AIと電波を利用して壁の向こうの人の動きを検知できるシステムをMITが開発
空間内を飛び交っている電波(RF)を利用することで人の動きを検知し、AIが壁の向こうにいる人の動きをも読み取って画面に表示することが可能な技術「RF-Pose」が開発されています。
AI senses people's pose through walls -- ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2018/06/180612090723.htm
New technology can see your body through walls | TechCrunch
https://techcrunch.com/2018/06/12/new-technology-can-see-your-body-through-walls/
この技術は、マサチューセッツ工科大学(MIT)のComputer Science and Artificial Intelligence Laboratory (CSAIL)の研究チームが開発したもの。実際にどのようなことが可能なのかは、以下のムービーを見ればよくわかります。
AI Senses People Through Walls - YouTube
RF-Poseは、環境に存在する電波が人体に反射するときの変化をセンサーで検知し、AIにパターンを学習させることで人の動きを読み取ることを可能にする技術です。例えば、この人が手前を歩き……
扉の向こうで折り返して、壁の向こう側に行ったとします。
壁で遮られた状態にもかかわらず、画面には人の動きを示す棒人形が表示されました。これは、電波の反射状況をセンサーで読み取り、AIがパターンを認識してリアルタイムに描画したものです。
センサーは水平方向と垂直方向の2種類の電波を計測しており……
その2つを組み合わせることで、3次元空間での人の動きに変換します。
このようにして、物体が存在する確実性の高さを示す「コンフィデンス・マップ」を作成し……
最終的にAIが棒人形へと変換します。とはいえ、いきなりAIが棒人形を描画できるようになったわけではないとのこと。まずはコンフィデンス・マップと実際の人の動きをAIに学習させ、次に人の動きに棒人形を重ねたデータを与えて学習させます。そして最後に学習した内容をもとに、ムービーのようなセンシングを行えるように「成長」してきたというわけです。
RF-Poseは電波を使っているため、物体に視線が遮られている状況でも人の動きを検知することができます。
また、電波を使うことで光量が低い暗所でもセンシングが可能。
複数の人の動きをフォローすることも可能。ただし、人と人が重なり合った時はどちらか一方しか認識できないケースもあるようです。
研究チームでは、この技術を使ってパーキンソン病などの症状をより良く把握できるようにすることを狙っているほか、家庭内での人物の動きを検知して安全性を高めるための用途に用いることができると考えているとのこと。すでにカメラを利用した同様のシステムはありますが、RF-Poseが利用するのは周囲を飛んでいる電波でありカメラが不要になるので、プライバシーを守ることができるとしています。
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