契約に基づきFacebookと相互にユーザー情報を提供することに同意させることで、ユーザー情報へのアクセスを許可していたことも判明。

マーク・ザッカーバーグCEOは2013年に、「WeChat、Kakao、LINEの広告はブロックする必要があると思います。これらの企業はソーシャルネットワークを構築し、我々に取って代わろうとしているからです。収益はリスクに比べれば重要なものではありません」とメールで記し、競合他社の利にならないことこそ重要としています。他にも、内部文書の中には「Facebookが競合他社が成長するのを防ぐために取ってきた複数の施策」がわかる内容が含まれているとのことです。

記事作成時点で、Facebookは多くの独占禁止法違反に関する調査に直面しており、アメリカだけでも下院独占禁止委員会、連邦取引委員会、司法省、47州の検事総長がそれぞれ調査を実施しています。これに加え、欧州の規制当局もFacebookとの訴訟に向けて準備を進めているため、Facebookにとっては最悪のタイミングでリークが飛び出した形となります。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ザッカーバーグCEOらFacebook幹部の内部メールを含む250ページもの極秘文書をイギリス議会がネットで大公開 - GIGAZINE

Facebookがユーザーデータへのアクセス権を売る計画に関する新たな内部文書がリークされる - GIGAZINE

FacebookがEUのデータ保護規則「GDPR」を阻止するため世界中の政治家に根回ししていたことが内部文書流出によってダダ漏れに - GIGAZINE

5000万人のユーザーデータを不正利用されたFacebookのザッカーバーグCEOが間違いを犯したと認める - GIGAZINE

Facebookが150以上の企業にユーザーの個人情報へのアクセスを特別に許可していたことが判明 - GIGAZINE

in ネットサービス, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article here.