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デロリアン唯一のモデル「デロリアン・DMC-12」はなぜ失敗に終わったのか?


デロリアン」と聞けば、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場するタイムマシンが思い浮かぶ人は少なくないはず。デロリアンは実際にアメリカに存在した自動車メーカーの名称であり、映画に登場した「デロリアン・DMC-12」というモデルの通称でもありますが、ビジネスとしては失敗に終わってわずか2年で会社が倒産しまいました。いったいなぜデロリアンが失敗してしまったのかについて解説し、デロリアン・DMC-12を今なお愛する人々に取材したムービーがYouTubeで公開されています。

The DeLorean paradox: how it failed and became a legend


1981年、デロリアンがDMC-12の生産を開始しました。


DMC-12は外部全体を無塗装ステンレスで覆い、ガルウィングの2ドアといった非常に特徴的な車でしたが、翌年には会社の倒産と共に生産終了してしまいました。


映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で多くの人を魅了したものの、映画放送時にはすでに生産されていなかったのです。


レポーターのフィル・エドワーズ氏も、バック・トゥ・ザ・フューチャーでDMC-12を知った人物の一人。なお、今エドワーズ氏が運転しているのはDMC-12ではありません。


今なお多くの人々を引きつけるDMC-12は、なぜわずか2年で失敗してしまったのでしょうか。


DMC-12は非常に特徴的でクセのあるデザインの車として知られています。


伝説のイタリア人デザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロがDMC-12のデザインを行いました。ジウジアーロは「アルファロメオ・ジュリア・スプリントGT」や「ASA・1000GT」などを手がけたデザイナーとしても有名です。


メカニカルな部分の設計はF1ドライバーでもあるコーリン・チャップマンが手がけ……


ルノーとボルボが共同開発を行ったV型6気筒エンジンは後部に設置され、特徴的なガルウィングは上部にドアのちょうつがいが位置しています。


窓には料金所などでの支払いをスムーズにするために専用のウィンドウが付いていました。


ガルウィングは「狭い場所で開閉できない」と思われがちで、このように壁と接近した状態で駐車すると左側の運転席から降りられないように見えます。


しかし、実際にDMC-12のガルウィングドアを開けてみると……


多くの人が思っている以上にそのまま上方向に上昇します。そのため、意外と狭い場所でもガルウィングは影響を受けません。幅が狭い場所では、通常の外開きになるドアよりもスムーズに乗り込めます。


DMC-12のオーナーはしばしばデロリアンの性能について議論をし、「エンジンのパワーが弱いのは、DMC-12が数十年前に生産されたのだから仕方がない」「車体が重すぎると言うけれど、あそこのポルシェだって似たような重さだ」などと言い合っているとエドワーズ氏は話します。何やらDMC-12の欠点を無理に言いつくろっているだけに聞こえるかもしれませんが、DMC-12のオーナーは皆DMC-12に愛着を持っているのです。


やがてエドワーズ氏がたどり着いたのは、ずらりとDMC-12が並ぶ駐車場でした。DMC-12を愛する人々によるクラブの集会がある模様。


レストランの店内では多くのDMC-12オーナーたちが談笑しており……


海外掲示板のRedditでは時々DMC-12がけなされるといった話題に花を咲かせています。


もちろんオーナーたちは、そんな書き込みを見れば必死で擁護するとのこと。


かつてデロリアンで働いていたバリー・ウィルズ氏は、デロリアンの社長であったジョン・デロリアン氏の思い出について語っています。


ウィルズ氏が「あなたが考える車の大事な要素とは?」と尋ねたところ、デロリアン氏は「ステンレス鋼、ガルウィング、リアエンジンの3つだ」と答えたそうです。


ウィルズ氏は「John Z, the Delorean & Me: Tales from an Insider」という書籍を出版した人物であり、デロリアン氏はカリスマ性を持つチャーミングな人物で、賢く、さらに自動車産業についての広い知識を有していたとのこと。


このウイスキーは……


DMC-12の宣伝に使われたものだそうです。


デロリアン氏はゼネラル・モーターズ(GM)で花形デザイナーとして活躍していましたが、自分にとって理想の車が作りたいとして退社。


非常に魅力的な外見をしていたデロリアン氏は、退社後もなにかと注目を集める存在でした。


新たな会社を作ったデロリアン氏でしたが、新たな工場を建設して自動車を製造するには、1億ドル(現在の価値で約600億円)以上の投資が必要でした。結局、工場はデロリアンのために1億2000万ドル(現在の価値で約720億円)を用意した北アイルランドに建設されることになりました。


ベルファスト郊外の建設予定地はそこら辺に牛がいるような土地であり、建設は非常に大変だったとのこと。


また、デロリアンがベルファストの工場を完成させたころ、北アイルランドは北アイルランド問題で揺れていました。イギリス政府がデロリアンに投資を行ったのは、北アイルランド問題を落ち着かせるために人々に雇用を与える目的もあったとのこと。


労働者はストライキやハンガーストライキを行うことが少なくなかったそうですが、デロリアンは1981年10月に1800台のDMC-12を生産。


投資の契約を履行するために、デロリアンは多くの労働者を雇ってボーナスを支払う必要があったとのこと。


しかし、DMC-12は2万5000ドル(現在の価値で約1500万円)という高価であり、販売成績はふるいませんでした。やがてデロリアンはイギリス政府にも見切られてしまい、経営は急速に悪化。


さらに追い打ちをかけるように、デロリアン氏はコカインの密輸に関わったとして逮捕されてしまいました。


ウィルズ氏は逮捕の数時間前にデロリアン氏へ電話をかけたとのこと。すると、デロリアン氏は「すまないバリー、もうダメだ。清算するしかない」と答えたそうです。


結局デロリアン氏は有罪判決を受けることはありませんでしたが……


バック・トゥ・ザ・フューチャーの公開時には、すでにデロリアンは倒産していました。しかし、映画の公開と共にデロリアンの人気に火が付きます。


映画の中に登場した「フラックス・キャパシター(次元転移装置)」に憧れたDMC-12ファンの中には……


自分が持つDMC-12の内部にフラックス・キャパシターを設置する人もいるようです。


今ではDMC-12の部品を販売する企業があるほか、DMC-12のオーナーたちで結成されたファンクラブも数多く設立されているとのこと。


デロリアンは1982年に倒産し、デロリアン氏も2005年に亡くなりましたが……


DMC-12は大きなインパクトを与え、今でも多くの人たちに愛されています。その意味では、「DMC-12は成功した」といえるかもしれません。

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in 乗り物,   動画, Posted by log1h_ik

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