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妊娠や出産に極度の恐れを抱く「トコフォビア」とは?

by freestocks.org

妊娠や出産に対して大きな恐怖を抱くTokophobia(トコフォビア/出産恐怖症)は、見逃されやすく、注目されにくいことが研究で示されています。出産恐怖症は「誰しも出産に不安を抱くもの」という言葉では解決できないものであり、専門家のサポートと治療が必要だとイギリスのハル大学の研究者らが述べています。

Tokophobia: the women with an extreme fear of pregnancy and childbirth
https://theconversation.com/tokophobia-the-women-with-an-extreme-fear-of-pregnancy-and-childbirth-103886

出産を経験したことがない女性が出産の際の痛みや損傷、混乱を恐れること、あるいは過去に困難な出産を経験した女性が出産を恐れることは自然なことです。しかし、女性の中には出産への不安が「恐怖症」と呼べるほどに大きく、子どもを持たないことを選択したり、妊娠しても中絶の道を選んだりする人もいるとのこと。

by Claudia

妊娠恐怖症を和らげるのに効果的な治療は存在しますが、治療が可能になるのは女性が出産に対する恐怖をオープンにしていた時や、専門家が妊娠恐怖症の女性を判別した時のみに限られます。このため、女性が適切な治療を適切なタイミングで受けるには、妊娠恐怖症の認知度を上げるとともに、検査ツールや女性の検査へのアクセスを確保する必要があるとのこと。

例えば、イギリスのハル大学は過去10年にわたり、メンタルヘルスの問題を抱える出産期の女性がサポートを受け取れるようにするための地域サービスを提供しています。このサービスはメンタルヘルスの専門家や助産師、保健師たちの協力で成り立っており、出産恐怖症の女性が治療を受けやすくなることを目的としているとのこと。


2017年12月に発表された研究では、SNSで出産に関するネガティブな話が出産に対する女性の恐怖を増加させることが示されていますが、一方で、自分の体験について話し合うことは多くの女性の助けにもなります。2014年には仲間のサポートや、困難な経験を共有することは、人の孤独をやわらげ、「受け入れられている」という感覚を与えることができると研究で示されました

過去の研究結果から言えるのは、「出産経験について話し合うのは治療として有効だ」と考える人々と、「出産経験について話すことで恐怖は増す」と考える人々の2つのグループが存在するということ。2018年9月にイギリスのメディアであるThe Guardianが「出産についてもっと話し合うべき」という内容の記事を掲載しましたが、重要なのはむしろ「出産の話を共有すること」が他人にどう影響するのかを考えることであると研究者らは述べています。その上で、自分の出産のトラウマ(心的外傷)についてSNSで発信する人は専門家のサポートを受けられるようにすべきとのこと。

by rawpixel

出産について深刻な不安を持つ人は、「大丈夫。みんな多少の不安はあるから」と言われたとしても不安を解消させることができません。彼女たちが必要としているのは思いやりがあり、適切で折よいケアです。

もちろんこれは、「出産への懸念を示した全ての女性は恐怖を治療する必要がある」ということを意味するものではありません。どちらかというと、「出産恐怖症で苦しんでいる女性でなくとも、出産への不安が高まってきたら専門家の介入によって利益が得られる」というようなことです。出産への不安は母と子どもの両方に悪影響を及ぼします。深刻な問題を引き起こす前に、早めの介入を行うことが重要なのです。

高品質なケアを提供すれば、初めての出産を終えた女性が出産恐怖症を抱く確率も減っていきます。これにより、そもそも共有される「トラウマ体験話」も減っていくと考えられています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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