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Uberはどうやって配車サービス業界で収益を上げて急成長を遂げたのか?

by Stock Catalog

配車サービス・フードデリバリーサービスを提供するUberについて、ノースウエスト航空やアメリカンウエスト航空などさまざまな航空会社の管理職を歴任し、輸送業界の競争について詳しいヒューバート・オラン氏が、Uberがどのように高収益と急成長を実現し人気を博するようになったのかについて解説しています。

The Uber Bubble: Why Is a Company That Lost $20 Billion Claimed to Be Successful? - ProMarket
https://www.promarket.org/2019/11/20/the-uber-bubble-why-is-a-company-that-lost-20-billion-claimed-to-be-successful/

Uberは配車サービス業界における独占的な地位を追求してきました。これはUberの投資家がリターンを得るため、AmazonやGoogle、Facebookと同様に、自由競争を退けるほど圧倒的に業界を支配するためだったとオラン氏は述べています。業界をひとたび支配することができれば、世界中の主要都市の乗客やタクシー運転手のスマートフォンにUberのアプリがインストールされ、Uberにとって深刻な競争相手が排除され、Uberが業界の相場を決定する力を持つこととなります。


Uberは従来の走行距離・走行時間に応じたタクシー運賃制度とは異なり、需要に応じて配送基本料が変わる「ダイナミックプライシング」を導入しています。土曜の夜や雨が降った時など、サービス需要が高まると、それに応じてサービス価格も高くなります。

オラン氏によれば、Uberのユーザーは収入が10万ドル以上が35%、4万ドル未満のユーザーが55%を占めており、配車サービスの需要が社会的に二極化しているとのこと。ピーク時となる土曜日の夜は、「夜の街で遊ぶ裕福な人々」と「終電・終バスを逃した夜勤の労働者」がUberの配車を奪い合います。ピーク時だとUberのサービス価格は2倍近くに跳ね上がることもあるため、必然的に利用者は裕福な人々に偏ります。オラン氏は「Uberの料金急騰システムは効率を改善するものではなく、単に夜勤の労働者を市場から追い出しているだけ」と指摘しています。

また、オラン氏は、Uberが成長した理由の1つに「『正当な製品・効率のブレークスルーを見つける』という難しい部分と『競争市場において持続的な利益を達成する』というさらに難しい部分を完全にスキップしたこと」を挙げています。オラクルの創業者であるラリー・エリソン氏が「Uberのアプリは自分の飼いネコが開発できるものよりも洗練されていない」と述べている通り、UberはFacebookやAmazonのように技術革新によって成長していません。


さらに、従来のタクシー会社よりも高コストで効率の悪い都市型配車サービスを提供しているUberは、技術革新による効率化ではなく、ドライバーの報酬を削減したことで利益を向上してきたとオラン氏。Uberに所属する個人ドライバーは従来のタクシー会社よりも資本が限られており、経済的に車両の取得、融資、保守、および保険をかけることができません。車両の維持費や燃料以外の費用は従来のタクシー料金の15%に相当するそうですが、Uberはさらに25~30%の手数料をドライバーに請求しているとのこと。

もちろんこうした仕組みは法的に問題視されがちですが、Uberはより自由な参入と価格設定ルールを追求するのではなく、「政府の監視を事実上無効化すること」に取り組んでおり、Uberは市場競争や安全性、保険、運転免許、車両メンテナンス、あるいは都市内のすべての人々や地域にサービスを提供する義務について、公的な基準を設ける権利を排除していたとオラン氏は主張しています。


オラン氏は、Uberの初代CEOだったトラビス・カラニック氏が口にしていた「どんなコストをかけても成長する」という独創的な文化、そして積極的に行っていたロビー活動もUberを大きく支えていたと述べています。特に、Uberは起業1日目からロビー活動を最優先事項として捉えていたそうで、UBERは上級幹部にアメリカ大統領の元上級顧問を据え置いるとオラン氏は指摘しています。

オラン氏は「Uberの投資家は、地元の市民と民主的に選ばれた政治家から配車サービス業界の実行支配を奪おうとしていました。Uberが追求していた『経済的自由』は、資本を蓄積する自由であり、Uberの目的と相反するような他人の福祉を保護する法律を排除することでした」と論じました。

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in ネットサービス, Posted by log1i_yk

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