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「UberとLyftのどちらが優れているのか」を投資家目線で徹底分析した結果

by Stock Catalog

自家用車を使う一般のドライバーと、それに相乗りする乗客や乗客同士をマッチングさせるライドシェアサービスは世界中で目覚ましい進歩を遂げており、欧米を中心に安価な交通手段として広く普及しています。中でも、ライドシェアの普及が進んでいる国であるアメリカで圧倒的な人気を誇っているライドシェアサービスが「Uber」と「Lyft」です。2019年3月と4月に相次いでIPOを申請した両社のIPO申請書を、ハイテク投資オタクを自称するブロガーのベンジャミン・ツェン氏が分析し、「Lyft vs Uber」と題して両社を徹底比較しています。

Lyft vs Uber: A Tale of Two S-1’s – Benjamin Tseng
https://benjamintseng.com/2019/04/lyft-vs-uber-a-tale-of-two-s-1s/

S-1 Lyft, Inc.
https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1759509/000119312519059849/d633517ds1.htm

S-1 UBER TECHNOLOGIES, INC.
https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1543151/000119312519103850/d647752ds1.htm

◆料金はLyftの方が高いが、乗客はUberにより多く料金を払っている
以下の折れ線グラフは乗車予約1回当たりの利用料金のグラフで、青色の線がLyft、赤色の線がUberのものです。Uberの集計が始まった2017年第1四半期では、1回の予約ごとに乗客が支払う料金の平均はUberが8.41ドル(約942円)だったのに対し、Lyftは11.74ドル(約1315円)と3.33ドル(約373円)も高くなっています。2018年第4四半期にはUberが7.69ドル(約861円)に下がったのに対し、Lyftが13.09ドル(約1466円)まで上昇し、差は5.4ドル(約605円)に拡大しています。このことについてツェン氏は、「Uberが税金や通行手数料など込みの金額なのに対して、Lyftは別立てであることを考えると驚き」だと語っています。


以下のグラフはアクティブな利用者ごとの月刊乗車回数で、乗客1人が月に何回サービスを利用しているかを表しています。UberはLyftの倍近く利用されているので、Uberの方が乗車1回あたりの料金が安いにもかかわらず、利用者が毎月支払っている料金の合計はUberの方が多いというわけです。


もっとも、この差は急速に縮まりつつあります。以下のグラフは乗客数ごとの月間利用料を示すグラフで、Lyftの青線がUberの赤い線に追いついてきているのが分かります。Uberの線が赤色で示されている運送料と、黄色で示されている合計利用料の2つに分かれているのは飲食物のデリバリーサービスであるUber Eatsなどがあるため。IPO申請書では、Lyftが利用者を「乗客」と呼んでいるのに対して、Uberが「プラットフォーム利用客」と呼んでいる点に、両社のビジネスモデルの違いが端的に表れています。


◆Lyftの方が利益率は高いが、より赤字を計上しているのもLyft
以下のグラフは予約1回当たりの売上総利益率のグラフです。2018年第1四半期からUberの総利益率は下落している一方で、Lyftは順調に伸びており2018年第2四半期を境に逆転しています。


以下のグラフは利用者1人あたりの粗利益を表したグラフです。ここでも2018年第1四半期からLyftが躍進し始めた一方で、Uberは右肩下がりになっています。


ところが、以下の利用者1人あたりのOPEX(運用費)を表すグラフを見ると状況は少し違って見えます。2017年第4四半期ごろまではUberの運用費は高止まりしていたものの、2018年第1四半期に大幅に削減することに成功しています。Lyftも同時期に運用費が下がっていますが、2018年第2四半期を境に上昇に転じていて、2018年第4四半期には20%弱の差がついています。


以下のグラフは利用者1人あたりの赤字額で、線が下に行くほど赤字の額が大きいことを表しています。上のグラフと見比べると、運用費がLyftの利益を圧迫していることが分かります。


以下のグラフは1回の利用ごとの利益を表しています。両社ともに赤字となっていますが、Lyftの方が一貫して赤字額が大きくなっています。


◆一体何がLyftの赤字体質の原因なのか?
Lyftが赤字を垂れ流している理由を突き止めるべく、ツェン氏が利用者の伸び率を調べたのが以下のグラフ。一目で分かるとおり伸び率は拮抗(きっこう)しており、両社に違いは見られません。このため、Lyftが利用者を獲得するために積極的に投資しているわけではないか、少なくともその投資が功を奏してはいないことが分かります。


またこのグラフから、2017年のはじめに発生した「#DeleteUber」運動はUberにほとんど影響を与えていないことも判明。「#DeleteUber」運動については、以下の記事に詳しく記載されています。

Uberのアカウント削除を促す「#DeleteUber」がトレンドになった理由とは?


ツェン氏がさらに分析を進めたところ、帰宅に利用される際の乗車料金がUberはLyftの倍以上あることに気がついたとのこと。地域ごとの利用法や税率の傾向が分からないため、これがLyftの利益を圧迫しているものの正体かどうかはっきりとは分かりませんが、ある利用方法で比較した料金に倍近い開きがあったことについてツェン氏は「これは驚くべき結果であり、Lyftによってはやっかいな問題です」と述べています。


◆まとめ
LyftとUberの比較結果をツェン氏は次の5点にまとめています。

・Lyftは乗車ごとの利益を増やしつつシェアを拡大させることで、目覚ましい進歩を遂げました。先行するUberもおそらく同じように歩んできたものと思われます

・Uberはアメリカよりも制約が多い海外で急速に事業を展開しているにもかかわらず、利用客にとっても乗客にとっても優れた経済性を生み出し続けています

・2017年の暮れと2018年の初めにUberに起きた「何か」がUberの良好な経済性を支えているようです。これはおそらく、CEOの交代に起因するものではないかとツェン氏は考えています

・Uberの新事業(特にUberEats)は、Uberの財政に大きく貢献しています

・Lyftが今後サービスを続けるためには、コストパフォーマンスを改善させるような手を打つ必要があります

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in メモ,   ネットサービス,   乗り物, Posted by log1l_ks

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