来るべきAI時代をリードすべくMITが1000億円の予算を充てる新大学「Stephen A. Schwarzman College of Computing」を設立へ

21世紀に入って以来、急激な進化を遂げた人工知能(AI)はもはや人間の生活のあちこちに浸透してきており、今後はさらにその流れが加速して社会の形が大きく変わる可能性があります。来たるべき「AI時代」においてアメリカが世界をリードし続けるべく、マサチューセッツ工科大学(MIT)は同校の形を一新し、10億ドル(約1100億円)の予算を充てる新大学「Stephen A. Schwarzman College of Computing」の設立を発表しました

MIT reshapes itself to shape the future | MIT News
http://news.mit.edu/2018/mit-reshapes-itself-stephen-schwarzman-college-of-computing-1015

Stephen A. Schwarzman College of Computingは、リーマン・ブラザーズを退職して1985年に投資ファンド運用会社ブラックストーン・グループを共同で立ち上げたスティーブン・A・シュワルツマン氏からの3億5000万ドル(約400億円)の資金提供を受けて開設される新大学で、MITでは今後10億ドルの予算をコミット(確約)することを発表しています。

同校の新設について、シュワルツマン氏らがその狙いを語るムービーが公開されています。

MIT reshapes itself to shape the future - YouTube

「私が資金を寄付した狙いは、世界をより良い場所にするためです」と語るシュワルツマン氏。「また、アメリカを強い国にし、繁栄とより良い生活を可能な限り多くの人にもたらすためです。私たちは歴史の特別な地点におり、その変化を成し遂げることができます。私は、その一部に関われることを誇りに思います」と述べています。

今やAIは世界のあちこちで活用されています。農業分野や……

製造分野などでも。

従来はヒトにしかできなかった画像認識はもはやAIの得意分野となり……

状況次第では人間が運転するよりも安全な自動運転車が実現されようとしています。

来たるべきAI時代に向け、MITのStephen A. Schwarzman College of Computingは10億ドル(約1100億円)の予算をコンピューティングとAI技術の研究に宛てることを決定しました。これは、1950年にMITが設立されて以来、最大の改革になるとのこと。

「私が楽しみにしているのは、この取り組みが目指しているものはコンピューターサイエンスを進化させるということだけでなく、コンピューティングに関する全ての要素が学問の分野に関わっているという点です」と期待を語るのは、同校のElectrical Engineering and Computer Scienceの学部長を務めるAsu Ozdaglar教授。

MIT School of Humanities, Arts, and Social Sciencesの学部長Melissa Nobles教授は、「他の学部の学生や教授陣も、新校が研究開発するツールを利用することができます。これは『一方通行』ではなく、新たな知識の未開拓領域における『双方向通行』です」と語ります。

全学をあげてコンピューティング分野とAIの進化を成し遂げるべく、MITは新たに大学を立ち上げ、相互関係を築くという大改革に乗り出すことになったとのこと。Stephen A. Schwarzman College of Computingは2019年に開設され、新施設が2022年までに建設される予定になっているとのことです。