Facebookがユーザーデータへのアクセス権を売る計画に関する新たな内部文書がリークされる
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2018年、Facebookは5000万人分のユーザーデータをコンサルティング企業のCambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)に利用されていたことが公になり、ユーザー情報保護のあり方について疑念を呈されています。また、2018年12月にはイギリス議会によってFacebookの内部文書がリークされており、大きな波紋を呼びましたが、新たに100ページを超える追加の内部文書がリークされたと報じられました。
More Internal Facebook Documents Leak Online, Revealing How Facebook Planned to Sell User Data
https://gizmodo.com/more-internal-facebook-documents-leak-online-revealing-1832874062
Facebook planned to spy on Android phone users, internal emails reveal
https://www.computerweekly.com/news/252458208/Facebook-planned-to-spy-on-Android-phone-users-internal-emails-reveal
Facebookのユーザーデータはアメリカ大統領選挙だけでなく、イギリスのEU離脱(Brexit)に関する国民投票への干渉にも利用されたといわれており、イギリス議会はFacebookとケンブリッジ・アナリティカのスキャンダルの全容解明を望んでいます。イギリス議会はFacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏を議会の公聴会に呼び出すなどの行動を起こしていましたが、ザッカーバーグ氏は公聴会への出席を拒否していました。
そこでイギリス議会は、Facebookが「Six4Three」という企業から起こされた訴訟に目を付けます。Six4Threeは「1.99ドル(約220円)支払うことで、Facebook上の友人が投稿したビキニや水着の写真全てを収集することができる」という「Pinkini」と名付けられたアプリを開発していました。ところが、FacebookはPinkiniアプリがFacebook上の写真にアクセスすることを禁止したため、Six4Threeは25万ドル(約2800万円)の賠償を求める訴訟をFacebookに対して起こしたとのこと。
この訴訟の中でSix4Threeは、入手したFacebookの内部文書を証拠として提出しています。提出された文書は非公開扱いとなっていましたが、イギリス議会はSix4Threeの創業者であるテッド・クレイマー氏がロンドンに滞在しているタイミングで「Facebookの内部文書をイギリス議会に提出するように」との命令を出し、クレイマー氏のPCに保存されていた内部文書を確保したそうです。
イギリス議会は入手したFacebookの内部文書について「公共性が極めて高い」と判断し、内部文書を要約した250ページにもわたる内容がネット上に公開されました。内部文書は2012年から2015年までのFacebook社内におけるやり取りに関するもので、Facebookがユーザーデータへのアクセス権をどう収益化するかについての議論が行われていました。
ザッカーバーグCEOらFacebook幹部の内部メールを含む250ページもの極秘文書をイギリス議会がネットで大公開 - GIGAZINE
しかし2019年2月、イギリス議会が過去に公開したものとは違う、新たな66ページに及ぶFacebookの内部文書がGitHub上で公開されました。内部文書ではザッカーバーグ氏を含むFacfebookの従業員が、ユーザーデータへのアクセスをどのように収益化するのかについてやり取りを交わしていたことがわかります。
btrmisc/fb-643-extended.pdf at master · BuxtonTheRed/btrmisc · GitHub
https://github.com/BuxtonTheRed/btrmisc/blob/master/fb-643-extended.pdf
今回新たな文書を公開したのは、BuxtonTheRedという名前で活動するMatt Fowler氏というイングランドのプログラマーです。そのGitHubページについてジャーナリストのDuncan Campbell氏がTwitterで公言し、多くの人が知るところとなりました。Campbell氏によれば、公開された一連の文書は、Six4Threeに関する訴訟のために用意された150万ページに及ぶ文書の一部だとのこと。
Important previously unpublished emails, internal documents have been disclosed https://t.co/v9eR0ZvNim Docs reveal @Facebook as "digital gangsters" as UK parl's @DamianCollins @CommonsCMS calls them #Six4ThreeFiles @carolecadwalla @profcarroll @Video_Forensics @podehaye
— Duncan Campbell (@dcampbell_iptv) 2019年2月22日
いったいどのようにしてFowler氏がイギリス議会が公開しなかった文書を入手したのかは不明ですが、「今回公開された新たな文書は、イギリス議会に確保されたものの公開はされなかった文書です」と、Campbell氏はFowler氏を含めたメールのやり取りで説明しています。
公開された文書からはFacebookがユーザーデータの収益化を模索していたことや、それぞれの企業に対して違うデータアクセス権を付与しようとしていたというSix4Threeの主張を裏付ける内容が読み取れるそうです。ほかにもFacebook内部で検討されていたさまざまな計画について述べられており、「Androidアプリを利用してユーザーの位置情報を追跡する計画」「競合他社のアプリがどのようにFacebookのユーザーデータを利用したのかを収集する計画」「あるユーザーと特定のユーザーがどれほど親密なのかを判断する『係数』を導入し、広告のコンバージョン率向上を目指す計画」などが話し合われていたとのこと。
一方でFacebookの広報担当者は、「2018年12月にリークされた内部文書と同様、公開された内部文書は都合のいい部分だけをピックアップしたものであり、重要な文脈を無視した一面的なものです」と述べました。
なお、Six4ThreeとFacebookの訴訟を担当している裁判官は裁判の証拠となる機密文書がイギリス議会によって公開され、インターネット上で拡散していることを「非良心的な行為だ」と非難しています。
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